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「借り換え」というと、より金利の低い変動金利(半年型)や当初固定金利型への借り換えをイメージするかもしれませんが、今は未曽有の低金利水準時代。これ以上金利が下がりにくい状況で全期間の返済額を固定できる全期間固定金利型への借り換えは、今がチャンスといえるかもしれません。

本当に今「住宅ローンの借り換え」に有利な時期なのか?

まず、住宅ローンの変動金利(半年型)と全期間固定金利型の金利が何をもとに決められているのかチェックしましょう。わかりやすくまとめると、以下の通りです。

変動金利(半年型)・・・日本銀行の政策金利(0~0.1%)
全期間固定金利型 ・・・新発10年物国債利回り(3月11日終値 0.41%)

これを見ると、改めて現在の日本の金利が非常に低い状態にあることがわかります。将来の金利動向を正確に予測することはできませんが、もし下がったとしても余地が限られており、これ以上住宅ローン金利は下がりにくい状況だといえます。

現在、変動金利(半年型)で返済している方の中には、「しばらくは金利が低い状態が続きそうなのだから、今はこのまま借りておいて、金利が上がってきたら全期間固定金利型に借り換えをすればいいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ただ、変動金利(半年型)よりも全期間固定金利型のほうが先に金利が上昇することが多いですし、金利が急激に上昇した場合には元本の返済がなかなか進まない可能性があります。

もちろん、借り換えのためには融資の審査を受ける必要がありますが、金利上昇リスクを回避するためにも、低金利水準の今、できるだけ早いタイミングで全期間固定金利型の住宅ローンへ借り換えしておくことをおすすめします。

借り換えのメリットを測る判断基準は?

全期間固定金利型への借り換えメリットは、金利上昇リスクヘッジ、家計負担リスクの軽減という観点で考える

一般的によく言われる借り換えメリットが期待できる3条件は、

・金利差1%以上
・住宅ローン残高1,000万円以上
・残りの返済期間10年以上

ですが、必ずしもこの条件を満たしていなくてもメリットがでる可能性があります。仮に金利差がなくても、事務手数料などの借り換えコストが少ないなどのケースによってはメリットが出ることもあります。

では、変動金利(半年型)から全期間固定金利型へ借り換える場合はどうなるでしょうか?そのメリットとデメリットについて見てみましょう。
一般的に、変動金利(半年型)より全期間固定金利型の方が金利が高いので、金利は借り換え後の方が高くなり、月々の返済額も多くなるというデメリットがあります。

ただし、全期間固定金利型へ借り換えた場合には、

・将来金利が上昇した場合でも月々の返済額が変わらない
・総返済額が当初からわかるので返済計画を立てやすい
・総返済額が増える心配はなく、繰上返済などで減らす工夫を考えることに意識を向ければいい

というメリットがあります。

つまり、「現在の月々の返済額が家計上苦しいから借り換える」のではなく、「金利上昇した場合、家計を圧迫するので今のうちに月々の返済額を固定しておきたい」というケースに効果的といえます。

変動金利(半年型)から全期間固定金利型へ借り換える際のメリットの見極め方は?

全期間固定金利型へ借り換える場合は、既存の変動金利(半年型)において、【1】金利がどの程度まで上昇した場合に借り換えた方が得になるかという「損益分岐の金利」と、【2】金利が上昇した場合に「返済額が家計を圧迫しないか?」の、2点を考慮することが大切になります。

具体的に、変動金利(半年型)から【フラット35】へ借り換えるケースについて、月々の返済額と年間返済額はどう変わるか、次の条件で計算してみましょう。

<当初借り入れ条件> (A銀行 平成22年4月に借り入れ)

借入金額 3,000万円 借入期間35年 元利均等返済 ボーナス返済なし
変動金利(半年型)金利1.0% ※保証料は別途支払 団信は金利込
60回返済終了後の住宅ローン残高は、26,329,393円

※60回返済終了後、平成27年3月末時点での借り換えを検討。
※当初借入時期から金利が変化していないと仮定。

<【フラット35】へ借り換えた場合>

現在の状況(平成27年3月末)
当初借入額 3,000万円
当初借入期間 35年
借入金利(変動金利(半年型)) 1.0%
当初毎月の返済額 8万4,685円
当初年間返済額 101万6,220円
ローン残高 2,632万9,393円
▼借り換え後
ローン残高 2,632万9,393円
借り換え費用 約88万8,000円
新規借入金額 2,720万円(※)
返済期間 30年
適用金利 1.47%
毎月の返済額 9万3,481円
年間返済額 112万1,772円
残りの返済総額(団信込み) 3,525万2,619円

※ローン残高に借り換え費用を含めた金額で借り入れすると仮定
アルヒ株式会社の場合
※融資手数料は、定率タイプ:融資金額×2.16%

現在借りている金利よりも高い金利への借り換えなので、計算上は当然、月々の返済額と年間返済額は増加します。ただし、変動金利(半年型)の月々の返済額や残りの総返済額は今後の金利動向によって変わるので、金利変化も考慮してメリットを見極めることが必要です。

では、変動金利(半年型)について金利水準が上昇した場合に、月々の返済額と残りの総返済額はどうなるのでしょうか?金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇したケース、0.7%ずつ上昇したケースについて計算してみましょう。

<変動金利(半年型)の金利が上昇した場合の月々の返済額と総返済額>

ケース1:金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇したケース
  当初5年
(借入時からは10年まで)
6年目~
(借入時からは11年目~)
11年目~
(借入時からは16年目~)
16年目~
(借入時からは21年目~)
21年目~
(借入時からは26年目~)
金利 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0%
月々の返済額 8万4,685円 8万9,868円 9万4,214円 9万7,623円 9万9,995円
残りの
総返済額
3,398万2,812円

※当初金利1.0%で借り入れ、5年間(60回)返済終了後からの金利推移で試算
※21年目以降(借入当初からは26年目以降)は金利は変わらないと仮定

 

ケース2:金利が5年ごとに0.7%ずつ上昇したケース
  当初5年
(借入時からは10年まで)
6年目~
(借入時からは11年目~)
11年目~
(借入時からは16年目~)
16年目~
(借入時からは21年目~)
21年目~
(借入時からは26年目~)
金利 1.0% 1.7% 2.4% 3.1% 3.8%
月々の返済額 8万4,685円 9万1,995円 9万8,214円 10万3,155円 10万6,636円
残りの
総返済額
3,547万9,239円

※当初金利1.0%で借り入れ、5年間(60回)返済終了後からの金利推移で試算
※21年目以降(借入当初からは26年目以降)は金利は変わらないと仮定

 

まず、残りの総返済額で比較してみましょう。仮に、ケース2のように金利水準が5年ごとに0.7%ずつ上昇した場合には【フラット35】への借り換えが結果的に有利になります。一方で、月々の返済額で見てみると、ケース1の場合でも、金利が2.0%になった11年目以降、常に【フラット35】で借り換えた場合の月々の返済額を超えています。

金利水準がいつどのようなペースで上昇するかは誰にもわかりませんが、もし、金利水準が上昇した時点で、月々の返済額が家計を圧迫するのであれば、金利水準が低い現時点での全期間固定金利型である【フラット35】への借り換えが効果的と考えることができます。

なお、もし当初、民間金融機関で組んだ住宅ローンについて、保証料を別途一括で支払っていた場合には、未経過分の保証料の一部が返ってくるので、その分を事務手数料などの借り換え費用に充てれば借り換え金額を減らすことも可能です。ちなみに、【フラット35】の場合、団体信用生命保険への加入は任意となります。

もちろん、残りの返済期間やローン残高、手元資金状況などによっては、【フラット35】ではなく他の民間金融機関のより低金利の変動金利(半年型)や当初固定金利型に借り換えた方が、メリットが出る場合もあるので、借り換えのメリットは、それら複数の選択肢の中から何を一番最優先に考えるのかで判断しましょう。

実は、以前に借りた【フラット35】から現在の金利水準の低い【フラット35】に借り換える場合でも有利?!

もちろん、どの程度の借り換え効果があるかは、ローン残高、残りの返済期間、金利差によって変わってきますが、同じ全期間固定金利型である【フラット35】同士の借り換えであれば、「金利差による返済の軽減額」が「借り換えに伴う諸費用」を上回るのであればメリットがでてきます。具体的な例で計算してみましょう。

<平成22年4月に【フラット35】で借り入れ(融資率9割以下)、平成27年3月末時点で借り換えを検討した場合>

現在の状況(平成27年3月末)
当初借入額 3,000万円
当初借入期間 35年
借入金利 2.59%
毎月の返済額 10万8,701円
年間返済額 130万4,412円
ローン残高 2,718万7,782円
残りの返済総額(団信込み) 4,080万7,863円
▼借り換え後
ローン残高 2,718万7,782円
借り換え費用 当初 91万5,460円
新規借入金額 2,810万円(※)
返済期間 30年
適用金利 1.47%
毎月の返済額 9万6,574円
年間返済額 115万8,888円
残りの返済総額(団信込み) 3,641万9,268円

※ローン残高に借り換え費用を含めた金額で借り入れすると仮定
アルヒ株式会社の場合
※融資手数料は、定率タイプ:融資金額×2.16%

月々の返済額は12,127円、年間返済額だと145,524円の軽減、総返済額では諸費用込みで考えて約439万円もの軽減ができ、充分にメリットが得られることがわかります。
残りの返済期間や借り換え先の事務手数料などの条件によっても変わりますが、計算上は金利差が0.5%程度、つまり当初2%程度で【フラット35】を借りた方でもメリットが出てくる可能性があるといえます。ちなみに、平成23年以前に借り入れしている場合には、ほぼ金利が2%を超えているので検討の余地ありですね。

将来的に長期金利が上昇すると、借り換えによる利息軽減効果も薄れてしまいます。現時点では、もうしばらく長期金利が低い状態が続くと考えられるので、借り換えのチャンスは続いているといえるでしょう。無料で借り換え効果がシミュレーションできるサイトもあるので、いろいろシミュレーションしてみてはいかがでしょうか?

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この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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