住宅ローンの金利選びは、目先の金利や総返済額の比較だけではなく、ライフプランとの兼ね合いを考えることが大切です。近年は女性の社会進出が進み、夫のみが働く世帯よりも、共働き世帯が上回ってきています。女性のライフスタイルが金利選びにどう影響するのか、また女性専用ローンの特徴なども見てみましょう。

女性のライフスタイルが金利選びに影響する3つのポイント

シングルのままか、結婚するか、出産後も働き続けるかなど、女性のライフスタイルは昔に比べて千差万別です。今回は女性のライフスタイルを3つに分類して、女性が住宅ローンを組む前に考えておきたい、収入や支出、金利上昇リスク時の対応などを見てみましょう。

ライフスタイル 世帯収入 病気や失業の影響 家計支出 教育費 金利上昇リスク
シングル女性 少なめ 大きい 少ない 不要 対応しにくい
共働き夫婦
(子どもなし)
多め 少ない 普通 不要 対応しやすい
共働き夫婦
(子どもあり)
多め 少ない 多い 必要 対応しにくい

シングル女性の場合は、共働き夫婦に比べ支出が少ないですが、万が一のときに頼れるパートナーがいないため、金利上昇リスクには対応しにくくなります。また共働き夫婦の場合でも、子どもがいるかいないかで金利上昇リスクに対応できるかどうかが変わってきます。
では、具体的にどのような点に注意して金利選びをすれば良いのでしょうか。女性が住宅ローンの金利を選ぶ際に注意しておきたい3つのポイントをあげてみましょう。

ポイント1:収入面

総務省の「家計調査(平成26年平均速報)」によると、働いているシングル女性の平均年収は約309万円、対して共働き世帯の世帯年収は約570万円(※)となっています。ただし共働きの場合は、妻が出産を機に仕事を辞めるか、正社員からパートになるかなどで世帯収入は大きく変わり、住宅ローンの金利選びにも影響してきます。ローンを組む前に、将来の妻の働き方をしっかり話し合っておくことが必要です。

※ 世帯主収入414,688円、配偶者収入60,488円から試算。

ポイント2:支出面

同じく「家計調査(平成26年平均速報)」を参考に支出面を比較すると、シングル女性の消費支出は月約18.6万円、共働き夫婦の消費支出は月約31.9万円(※)となります。家族が多くなるほど、収入だけでなく支出の面でも意識することが大事です。

※ 共働き夫婦のみの支出データがないため、同調査の二人以上の勤労世帯から代用。

ポイント3:教育費

子どもがいる共働き夫婦の場合、家計に影響が大きいのは教育費です。文部科学省「家計負担の現状」(平成21年度文部科学白書)によると、子ども1人当たりの幼稚園から大学までの教育費は、オール公立で約1,000万円、オール私立だと約2,300万円が目安とされています。子どもの成長と共に、子ども2人が私立大学に通う場合には平均可処分所得の半分を占める結果(以下表)も予想できるため、住宅ローンと教育費を両立する資金計画が必要です。

では、これらのポイントを踏まえ、実際にどのような金利選びをしたらよいのでしょうか?まずはそれぞれの金利の特徴としてメリット・デメリットなどを確認してみましょう。

3つの金利タイプの違いを把握しておこう

住宅ローンの金利タイプには変動金利(半年型)と当初固定金利型、全期間固定金利型があり、この中から選択します。変動金利(半年型)は0.6%(※)前後と驚異の低さですが、半年ごとに金利が見直しされ、今後上昇懸念があります。それに対してここ数年の中でも低水準である全期間固定型は1.6%(※)前後で、将来に渡って金利は変わらないので安心ですが、1%でも金利は低くしたい意向も多いので迷うところです。

※ 金利は2015年11月時点で最安値の金融機関の数値です。

<3つの金利タイプのメリット・デメリット>

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変動金利(半年型)や当初固定金利型は低金利で魅力的ですが、今後の金利動向によって月々の返済額や総返済額が大きく左右されます。しかし、その先読みはプロでもなかなかできません。そこで金利リスクを分散する方法として、ずっと金利が固定する全期間固定金利型と変動金利(半年型)をミックスしてローンを組む方法もあります。
また共働き夫婦の場合には、夫婦2人でローンを組み、返済期間を別々に設定することもできます。そんな活用も踏まえて、女性のライフプラン別に住宅ローンをどう組むのかを見てみましょう。

女性のライフスタイル別に見た住宅ローン金利の選び方例

金利の特徴も踏まえ、住宅ローンの借入額3,000万円、借入期間30年間の金利の組み方を、女性のライフスタイル別に見てみましょう。

シングル女性

向いている金利タイプ:全期間固定金利型

[理由]シングル女性は転職や病気で働けなくなった場合も頼れるパートナーがいないため、長期に渡って返済額が一定で、金利上昇リスクもない、安心感が得られる全期間固定型が向いています。現在は変動金利(半年型)との差も少なく、低金利の水準で全期間固定金利型が借りられるチャンスです。

<全期間固定金利型の【フラット35】で借り入れた場合>

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※ 全期間固定金利型の住宅ローンでも、省エネルギー性や耐震性などが一定の条件を満たした住宅なら、【フラット35】Sの利用が可能になり、金利が優遇されます。

共働き夫婦(子供なし)

向いている金利タイプ:変動金利(半年型)・当初固定金利型

[理由]共働き家庭は比較的収入も多めで、家計収支からの返済余力が高いです。また教育費の心配もないので、金利上昇した際の返済額上昇にも対応が比較的しやすいでしょう。妻も働き続けるなら、夫婦別々のローンを組むことも活用できます。

<夫が当初固定金利型、妻が変動金利(半年型)で借り入れた場合>

※ 10年固定期間終了後の優遇幅は1.7%(変動金利に移行し、現在の店頭金利2.475%より0.5%上昇したと仮定)

夫の収入だけでは住宅ローンの審査基準に満たない場合に、妻の収入を合算できるのは、共働きならではです。ただ、今後、妻が出産などでパートへの移行や退職する可能性がある場合には、夫のみでローンを組んでいた方が良いでしょう。

共働き夫婦(子供あり)

向いている金利タイプ:変動金利(半年型)・当初固定金利型+全期間固定金利型

[理由]共働きで収入が高くなりますが、教育費準備も考える必要があります。教育費が増える前に返済額を少なくするために、夫婦別々のペアローンで、妻の借入金額を少なくかつ返済期間を短くすることで、教育負担が増える10年後には完済することが可能です。

<夫が全期間固定金利型の【フラット35】、妻が変動金利(半年型)で借り入れた場合>

もし妻が今後2人目の出産や親の介護などで退職する可能性がある場合には、ペアローンでなく夫1人で借り入れした方がよく、妻の収入分は繰り上げ返済として貯めるのもよいと思います。

上記の女性のライフスタイル別での分類はあくまでも目安です。例えば共働き夫婦で世帯年収が高いものの支出が多い方などは、月々の返済額が変わらない【フラット35】などの全期間固定金利型を選んでおいても良いかもしれません。変動金利(半年型)を選び月々の返済も毎月ギリギリのケースだと、金利上昇した場合に返済額がアップし家計の負担が大きくなることが予測されるからです。
また、現在の低金利の恩恵を受けて変動金利(半年型)の利用者が増えていますが、金利が低いと借入額が多くなりがちです。日本ではずっと低金利が続いているので、金利が上昇するという意識が薄れていますが、変動金利(半年型)は半年ごとに見直しされることを忘れてはいけません。

目先の金利の安さではなく、計画的に返済していく上でも、ご自身のライフスタイルを鑑みて検討されると良いでしょう。

女性専用の住宅ローンはお得!?一般ローンとの比較

昨今では女性専用ローンが増えています。女性専用ローンと一般のローンのそれぞれの特徴などを見てみましょう。

<女性の専用ローンと一般のローンとの比較>

※ 2015年11月現在の金利です。上記は参考であって、詳細は金融機関に直接お問い合わせください。

女性専用ローンの金利は一般ローンとほぼ同じ水準ですが、さまざまな特典が付加されています。例えば、出産後1年間の金利を0.1%引き下げる、がんなどの三大疾病保障や医療保障が付く、働けなくなった場合の保障が無料もしくは割引になるなどです。一般のローンと金利も変わらないのであれば、特典がつく女性専用ローンの方が賢明な選択でしょう。

近年、シングル、共働きなど、女性のライフスタイルは多様化しています。住宅ローンの金利選びをする際には、今だけでなく将来にわたっても無理ない返済プランを選ぶことが大切です。現時点の金利や総返済額だけの損得を計算するのではなく、家族が安心して暮らしていくためにも、ライフスタイルに合った住宅ローンを選ぶようにしましょう。

 

●住宅ローン情報

この記事の筆者
水野圭子 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®、住宅ローンアドバイザー

K'sプランニング代表。金融機関を経て2010年より独立。企業研修やマネーセミナー講師としても年間1,000名以上の女性に賢いお金の知識を伝え、雑誌やWebでも情報発信している。また個別相談では住宅ローンや運用、保険見直しなど多岐にわたり顧客のサポートをしている。

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