住宅の購入から年数が経つに従い、家族構成や夫婦の働き方に変化が生じることもあります。そうした変化によって住宅ローンを組んだときと家計収支が異なることがあります。住宅ローンの借り換えは、単に総返済額を抑えるだけでなく、家計に占める大きな支出である住居費を、現在の暮らしに合わせて見直す好機でもあります。

定年前の住宅ローン完済を目指すなら

30代で住宅ローンを借り入れた場合、住宅ローンの完済が定年後になる人も多いと思います。定年前の住宅ローンの完済を目指すなら、繰り上げ返済をして返済期間を短縮することももちろん可能ですが、それだけが手段ではありません。繰り上げ返済のために用意した資金を活用し、借り換えるのもひとつの手法です。

たとえば、次の住宅ローンを手持ち金を使って借り換えるケースで考えてみます。

<現在の住宅ローン>

住宅ローン残高:2,600万円、残りの返済期間:30年
全期間固定金利型の民間住宅ローン(金利2.41%、毎月返済額は101,518円)
元利均等返済、ボーナス返済なし、団信特約料金利に上乗せ

手持ち金の中から100万円を返済に充て、借入金額を2,500万円にした上で、同じ全期間固定金利型の【フラット35】(返済期間21年以上、融資比率9割以下)、金利1.46%、返済期間25年、元利均等返済、ボーナス返済なし、別途団体信用生命保険加入で借り換えた場合、借り換え後の毎月返済額は99,514円になります。つまり、毎月返済額は借り換え前よりも低い上に、返済期間を5年短縮することができるのです(表1参照)。

<表1 借入額を100万円減らして、返済期間を5年短くした場合>

 借り換え前
金利2.41% 残債2,600万円
借り換え後
金利1.46% 借入額2,500万円
毎月の返済額全期間 101,518円全期間 99,514円
年間返済額全期間 1,218,216円全期間 1,194,168円
借入期間30年25年
払額内訳総返済額36,546,727円29,854,355円
諸費用
(※1)
0円735,000円
団体信用生命保険特約料(※2)0円1,212,300円
総支払額 ①36,546,727円31,066,655円
減らした借入額 ②1,000,000円
① + ②36,546,727円32,066,655円

※1 諸費用には印紙税、登録免許税や抵当権設定・抹消にかかる登記費用および事務手数料を含む。事務手数料は2.16%(消費税込)とする。
※2 表中の団信特約料は総支払額。団信特約料は毎年年払い。

<参考 182万円を繰り上げ返済した試算>

今後の返済期間27年1ヶ月
今後の返済額 ①32,934,955円
繰り上げ返済額 ②1,820,000円
総支払額 ① + ②36,546,727円

このケースでは、繰り上げ返済するよりも、その資金を使って借り換えを検討した方がより効果が大きいことがわかります。

教育費がかかる時期の毎月のローン返済額を抑えたいのなら

子どもの成長とともに増えるのが教育費です。中学から私立に通うようになるなど、当初の想定以上にお金がかかり家計が苦しくなる場合もあります。毎月の返済額を抑えたい場合、返済期間を延ばして借り換えをするのもひとつの方策です。

借り換えの際に返済期間を延ばすことができる(※注)住宅ローンの一つに【フラット35】があります。

次の住宅ローンを返済期間を延ばして借り換えるケースで考えてみましょう。

<現在の住宅ローン>

住宅ローン残高:2,000万円、残りの返済期間:18年
全期間固定金利型(30年固定)の民間住宅ローン(金利2.82%、毎月の返済額118,178円)
元利均等返済、ボーナスなし、団信特約料金利に上乗せ

表2は、残高2,000万円の全期間固定金利型の住宅ローンを、借入金額は変えずに、返済期間を2年延長した上で【フラット35】(返済期間20年以下、融資比率9割以下)、金利1.23%、返済期間20年、元利均等返済、ボーナス返済なし、別途団体信用生命保険加入で借り換えた場合のシミュレーション結果です。毎月の返済額が24,000円ほど下がるだけでなく、総返済額も少なくなり、大学卒業までの教育費のかかる期間の家計収支にゆとりをもたせることができます。

<表2 借り換え時、借入期間20年にして毎月返済額を軽減した場合>

 借り換え前
金利2.82% 残債2,000万円
借り換え後
金利1.23% 借入額2,000万円
毎月の返済額全期間 118,178円全期間 94,045円
年間返済額全期間 1,418,136円全期間 1,128,540円
借入期間18年20年
払額内訳総返済額25,526,489円22,570,848円
諸費用
(※1)
0円607,000円
団体信用生命保険特約料(※2)0円763,100円
総支払額 ①25,526,489円23,333,948円

※1 諸費用には印紙税、登録免許税や抵当権設定・抹消にかかる登記費用および事務手数料を含む。事務手数料は2.16%(消費税込)とする。
※2 表中の団信特約料は総返済額。団信特約料は毎年年払い。

教育費がかかる前、つまり子どもが中学や高校に入学する前に、借り換えを検討しておくと良いでしょう。ただし、表2のように手元資金から諸費用を出す場合、家計に影響が出ないか十分に確認を行ってください。諸費用の手出しが難しい場合は、諸費用を借入金額に上乗せして借り換えする方法もあります。

※注 【フラット35】に借り換える場合、「35年-住宅取得時に借り入れた住宅ローンの経過期間(1年未満切り上げ)」まで返済期間を延ばすことができます。

住宅ローンの借り換えは、金利だけでなく家計収支の変化に目を向けよう

借り換えをする際には、金利や借り換えにかかる諸費用の比較はもちろん大切です。しかし、住宅ローンと長く無理なく付き合うためにも、今後の家計収支の変化に目を向けて早めにアクションを起こすことが大切になってくるでしょう。借り換えは、自分の家計に合ったものを選び直せる機会ととらえ、前向きに検討してみましょう。

 

住宅ローン情報

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この記事の筆者
海老原政子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(AFP)

国内生保の営業職員として在勤中にライフプランの重要性に目覚め、FP資格を取得。
結婚や出産、住宅購入など、人生の節目におけるお金のアドバイスができる専門家として独立。
自治体の家計相談や労働組合様向けセミナー講師、コラム執筆等実績あり。

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