住宅購入時に、住宅ローン控除が受けられることを決め手にしたという方も少なくないと思いますが、住宅ローン控除が受けられる10年間に転職した場合にはどうなるのでしょうか? 今回は、転職した場合の住宅ローン控除の手続き等を見てみましょう。

転職した場合でも年末調整は必要

まず、基本的なところから確認します。たとえ、年の途中で転職した人でも、転職先で年末まで勤務していれば、年末調整の対象となり、手続きは、年末に勤めている転職先で行います。なお、所得税額は前職、転職先の双方の収入を合算した1年分の収入で決まるので、転職先に前職の『源泉徴収票』も必ず提出しましょう。一緒に提出することで、前の勤務先で天引きされた所得税についても、払い過ぎていれば還付を受けることができます。

 

転職自体は住宅ローン控除に影響はしない

続いて、住宅ローン控除の適用を受けている人のケースを確認しましょう。ローン控除が適用される期間中に住宅ローンの借入者(税金の還付が受けられる人)が勤務先を退職した場合でも、住宅ローン控除には影響しません。退職した同じ年に再就職しても、あるいは、その年に再就職しない場合でも、どちらの場合にも住宅ローン控除は引き続き受けられます。ただし、退職した年に再就職した場合と再就職しない場合とでは、住宅に居住した年によって必要書類や確定申告等の手続きが変わるので要注意です。

 

退職した年と同じ年に再就職した場合にはどうなる?

まず、住宅ローン控除の手続きのおさらいをしましょう。1年目は確定申告、2年目年以降は、勤務先にて年末調整をしてもらうことで住宅ローン控除の適用を受けることができ、年末調整で住宅ローン控除を受けるための必要書類は以下の3種類でした。(平成22年以前に住宅を買っている人が対象で、すでに控除を受けている人のケース)

年末調整で住宅ローン控除を受けるための必要書類(平成22年以前に住宅を買っている人が対象)
①税務署から自宅に一括して送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(以下、「控除申告書」)
②金融機関からの交付される年末の「住宅ローンの残高証明書」
③「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(以下、「控除証明書」)

③の控除証明書は1枚のみで、その控除証明書は2年目に年末調整を受ける際に、すでに勤務先に提出しています。したがって3年目以降も勤務先が同じ場合には、③の控除証明書の提出は必要なく、①の控除申告書と②の残高証明書を毎年勤務先に提出する必要がありました。

 

「平成22年以前」に住宅ローン控除の対象となる住宅に居住した人

注意が必要なのは、「平成22年以前」に住宅ローン控除の対象となる住宅に居住した人、つまりすでに“住宅ローン控除を年末調整で受けている人”です。平成22年以前に住宅を購入した人で、その後、転職をした場合には、サラリーマン(給与取得者)の場合、再就職先の会社に年末調整をしてもらうことで、住宅ローン控除を引き続き受けることができます。その際、転職先に、改めて③の控除証明書を再就職先に提出しなければなりませんが、すでに1枚しかない控除証明書を前勤務先に提出しているため、手元には③の控除証明書がないので、税務署に再発行の申請をする必要があるのです。
再発行の手続きは簡単です。『年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書』(※)を作成のうえ、住所地を管轄する税務署に持参、もしくは郵送で申請すれば再発行されます(書類には印鑑、身分確認書が必要)。郵送の場合には自分宛の切手を貼付した返信用封筒を同封するのを忘れずにしましょう。
「再発行された控除証明書」「控除申告書(前段の書類①)」「住宅ローンの残高証明書(前段の書類②)」を再就職先の総務などへ提出し、年末調整することで、引き続き、給与口座へ税金の還付金が振り込まれます。

 

「平成23年以降」に住宅ローン控除の対象となる住宅に居住した人

「平成23年以降」に住宅を購入した人の場合についても見てみましょう。実は、平成24年6月以降からは、①の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と③の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」はセット(上半分が申告書、下半分が証明書)になっており、確定申告をした翌年度に翌年以降の分もまとめて送付されてきます。(つまり、控除証明書は1枚きりではない!)ですので、転職した場合でも、手元にある、まだ使っていない残りの「証明書兼申告書」を転職先に提出することで年末調整によって住宅ローン控除の適用を受けることができます。

ちなみに、退職時に退職金をもらっており、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合には、退職所得に対する税金が源泉徴収されています。ケースバイケースではありますが、通常は、例年より多くの所得税を支払っていることになるので、再就職した年の年末調整時には、いつもよりも多くの所得税が還付される可能性が高いです。これは少し楽しみではありますね。

※国税庁HPよりダウンロード可能
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/36.htm

 

再就職をせずに年末を迎える場合にはどうなるの?

退職後、再就職をせずに年末を迎えた場合には、当然、年末調整はできませんので、退職年に対応する年分の所得税の確定申告時(翌年2月16日~3月15日)に、自分で再度、住宅ローン控除を受けるために確定申告をする必要があります。

退職時に勤務先から交付された「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」、さらに、金融機関から毎年送付される「住宅ローンの残高証明書」、手元にある退職した年の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を持って、住所地を管轄する税務署で確定申告の手続きをしましょう。控除証明書については、“年末調整”のときに必要になる書類ですので、確定申告をする際には必要ありません。

サラリーマンの場合、納税や社会保険料の支払い、生命保険料控除や住宅ローン控除などの手続きは会社におまかせで、なかなか手続きの仕組みに触れる機会はありませんが、転職、退職時にあわてないよう、しっかり確認をしておきたいものですね。

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●住宅ローン情報

この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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