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住宅ローンを組む際、頭金をどの程度入れるのが良いのか迷うところです。今回は、頭金をどの程度入れるかという観点も含めて年収500万円世帯の資金計画を考えてみます。

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年収500万円世帯では、借入可能額はいくらになる?

まず、年収500万円世帯では借入可能額はいくらになるのか見てみましょう。
<条件>

35歳 年収500万円 返済期間35年 元利均等返済方式 ボーナス返済なし
他に借り入れはなし

img_00088_1

<借入金額100万円あたりの月返済額 元利均等返済方式>

適用金利 0.99% 1.08% 1.52% 3.5%
35年 2,818円 2,860円 3,071円 4,132円

まず、A銀行で借り入れをする場合には、返済比率が“35%以内”なので、年間返済額を500万円×35%=175万円以内、月返済額を約14万5,833円に抑える必要があります。

また、住宅ローンの借入可能額を計算する場合の金利は、実際に借り入れする際の金利0.99%ではなく、審査上の金利3.5%です。

したがって、返済比率から見た借入可能額は以下のようになります。

14万5,833円÷4,132円×100万円=約3,520万円(10万円以下切捨)

一方で、【フラット35】で借り入れした場合は、適用金利が審査上の金利となりますので、借入可能額は以下のとおりとなります。

融資比率9割以下:14万5,833円÷2,860円×100万円=約5,090万円(10万円以下切捨)
融資比率9割超 :14万5,833円÷3,071円×100万円=約4,740万円(10万円以下切捨)

<金融機関から借り入れできる金額(借入可能額)>img_00088_3

ちなみに、審査上の金利は金融機関によっても異なります。

複数の金融機関に住宅ローンの申し込みをした際に借入可能額に差が出るのは、この審査金利や収入などの審査基準が影響しているといえます。

理想の返済比率から見た借入適正額は?

今まで見てきたのはあくまでも「金融機関からいくら融資を受けられるか?」という観点からの借入可能額で、一般的には、無理なく長期間返済を続けるには、返済比率を年収(税込)の“25%以内”に抑えておくことが理想です。

では、理想の返済比率から見た借入適正額はいくらか、先ほど見た年収500万円世帯の例で考えてみましょう。

<借入金額100万円あたりの月返済額 元利均等返済方式>

適用金利 0.99% 1.08% 1.52%
35年 2,818円 2,860円 3,071円

返済比率を25%以内に抑えるためには、年間返済額を500万円×25%=125万円、つまり月返済額を10万4,166円以下に抑えておくことが理想と言えます。

借入適正額は、実際に借入れる際に適用される金利0.99%で考えますので、A銀行の場合は、約3,690万円が無理なく返済できる借入額となります。

10万4,166円÷2,818円×100万円=約3,690万円(10万円以下切捨)

【フラット35】で借り入れした場合も同様に適用金利で借入可能額を計算するので、以下の金額が理想の借入適正額となります。

融資比率9割以下:10万4,166÷2,860円×100万円=約3,640万円(10万円以下切捨)
融資比率9割超 :10万4,166円÷3,071円×100万円=約3,390万円(10万円以下切捨)

<無理なく返済できる借入額(借入適正額)>img_00088_5
当然、年収が多くなればなるほど、金融機関からの借入可能額は増えます。

ただし、仮に、金融機関での借入可能額が自分の予想や予定よりも多かったとしても、すぐに物件のグレードを上げるのではなく、「無理なく長期間返済するための借入適正額」をしっかり把握して、借入金額、物件価格を考えることを忘れずに!

頭金を入れることで、返済比率を抑えることができる! 頭金はどの程度入れる?

返済比率を抑えるには、“物件価格を下げること”がまず頭に浮かびますが、物件のグレードを落としたくない場合には、“頭金を多く入れて、借入金額を少なくすること”もひとつの方法です。

では、世の中の人はどの程度、頭金を入れているのでしょうか?

<物件価格に占める手持金(頭金)の割合(全国)> (単位:万円)img_00088_6※住宅金融支援機構 「2015年上半期 【フラット35】利用者調査」より作成
※1 注文住宅の場合には「建設費+土地取得費」、建売住宅・マンション・中古戸建住宅の場合は「購入価額」

上記は、【フラット35】を活用している人の統計ですが、おおよそ1~2割程度は頭金を入れていることがわかります。

最近では、例えば、【フラット35】では融資比率が9割超の場合よりも9割以下の場合の金利を低く設定する、民間金融機関でも頭金を2割入れると金利を引き下げる、など頭金の金額で適用される金利が変わるケースもあります。

金利がどうなるのか?も踏まえて頭金をどの程度入れるかを考えることも大切ですね。

もちろん頭金を入れ過ぎていざというときに手元資金がない、というのでは困りますので、手元に残す資金との兼ね合いは忘れずにしましょう。

なお、現在は、両親や祖父母から住宅を購入するための資金援助を受けた際に、一定の金額までは贈与税かかからない制度もありますし、教育費の援助を両親や祖父母から受けることで、住宅費に手元の資金を回すことも可能です。資金援助が受けられる方は、積極的に活用を検討してみてください。

頭金の金額でどの程度、購入できる物件価格が変わる?

頭金が多ければ多いほど借入金額が減るので、毎月の返済額は減り、返済比率を抑えることができますが、手元資金が心もとなくなります。

こどもの教育費負担が増える時期と重なる場合などには、ある程度手元資金を残しておくことも必要ですので、ライフプランも踏まえて、頭金をどの程度入れるかを考えることが大切ですね。

では、頭金の額でどの程度、購入できる物件価格が変わるかを見てみます。

<条件>

35歳 年収500万円 返済期間35年 元利均等返済方式 ボーナス返済なし
他に借り入れはなし 返済比率は年収の25%以内に抑えることが前提

img_00088_7※取扱金融機関の提供する金利で最も多い金利(2016年5月時点)

例えば、諸費用を物件価格の10%と仮定すると、4,050万円の物件を購入しようとした場合、諸費用込の住宅にかかる費用は4,455万円となります。

住宅ローンの返済比率25%に抑えるためには、4,455万円-借入適正額3,640万円=815万円、つまり、諸費用込みで815万円の頭金を用意しておく必要があるわけです(この場合の融資比率『借入金額3,640万円÷住宅の建設に要する費用または住宅購入価額4,050万円』は89.8%)。

もし、頭金が500万円しかないのであれば、融資比率90%超になってしまいます。

<4,050万円の住宅を購入する場合(返済比率は25%以内であること)>img_00088_8


<同条件で、頭金が500万円の場合(返済比率が29.1%になってしまう)>img_00088_9

したがって、住宅ローンの適用金利は1.52%、借入適正額は3,390万円となり、
【借入適正額+頭金=物件価格(X)+諸費用】
【3,390万円+500万円=X+0.1X】 
【1.1X=3,890万円】
【X=約3,536万円】
つまり、物件価格を3,530万円程度に抑えておくことが必要となりますね。(この場合の融資比率は約96.0%)

<頭金500万円で住宅を購入する場合(返済比率は25%以内であるとする)>img_00088_10
年収500万円世帯の方については、他に借入金がなければ、比較的大きい金額の借り入れをすることが可能です。

ただし、今後のライフプランの変化によっては、予定外の支出がかさんで住宅ローンの返済が重い負担になることも考えられます。

手元資金をどの程度住宅費用に回すことができるか、どの程度の返済額であれば、ライフプランに変化があった場合でも無理なく返済可能か、という観点も踏まえて、身の丈にあった資金計画を立てましょう。

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この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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