住宅ローン【フラット35】の借り換え経験者を分析! どのくらいの“金利差”で借り換えた?

日銀のマイナス金利政策の影響を受け、全期間固定金利型の住宅ローン【フラット35】の金利が、過去最低を記録し続けています。その流れを受けて、住宅ローンの借り換えを検討している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、今までARUHIで【フラット35】を借り入れ、再度【フラット35】へ借り換えを行った方527人を対象に、どのくらいの「金利差」のときに借り換えを行ったのか、借り入れ・借り換えそれぞれの金利を比較し、調査・分析してみました。

■8割以上の人が「金利差1.0%未満」で借り換えを行っている

“住宅ローンの借り換え”は、一般的に「ローン残高が1,000万円以上」「残りの返済期間が10年以上」「借り換え前後の金利差が1.0%以上」という3つの条件を目安にメリットが出ると言われていますが、実際の借り換えを行った方はどうだったのでしょうか。まずは借り換え前後の金利差から見てみましょう。

<住宅ローンの借り換え前と借り換え後の金利差>

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調査結果では、借り換え前後の金利差が「1.0%未満」が80%以上を占め、その中でも金利差「1.0%未満~0.5%以上」が約60%と一番多く、次いで「0.5%未満~0%以上」が約20%という結果となりました。

次に、金利差の最大/最小/平均値について見てみましょう。

<住宅ローンの金利差の最大/最小/平均値>img_00089_2

まず、最小金利差は「0.16%」とわずかな金利差でも借り換えを行っている方がいる一方で、平均すると1.0%にはまだ満たない「0.7%前後」で借り換えを行っていることが分かりました。前述した、借り換えメリットが出る目安の一つである“金利差1.0%以上”の条件を満たさずとも、借り換えを実行している方が多いようです。

また、最大金利差である「1.53%」で借り換えを行った場合のメリットを試算(※1)してみたところ、毎月返済額が約6,000円上がったものの、返済期間を5年短くすることができ、また総返済額で比較するとなんと差額が約540万円にも上ることが分かりました。

全期間固定金利【フラット35】が過去最低1.08%(返済期間21年以上、融資率9割以下)を記録した現在(2016年5月時点)、借り換えによる大きなメリットを享受できるチャンスですので、金利差が1.0%に満たない方でも借り換えを検討してみる価値はあるかもしれません。
(※1 条件:ローン残高2,500万円、残りの返済期間25年、金利2.63%(【フラット35】)で借りている人が、借入金額2,583万円(諸費用を上乗せして借り換えたとする)、返済期間20年、金利1.10%(【フラット35】)で借り換えたとする。元利均等返済、ボーナス返済なしで試算。 シミュレーションはあくまで一例です。)

■借り換え前と借り換え後の金利は何%?

前項までは「金利差」についての調査結果を見てきましたが、次項では「借り換え前・借り換え後それぞれの住宅ローン金利」について調べてみました。

<借り換え前の住宅ローン金利> img_00089_3

今回の調査対象者の、借り換え前の平均金利は2.20%、最高金利は2.63%、最低金利は1.54%でした。
また、一番実行した人が多いボリュームゾーンとなった金利は、2013年1月、3月、8月の1.99%で、次いで2011年3月の2.54%、2011年の4月、5月の2.63%となりました。借り換えを実行した多くの方が2013年以前に借り入れ、金利も2.0%前後だったことが分かりました。
また、借り換えまでの平均期間は約2.6年、最短で4ヶ月(※2)という結果になりました。短い期間でも積極的に借り換えを行っている人が多いようです。
(※2 【フラット35】から【フラット35】への借り換えは、住宅取得時に借り入れた住宅ローンの返済実績が1年以上あり、借り換えの申込日までの直近1年間正常に返済をしていることが条件になります。今回の「最短で4ヶ月」で借り換えた方は、2回目の借り換えになります。)

<借り換え後の住宅ローン金利>img_00089_4

借り換え後の金利については、2015年2月に当時【フラット35】が過去最低金利を更新し、金利が1.37%(借入期間21年~35年)まで下がったタイミングで借り換えを行った人が圧倒的に多く、その金利がボリュームゾーンとなっています。

ちなみに、最低金利の1.1%についても同じ2015年2月当時の実績で、借入期間15年~20年の金利です。総合すると、借り換えを行った調査対象者の約20%が、過去最低金利を更新した2015年2月のタイミングで借り換えを実行していたことが分かりました。

ローン残高や今借りている住宅ローンの金利、残りの返済期間よって、借り換えによるメリット金額は異なりますし、借り換えに必要な諸費用も考慮する必要もあります。メリットに感じる金額は人それぞれですが、80%以上の人が金利差1.0%未満でも積極的に借り換えを行っているので、一度お近くの金融機関でシミュレーションしてみてもよいでしょう。また、住宅購入時に不動産会社に言われるがまま住宅ローンを借りて、今の借入状況がわかっていない方も、住宅ローンを一度見直してみてはいかがでしょうか。

■調査概要(ARUHI調べ)

●調査地域:全国
●調査数:527名(※借り換え2回目の方42名含む)
●調査データ:ARUHI【フラット35】を借り入れて、【フラット35】へ借り換えを行った方の成約データより
●調査期間:2012年12月~2016年2月

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(最終更新日:2019.10.05)

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