「同僚がマンションを買って、妙に自分の住まいが気になり出した。」そんな話をよく耳にします。ここ数年、あなたの周りでマンションを購入したシングル女性はいますか。買い時は個々の事情によって自分で決めるものですが、金利が低く、税制のバックアップもあり、マンションの供給戸数もある現在は、探し時だと言えるのではないでしょうか。この機会に自分自身と住空間に向き合ってみませんか。

シングル女性の住宅購入は増えている!?

マンション購入の動機は人それぞれですが、「知人が購入した」ことをきっかけに自分の住空間を見つめ直し、「今の暮らしを変えたい」とマンション探しをスタートする、そのようなシングル女性も多くいます。

「マンションを購入した知人はいるけれど、私にはハードルが高そう」。そのように思うシングル女性もいるかもしれません。マンションは日頃の買い物や旅行とは金額が違うため、不安が広がるのも当然ではないでしょうか。そしてその一方で、「このまま親と同居していていいのかな」「家賃をずっと払い続けるのってどうだろう」「結婚したら?結婚しなかったら?」と将来のライフスタイルまでもが気になってしまいます。マンションに限らず住宅を購入するということは、今の自分と将来の自分、今のお金と将来のお金とに向き合える大切な機会です。より自分らしい住空間で満足する生活を送りたいものです。

<ライフステージ別の購入状況>

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※データ「世帯主の属性・ライフステージ別」(3ページ)
(参考資料)「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査/リクルート住まいカンパニー」(PDF)

株式会社リクルート住まいカンパニーによる「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査」を見てみると、シングル女性世帯は回答者全体の4.6%を占めます。2011年の6.1%から微減という状況ですが、これはシングル男性世帯も同じです。逆に子どもあり世帯のシェアが微増しているという傾向で、シングル世帯の存在感はこれまでと変わりありません。

<購入物件所在地状況>

img_00045_02※データ「購入物件所在地」(4ページ)
(参考資料)「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査/リクルート住まいカンパニー」(PDF)

同調査からは、シングル女性世帯がマンションに利便性を求め、23区へのこだわりも強いことがわかります。立地条件にこだわると当然価格(予算)が上昇します。同調査の平均購入価格も4,320万円と調査開始(2001年)以来最高になりました。しかし、「高いから」という理由であきらめないのがシングル女性。シングル男性や夫婦のみ、ファミリー層以上に中古住宅検討層が多く、自分らしい住空間を手に入れるためにあらゆる選択肢を検討していることがわかります。

マンション選びは「3つのP」

筆者は、普段、マンション選びは「3つのP」がポイントであるとお伝えしています。「3つのP」とは、Place(場所・立地条件)、Plan(建物・設備仕様、広さ)、Price(価格)。「3つのP」で重要視したいのはPlaceです。前項でお伝えしたとおりシングル女性は23区にこだわる傾向にあり、男女あわせたシングル世帯の23区内購入は49.5%(女性のみは50.6%)と他の世帯と比べても群を抜く結果です。都心はコンパクトタイプ、郊外はファミリータイプという供給者側の事情とシングル層のニーズが合致していると言えます。
では、「3つのP」について、それぞれ詳しくみていきましょう。

シングル女性の住まいの場所や立地条件

シングル女性がこだわっているのが「Place(場所・立地条件)」です。実際にご相談を受けていても、エリア限定、最寄駅限定でマンションを探しつつ、住宅選びや資金計画のご相談にいらっしゃる女性が多くいらっしゃいます。エリアを絞った上で中古マンションを購入される方も少なくありません。Placeにこだわるのは、資産価値を重視したいという理由です。ここで言う資産価値とは、将来、ライフスタイルの変化があった際、「売ったり貸したりしやすいマンション」を意味します。つまり、新築か中古かが重要ではなく、23区内、駅に近い、交通アクセスが良い、買物施設が充実している、など利便性の高いマンションであることが優先されます。

シングル女性の住まいの広さや仕様

では、シングル女性のPlan(建物・設備仕様、広さ)選びはどうでしょうか。

<購入物件所在地状況>

img_00045_03※データ「購入重視項目」(9ページ)
(参考資料)「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査/リクルート住まいカンパニー」(PDF)

シングル男性と比べると、「広さはそれほどこだわらないけれど、設備仕様の充実は外せない。部屋数よりも間取りタイプが自分にあっているかが大切」という傾向です。あなたはいかがでしょうか。

シングル女性は、一人で住むことを念頭に、住空間の充実を考えているようです。それは、購入重視項目の「教育環境」に現れます。シングル男性が5.3%に対し、シングル女性は0.7%となっています。もちろん、両者とも他の世帯より低い数字ですが、それでも男女で差が出るのは興味深いところです。結婚後の子育てまで考えると広さや部屋数が気になるのは当然で、シングル男性では「部屋数」「広さ」の数値が女性より高くなっています。シングル女性は、今の自分に必要な住空間とは何かを考え、ジャストサイズのマンションを選択する傾向にあります。将来、ライフスタイルに変化があれば「売ればいい・貸せばいい」、そのために利便性の良いマンションを検討している印象です。

そして自分にぴったりのマンションと出会うには、2つのポイントが大切です。1つ目は「購入目的」、そして2つ目は次項でお話する「購入予算」です。この2つが明確でなければ、決断することができません。購入好機を逸することにもつながります。「何のためのマンション購入か」を、自分に問いかけ答えを出しておきましょう。

<マンション購入理由>

img_00045_04※データ「購入理由」(8ページ)
(参考資料)「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査/リクルート住まいカンパニー」(PDF)

同調査の「購入理由」では、シングル層のトップは「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」でした。他の世帯を圧倒する結果です。ただ、シングル女性のトップ項目は「老後の安心のため、住まいを持ちたいと思ったから」が39.6%。資産価値も29.9%と高かったのですが、それ以上に老後の安心を重要視しているようです。
シングル女性のツートップの項目として挙がったこの2つの購入理由は、決して切り離せるものではありません。親元を離れ、あるいは賃貸を脱し、自分が稼いだお金で自分の資産を持つ。自立が自信に繋がり、結果として、住まいを持つことが老後の安心に繋がっていくのです。

シングル女性の予算計画&住宅ローン選び

そして、3つ目のPであるPrice(価格)についてみてみましょう。

お気に入りのマンションと巡りあっても、購入予算が明確でなければ「買って大丈夫かしら?」と不安が膨らみ決断できません。また、どんぶり勘定で購入してしまい、住宅ローンが払えなくなってマンションを手放すなどという事態はあってはなりません。自分の予算を把握しておくことが何よりも大切です。購入予算は家計収支から考えます。収支とは収入から支出を引き算した残額ですが、例えば手取りの月収が20万円、住居費以外の基本支出が10万円だとすると収支は10万円です。あなたが、住宅ローンを借りる予定ならば、この収支を基本に検討していく必要があります。

マンションには、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税などランニングコストが発生します。これらも収支から支払います。よって、10万円あるからと10万円をすべて住宅ローン返済に充当することはできません。例えば、10万円のうち3万円をランニングコストに充て、1万円は予備費、そして残額の6万円を住宅ローンに充当するといった考え方です。毎月6万円の返済ならば、約1,920万円を借りることが可能です(借入期間35年、全期間固定金利1.61%、元利均等返済、ボーナス併用なし)。これにあなたの貯金500万円と、親からの援助資金500万円を頭金にすると、2,920万円のマンションを購入できる試算です。ただ、マンション購入時には諸費用等が必要なため、貯金をすべて頭金にすることはできません。緊急予備資金等も確保しておきましょう。

住宅ローンを利用する場合は、金融機関や住宅ローン選びは大変重要です。借入金額、返済期間、金利タイプ(固定か変動かなど)、返済方法などを決めていきますが、特に気を付けたいのが借入金額です。借入金額は、先の家計収支を基本に返済可能額から逆算します。また、女性向け住宅ローンを販売している金融機関もあるのでチェックしてください。金利が優遇されたり、特典が付いたり、出産や子育て期間のサポートがあったりと様々なので自分のライフスタイルに合った住宅ローン商品があれば、検討してみてもよいでしょう。

最後に

ここまでシングル女性のマンション購入事情を調査結果とともに見てきましたが、いかがでしたでしょうか。あなたのマンション選びのヒントとなれば嬉しいです。先輩購入者の傾向を参考にしながらあなたの購入目的と予算を明確にし、日々の暮らしと人生を豊かにできる最適な住空間と巡りあってください。

 

●住宅ローン情報

この記事の筆者
大石泉 ファイナンシャル・プランナー

株式会社NIE.Eカレッジ 代表取締役
一般社団法人夢の実現サポーター 代表理事、幸せ住まいライフ塾 主宰、ファイナンシャル・プランナー(CFP)、産業カウンセラー、宅地建物取引主任者、自分予算Rプランナー

(株)リクルートにて週刊住宅情報(現SUUMO)の編集等に携わった後、個人のファイナンシャルプランニングの必要性を感じ、2000年にFPとして独立。将来の家計に不安を残さない「自分予算R」の重要性を提唱。「住まい、キャリア、マネー」の3つの柱で個人の豊かな暮らしと夢の実現をサポートする。2014年度金融知識普及功績者として金融庁と日本銀行より表彰される。

ファイナンシャル・プランナー 大石泉 持ち味コンサルタント
All About「シングルのマンション購入」ガイド

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