グローバル化が進み、海外の事業所に転勤するケースも増える中、海外勤務中でも住宅ローンを組むことができるかどうかは気になるところです。海外勤務中でも、家族が日本に居住しているなど一定の条件を満たせば、住宅ローンを組めるケースがありますが、金融機関によっても対応が異なるので、利用時には個別に要チェックですね。

具体的にどんなケースでは海外勤務中でも借り入れができる?

住宅ローンは本人や本人の家族が居住する家を取得する際に利用できるものですので、本人、もしくはその家族が住むことが条件となります。その条件を満たしていれば、ほぼ国内に居住している場合と同様に借り入れが可能です。したがって、例えば、以下のようなケースでは借り入れが可能といえます。

ケース1)数年後にご主人以外の家族が帰国することとなり、ご主人は引き続きしばらく海外勤務予定だが、この機会に日本で家を取得する予定。

ケース2)ご主人のみが単身で海外に勤務しており、家族は日本に居住。数年後には帰国できる見込みができたので、これを機会に家を取得する予定。

ケース3)現在、海外勤務中のご主人とその家族が海外に在住。近いうちに家族全員で帰国することが決まり、この機会に住宅を取得する予定。

 

もちろん、これらのケースに当たっても、海外勤務者の住宅ローンの借り入れには対応していなかったり、条件がある金融機関もあるので、個別に窓口に確認してみましょう。

借入時、海外勤務だった場合の収入の証明書はどうするの?

海外転勤になり非居住者になると、日本国内では税金を徴収されないので、収入の証明となる源泉徴収票が発行されません。金融機関によっても書類は異なりますが、一般的には「海外勤務者用の給与証明書」を勤務先に書いてもらい、提出することで源泉徴収票に代えることができます。

証明書に記載する事項は、帰国後の給与水準を図るために、給与の合計額のうち海外赴任手当等「国内勤務復帰後は支給されない手当」の支給額や国内勤務の場合の見込み給与(本人と同等待遇勤務者の給与でも可能なケースあり)なども記載事項となっている場合もあります。その他にも、業務内容や海外勤務期間、海外勤務地名なども記載事項です。

この場合の審査上の収入金額は、海外勤務の特別手当や交通費等の非課税となる費用を含んだ海外勤務中の給与ではなく、国内勤務の場合の見込み給与が対象となります。
なお、給与が現地通貨で支払われるケースでは、原則として、給与証明書発行時のレートで円換算した金額で審査されます。

なお、記入事項や形式、審査基準は取り扱い金融機関によっても異なるので、実際の利用時にはチェックが必要です。

印鑑証明書はどうするの?また、手続きの際は帰国する必要がある?

海外勤務中は、日本に住んでいないので住民票も印鑑証明書もありません。したがって、本人の証明書は、在留証明と署名(及び拇印)証明を大使館や総領事館に発行してもらうことで代用します。署名(及び拇印)証明は、日本での印鑑証明に代わるものとして、領事の面前で行われた私文書上の署名及び拇印が申請者本人のものであることを証明するもので、1通につき在留証明は1,200円相当、署名証明は1,700円相当(いずれも現地通貨で現金払い)の発行手数料がかかります。申請手続きは、勤務地の公館に問い合わせてみてください。

手続きについては、金融機関によっても異なりますが、一般的には郵送でのやり取りで問題なく進めることが可能です。もちろん、物件の選定と住宅ローンの本契約の時(場合によっては面談が別途あるケースもあり)には、日本に帰国して契約者本人が手続きする必要がありますが、それ以外は通常、配偶者が代理となって手続きを進めることは可能ですので、家族や金融機関と話し合って、計画を立てると良いでしょう。
また、書類に不備や不足があった場合には、その分書類のやり取りに時間がかかるので、少し余裕を持って手続きを進めましょう。

以上のように、家族が住むという条件を満たせば、海外勤務中に住宅ローンを活用するのはそんなにハードルが高くないといえます。また、家の名義の一部を配偶者にすれば、すまい給付金等の補助金の申請も可能となっています(※)。ただし、海外勤務中は非居住者となるため住宅ローン控除の適用は受けられないので注意しましょう。補助金や住宅ローン控除、帰国後の収入等も含めて、海外勤務中に住宅を取得するのか、帰国後に取得するのか、考えることも大切ですね。

※すまい給付金制度は、持分を保有し、自ら居住する住宅の取得者が給付の対象となります。

 

住宅ローン情報

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

おすすめ記事

住宅ローン【フラット35】のメリットとデメリットは?

全期間固定金利型住宅ローンの代表ともいえる

住宅ローンの審査時に行う在籍確認ってどんなもの?

住宅ローン融資の申し込みをすると、審査の段階で勤務先への在籍確認が行われる場合があります。在籍確認ができない場合は、審査に落ちてしまうこともありますので、どのタ...

【フラット35】リノベで金利が0.6%引き下げに?! 2016年10月からスタート!

中古住宅を購入して住宅性能を一定以上向上させるリフォーム工事をすると【フラット35】の金利が一定期間年0.6%引き下げられる

リストラで住宅ローンの返済が困難になったら?

住宅ローンは30~35年という長期に亘って返済が続くため、途中で返済が困難になることもあります。なかでもサラリーマンが返済困難に陥る原因としては、会社都合による...

"