住宅ローンは借り換え方次第で、「金利上昇リスクを抑える」「毎月の返済額を少なくする」「総返済額を軽減する」などの効果があります。今回は「総返済額を軽減したい」という目的のもと、借り換えをした場合にどれくらい総返済額が変わるのか見てみましょう。

借り換え効果を試算してみる

借り換えによる総支払額のメリットについては、「現時点の総返済額」と「借り換え後の総返済額の合計+諸費用の合計額」の比較でわかります。
例えば、借り換える住宅ローンの金利が現在返済中の金利より低い場合、返済期間が変わらなければ毎月の返済額は下がり、総返済額も下がります。ただし借り換えには諸費用が必要なため、「借り換え後の総返済額に諸費用を加えた総支払額」と「現時点の総返済額」を比較した上で借り換え後の金額が下回れば、借り換えメリットがあるといえます。
ただし、“金利差が少ない場合”や“残りの返済期間・ローン残高が少ない場合”は、「現時点の総返済額」のほうが下回るケースもあります。その場合、借り換えるメリットはないといえるでしょう。

<表1 借り換えるメリットがある場合>

返済中のローン 借り換え後のローン
金利2.5%・残高2,500万円
残り返済期間25年・元利均等返済
毎月返済額:112,154円
今後の総返済額:約3,365万円
金利2.0%・残高2,500万円
残り返済期間25年・元利均等返済
毎月返済額:105,963円
今後の総返済額:約3,245万円
(内借り換えにかかる諸費用:約66万円)
総支払額 約120万円の減少

※ 諸費用は、融資手数料、保証料、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※ 比較による差額はあくまで一例です。
※ 団体信用生命保険の特約料は金利に上乗せされていると仮定。

<表2 借り換えメリットがない場合>

返済中のローン 借り換え後のローン
金利2.2%・残高1,000万円
残り返済期間10年・元利均等返済
毎月返済額:92,911円
今後の総返済額:約1,115万円
金利2.0%・残高1,000万円
残り返済期間10年・元利均等返済
毎月返済額:92,013円
今後の総返済額:約1,128万円
(内借り換えにかかる諸費用:約24万円)
総支払額 約13万円の増加

※ 諸費用は、融資手数料、保証料、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※ 比較による差額はあくまで一例です。
※ 団体信用生命保険の特約料は金利に上乗せされていると仮定。

上記表1の例では、金利差0.5%、残高2,500万円、期間25年だと、諸費用を考慮しても総支払額は約120万円少なくなり、借り換えるメリットがありそうです。一方、表2の金利差0.2%、残高1,000万円、期間10年では、諸費用を考慮すると総支払額で13万円増えますので、借り換えるメリットはありません。

次に、金利タイプを以下のパターンで借り換えた場合の比較について見ていきましょう。

[1]全期間固定金利型(民間住宅ローン)→全期間固定金利型(【フラット35】)
[2]変動金利(半年型)→変動金利(半年型)
[3]全期間固定金利型(民間住宅ローン)→変動金利(半年型)
[4]変動金利(半年型)→全期間固定金利型(民間住宅ローン)

 

同じ金利タイプで借り換えた場合は?

総返済額の差を見る場合、同じ金利タイプで比較すると借り換えるメリットが明確になります。借り換えた場合でも同じ金利タイプであれば、将来の金利の動きは同じだからです。

[1]全期間固定金利型から全期間固定金利型へ借り換えた場合

総支払額で約151万円の軽減効果が生まれるケースも!
同じ全期間固定金利型ながら、「民間住宅ローン」より【フラット35】の金利水準が低いため、返済中のローンよりも金利が下がれば、借り換え効果がありそうです。ただし、民間住宅ローンの場合、団体信用生命保険(以下、「団信」)の保険料は金利に含まれていますが、【フラット35】の場合は団信の保険料は金利に含まれていません。団信に加入するには、機構団体信用生命保険特約の特約料を毎年支払う必要がありますので、特約料の分も加味して試算しましょう。

<表3>

  返済中のローン 借り換え後のローン
金利タイプ 全期間固定金利型
(民間住宅ローン)
全期間固定金利型
(【フラット35】)
適用金利 2.5% 1.55%
ローン残高(借り換え金額)  2,500万円 2,500万円
残り返済期間  25年 25年
毎月返済額(元利均等返済)  112,154円 100,572円
総返済額(1)  33,646,064円 30,171,581円
借り換えにかかる諸費用(2) ※1  ―  735,000円
団体信用生命保険特約料(総額)(3)  ―  1,216,200円
総支払額(1)+(2)+(3)  33,646,064円  32,122,781円
差額 ※2   ▲1,523,283円

※1 諸費用は、融資手数料2.16%、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※2 比較による差額はあくまで一例です。

上記表3の例の場合には、借り換えにかかる諸費用や団体信用生命保険の特約料が別途かかったとしても、総支払額で約152万円の軽減効果があります。【フラット35】は金融機関によって金利や手数料が異なりますので、取り扱い金融機関同士で比べることも大切です。

[2]変動金利(半年型)から変動金利(半年型)への借り換え

金利引き下げ幅が大きければ、適用金利が下がって借り換え効果あり!
変動金利(半年型)は、金利の引き下げ幅がより大きなローンに借り換えられれば、適用金利が下がるので毎月の返済額も下げることができます。ただしここ最近で変動金利(半年型)を借りている人は、すでに適用金利が低いため、借り換えの必要性を感じないかもしれません。現在の金利より高い金利で借りている方は、借り換えを検討してみてもよいでしょう。

違う金利タイプで借り換えた場合は?

全期間固定金利→変動金利(半年型)/変動金利(半年型)→全期間固定金利など、金利タイプを変えて借り換えた場合は、メリットがあるかどうかは借り換え後の金利水準はもちろん、世の中の金利情勢が今後どう推移するかによって変わります。

[3]全期間固定金利型から変動金利(半年型)へ借り換えた場合

金利差が大きいため、金利が上昇しても借り換えメリットがあるケースも!
全期間固定金利型(民間住宅ローン)から変動金利(半年型)への借り換えでは、金利差が大きくなるため、ほとんどの場合、当初の毎月返済額は下がります。ただし、借り換え後、将来金利が上がると借り換えるメリットが少なくなりますので、金利が上昇した場合も想定し検討しましょう。

<表4 借り換え後の変動金利(半年型)の金利が変わらなかった場合の試算>

  返済中のローン 借り換え後のローン
金利タイプ 全期間固定金利型 変動金利(半年型)
適用金利 2.5% 0.775%
(全期間1.7%引き下げ)
ローン残高(借り換え金額) 2,500万円 2,500万円
残り返済期間 25年 25年
毎月返済額(元利均等返済) 112,154円 91,693円
総返済額(1) 33,646,064円 27,507,933円
借り換えにかかる諸費用(2)※ 658,750円
総支払額(1)+(2) 33,646,064円 28,166,683円
差額 ※ ▲5,479,381円

※ 諸費用は、融資手数料、保証料、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※ 比較による差額はあくまで一例です。
※ 団体信用生命保険の特約料は金利に上乗せされていると仮定。

 

<表5 借り換え後の変動金利(半年型)の金利が5年ごとに0.5%上昇した場合>

  返済中のローン 借り換え後のローン
  適用金利 毎月返済額
(元利均等返済)
適用金利 毎月返済額
(元利均等返済)
当初

 

2.5%

 

112,154円

0.775% 91,693円
6~10年目 1.275% 96,246円
11~15年目 1.775% 99,798円
16~20年目 2.275% 102,255円
21~25年目 2.775% 103,532円
総返済額(1) 33,646,064円 29,611,444円
借り換えにかかる諸費用
(2) ※
658,750円
総支払額(1)+(2) 33,646,064円 30,270,194円
差額 ※ ▲3,375,870円

※ 諸費用は、融資手数料、保証料、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※ 比較による差額はあくまで一例です。
※ 団体信用生命保険の特約料は金利に上乗せされていると仮定。

上記表4の例では、借り換え後の変動金利(半年型)の金利が変わらなければ総返済額が約550万円下がります。また上記表5の試算で5年ごとに0.5%金利が上がった場合でも、その時点のローン残高が減っているため毎月の返済額は借り換え前を上回ることはなく、総返済額で約340万円下がる結果になりました。
今回のケースは金利が0.775%~2.775%での試算でしたが、今後金利上昇幅が大きい場合で借り換えをすると総支払額が増えてしまった、という結果もありえることは覚えておきましょう。

[4]変動金利(半年型)から全期間固定金利型へ借り換えた場合

金利は高くなるが、借り換えで金利上昇リスクを抑えることも可能に!
全期間固定金利型は、変動金利(半年型)よりも金利水準が高いので、今後も金利が変わらないと仮定すれば、変動金利(半年型)のままの方が総返済額は少なくなります。ただし、金利が上昇局面となり、変動金利(半年型)の金利が全期間固定金利型の金利を上回ると、借り換えた方が総返済額が少なくなる可能性があります。単純な金利差だけでなく、金利が全期間固定という“安心感”を得たい方などで借り換えを検討する場合は、いま借りている変動金利(半年型)の金利がどの程度まで上がると全期間固定金利型の返済額を上回るのか、などの試算をした上で検討するとよいでしょう。

繰り上げ返済と借り換えはどっちが得?

借り換え以外で総返済額を減らす方法として「繰り上げ返済」があります。ここでは手元に300万円があるとした場合、300万円を繰り上げ返済したケースと、借り換えにかかる諸費用と自己資金の合計で300万円を利用してローンを借り換えたケース(金利2.8%→1.54%での比較)の、総返済額の違いを見てみましょう。

<試算の前提>

借入額3,500万円/借入期間35年/金利2.8%(全期間固定金利型)
毎月返済額130,821円(元利均等返済)/総返済額 約5,494万円

1.繰り上げ返済

<表6 返済開始10年後に300万円繰り上げ返済した場合(手数料は無料で計算)>

  期間短縮型 返済額軽減型
毎月返済額 130,821円 116,905円
(軽減額13,916円)
残り返済期間 21年5ヶ月
(短縮期間3年7ヶ月)
25年
繰り上げ返済後の総返済額 約5,226万円 約5,377万円
利息軽減額 約268万円 約117万円

2.借り換え

<表7 返済開始10年後に300万円を使って(元金充当224万円、諸費用76万円で)借り換えた場合>

10年後のローン元金残高約2,820万円/224万円を元金に充当し2,596万円で借り換え
76万円は借り換え諸費用に充当

  返済中のローン 借り換え後のローン
金利タイプ 全期間固定金利型 全期間固定金利型
(【フラット35】)
適用金利 2.8% 1.55%
毎月返済額(元利均等返済) 130,821円 104,434円
残り返済期間 25年 25年
総返済額(1) 約3,924万円 約3,133万円
借り換え諸費用(2) ※1 約76万円
団体信用生命保険(総額)(3) 約126万円
総支払額(1)+(2)+(3) 約3,924万円 約3,335万円
差額 ※2 約589万円

※1 諸費用は、融資手数料2.16%、印紙税、登録免許税、抵当権設定・抹消の司法書士報酬の合計額
※2 比較による差額は適用金利、返済期間、諸費用等により異なりますので、あくまで一例です。

上記の例では、300万円の充当で減らせる総返済額は、繰り上げ返済(期間短縮型)で約268万円(<表6>参照)、借り換えで約589万円(<表7>参照)と、借り換えの方が約321万円多くなります。ただし、繰り上げ返済の実行時期、借り換え後の金利差やローン残高、残り返済期間によっても総返済額は変わりますので、そのタイミングにより綿密な試算が必要となります。

住宅ローンは長期間返済が続きます。当初はローンの返済負担はなくても、世帯の収入が減る、教育費が増えるなど家計に変化があれば、ローンの返済負担も相対的に上がります。
借り換えで総返済額を減らし貯蓄として将来に残すことで、家計負担が増えた時や完済後の家計にも、ゆとりが生まれるのではないでしょうか。

 

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この記事の筆者
高橋浩史 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー/FPライフレックス代表

20代の頃、勧められるままに入った生命保険と住宅ローン選びで失敗し、家計は毎月赤字に。その後FP資格の学習と並行して、自ら保険の見直しと住宅ローンの借り換えを実現し、年間100万円を貯蓄できる家計に改善。現在は「家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。

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