毎月の返済額や返済期間を減らすことができる繰り上げ返済。繰り上げ返済をするタイミングや繰り上げ返済方法などで迷う人もいるでしょう。繰り上げ返済の種類や手続き、利息軽減効果の違い、家計状況やライフプランなどに合わせた選択方法など、これから繰り上げ返済を考えている人が知っておきたいポイントをお伝えします。

期間短縮型と返済額軽減型、どちらで返済する?

繰り上げ返済とは、住宅ローンの返済期間中に元金の一部または全部を、毎月の返済やボーナス返済とは別に返済するものです。毎月の返済額は元本と利息の両方に充てられますが、繰り上げ返済分はすべて元本に充てられ、繰り上げ返済した元本にかかる将来払うべき利息を減らすことができます(図1)。この結果、総返済額が減ります。

繰り上げ返済できる金額は金融機関によって異なり、1円から可能な金融機関もあれば、10万円以上、100万円以上といった、ある一定以上のまとまった金額が必要になる金融機関もあります。例えば、【フラット35】の場合、「住・My Note」(返済中の顧客向けインターネットサービス)からの申し込みでは10万円以上、金融機関の窓口からの申し込みでは100万円以上からとなっています。

繰り上げ返済の方法には、期間短縮型と返済額軽減型があります。期間短縮型は、毎月の返済額は変えず、返済期間を短くします。返済額軽減型は、返済期間はそのままで、毎月の返済額を減少します。どちらの返済方法でも利息が減り、その結果、総返済額を減らす効果があります。しかし、残高、残りの返済期間、金利が同じ場合、期間短縮型の方が返済額軽減型より軽減できる利息額が多く、総返済額を減らす効果は大きくなります。

<図1:繰り上げ返済イメージ図>
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どちらの方法で繰り上げ返済をするかは、都度選択することができるので、その時の目的にあったタイプを選択しましょう。期間短縮型が良いケースと返済額軽減型が良いケースの例を紹介します。

■期間短縮型が良いケース
・退職までに住宅ローンを終わらせたい
・少しでも効率よく総返済額を減らしたい

■返済額軽減型が良いケース
・数年後には教育費が増えそうなので、毎月の返済額を減らしておきたい
・収入が減るので毎月の支出を減らしたい
・変動金利を借りていて、住宅ローンの金利が上がり毎月の返済額が増えたので、元の返済額程度に抑えたい

繰り上げ返済はまとめて?こまめに?どちらがおトク?

毎月計画的に繰り上げ返済のための貯蓄をしている人や、ボーナスの一部を繰り上げ返済用資金として貯蓄している人もいるでしょう。どのくらい貯まったら、繰り上げ返済しようと思っていますか?いつ繰り上げ返済しようと思っていますか?

ある程度まとまった金額が貯まってから、まとめて繰り上げ返済する方がいいか、少額ずつでもこまめに繰り上げ返済した方がいいのか、具体的に試算してみました。

<試算条件>

借入金額:3,500万円
借入期間:35年
借入金利:2%
返済方法:元利均等返済、ボーナス返済なし

※繰り上げ返済手数料は0円とする。

総額500万円を期間短縮型で以下のように繰り上げ返済した場合を比較します。 (繰り上げ返済手数料などの諸費用は考慮しない)

<繰り上げ返済例>

[1]:5年に一度100万円ずつ5回繰り上げ返済(総額500万円)
[2]:毎年20万円ずつ25回繰り上げ返済(総額500万円)

<表1:返済方法の違いによる効果の比較>

※返済開始日:2013年4月20日

 利息軽減額総返済額短縮期間最終返済日
繰り上げ返済なし48,695,632円2048年3月20日
繰り上げ返済例[1]2,293,937円46,401,695円約62ヶ月2042年1月20日
繰り上げ返済例[2]2,578,588円46,117,004円約65ヶ月2041年10月20日
[2]-[1]284,651円約3ヶ月

表1の試算から、繰り上げ返済する金額が同じ場合、まとまったお金ができてから返済するより、こまめに返済した方が返済期間も短くなり、総返済額も少なくなることがわかります。住宅ローンの総返済額を少しでも減らしたい、返済期間を短くしたいなら、表1の試算結果でも見られるように、まとまったお金が貯まってから繰り上げ返済するよりも、少額でも早めにこまめに繰り上げ返済を行う方が良さそうです。

さて、上記は金利2%の場合で試算しましたが、金利が低い場合にはどの程度の違いが生じるでしょうか?
金利が1.58%の場合で上記と同様の条件で繰り上げ返済した場合の利息軽減額は、以下のようになります。

<表2:返済方法の違いによる効果の比較>

※返済開始日:2013年4月20日

 利息軽減額総返済額短縮期間最終返済日
繰り上げ返済なし45,587,386円2048年3月20日
繰り上げ返済例[1]1,731,657円43,855,729円約62ヶ月2042年1月20日
繰り上げ返済例[2]1,940,449円43,646,937円約63ヶ月2041年12月20日
[2]-[1]208,792円約1ヶ月

金利が高い表1と比べると、表2は利息軽減額も減り、その差額も小さくなります。ただし、金利が低くてもこまめに返済した方が、利息軽減効果が高いことは変わりません。

繰り上げ返済による利息軽減効果や返済期間の短縮だけでなく、性格や家族構成、ライフプランやライフステージに応じた返済プランを考える事も大切です。まとめて繰り上げ返済した方が良いケースと、こまめに返済する方が良いケースの例を紹介します。

■まとめて繰り上げ返済をした方が良いケース
・こまめに手続きをするのが面倒
・繰り上げ返済の効果をより大きくと感じたい
・手元にある程度お金がないと不安を感じる

■こまめに返済する方が良いケース
・余裕資金が手元にあるとついつい使ってしまう
・少しでも効果的に総返済額を減らしたい
・返済手続きの手間や手数料の支払いの負担を感じない

住宅ローンの繰り上げ返済をしてしまったために、手持ち資金がなく、結局マイカーローンや教育ローンなどを使うことになってしまっては元も子もありません。
これから繰り上げ返済を考える場合は、今後のライフプランを一度考えて、無理のない返済計画を立てましょう。

 

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この記事の筆者
中野敦成 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー

2005年から独立FPとして、大阪で個人相談を中心に活動中。
年間300件以上のご相談を受ける傍ら、『あんしんして豊かに暮らす』をテーマにセミナーや執筆でも活躍中。

FP事務所LBプランニング

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