2016年2月16日から、金融機関が日本銀行に預けている当座預金の一部に対して「マイナス金利」の適用が実施されました。消費者としては住宅ローン金利の低下などが期待できる環境ということになります。既に住宅ローンを借りている人の中には、借り換えが気になっているという方も多いかもしれません。今回は借り換えを検討する際に頭を悩ませる、諸費用について考えてみましょう。

借り換えの目安は1,000万円、10年、1%

現在借りている住宅ローンを借り換える場合、事務手数料や保証料などの諸費用がかかりますが、実際にどのくらいかかるのかご存知でしょうか。借り換えにかかる諸費用はローン残高によって異なりますが、100万円前後かかる場合があります。そのため、借り換えをして金利を下げることに成功したとしても、現在借りている住宅ローンの総返済額と借り換え後の総返済額の差が、借り換えにかかる諸費用以上でなければ(※1)、借り換えるメリットはあまりないでしょう。

こうしたことから、目安として、

1.ローン残高が1,000万円以上
2.ローン残年数が10年以上
3.今と借り換えしたローンの金利差が1%以上

という条件を満たす場合、借り換えをしてメリットが出やすいと言われています。つまり、諸費用を払ってでも借り換えをした方が、軽減できる利息が大きいということですね。

上記の3つの条件がそろっていて、借り換えにメリットがありそうだと思っても「諸費用が必要なのであれば、まとまった現金が準備できなければ借り換えはできなそう」と考える方もいるかもしれません。
もちろん、諸費用分の資金が準備できれば好ましいですが、借り換えを検討するタイミングと子供の教育費がかさむ時期がかぶる場合などは、手元にお金を残しておくことも家計としては大切です。

※1 変動金利(半年型)から全期間固定金利に借り換えを行う場合では、総返済額を抑える目的よりも、金利上昇に備えて安心を得たいという動機が多いため、単純な金額の比較だけで判断はできないこともあります。

実は“諸費用分を上乗せ”して借り換えができることも

借り換えはしたいけど、手元にも資金を残しておきたいという方には、諸費用分も含めて借り換えるという方法がおすすめです。

【フラット35】の場合

【フラット35】で借り換える際、諸費用の一部(下記の費用)の金額を現在のローン残高に上乗せして借りることができます。
 <上乗せできる費用>

・金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代(印紙税)
・事務手数料
・抵当権の設定及び抹消のための費用(登録免許税)
・抵当権の設定及び抹消のための司法書士報酬
・機構団体信用生命保険特約制度特約料(初年度分のみ)
・【フラット35】物件検査手数料(適合証明書の発行にかかる費用)

銀行ローンの場合

「購入当初頭金を多めに入れた」、「繰上返済を進めている」などの場合には、諸費用分の金額(※2)を現在のローン残高に上乗せして借り換えることができます。

※2 上乗せできる費用は金融機関によって異なります。詳しくは各金融機関で確認しましょう。

上乗せして借り換えが難しい場合には“諸費用ローン”という手も

物件の査定に対してローン残高が多い場合だと、住宅ローンに上乗せして借りることが難しいケースがあります。その場合は「諸費用ローン」を使うという方法もあります。「諸費用ローン」の場合は、少し金利は高めですが、20年や30年といった長期間ではなく10年など比較的短期間で返済することができます。

“ローン残高に諸費用を上乗せ”して借り換える場合でも、“諸費用ローン”を利用して借り換える場合でも、借り換え時に現金で諸費用を支払うことに比べると利息を払わなければいけないというデメリットはあります。そのため、そもそも借り換えによるメリットが少ない場合は、諸費用をローンで支払うのは得策ではない可能性はあります。
一方で、諸費用分も含めて借り換えた場合に、現在の返済額から大きく利息を軽減できるようであれば、借り換えを検討するべきと言えるでしょう。

ローン残高に諸費用を上乗せするか、諸費用ローンを利用するか

では、実際にどちらの方が、利息が少ないのでしょうか。

諸費用を上乗せした場合

例えば100万円の諸費用を住宅ローンに上乗せするなどして1%の金利で借りた場合、25年かけて返済すると総支払額は約113万円になります。

諸費用ローンを組んだ場合

一方、例えば諸費用ローンの金利が2%だった場合、金利が高く損をしそうなイメージを持つかもしれませんが、返済期間が10年間であれば総支払額は約110万円となります。住宅ローンに上乗せして返済するパターンよりも少なくなります。

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 住宅ローンの返済は長期に渡るため、諸費用を上乗せした場合、金利が低かったとしても支払う利息は大きくなります。一方諸費用分のローンを組む場合は、金利が高くても返済期間が短いため、一般的なイメージより利息が少ないことが多いです。

上記の例のように、返済期間が25年と10年だと、月々の返済額も3,769円と9,201円と開きはありますが、月々の返済が許すのであれば、あえて諸費用ローンを使って短期間で返済するというのも手です。

諸費用が準備できないと、今の低金利の恩恵を受けられないと思っていた方は、諸費用分を上乗せして借り換える、諸費用ローンを利用するなどを検討してみるのも良いかもしれません。今の家計に無理なく、将来の家計にとっても有利な選択を選べると嬉しいですね。

 

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この記事の筆者
風呂内亜矢 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、宅地建物取引士 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強と貯金を始める。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』がある。

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