知らないと損をする!? 住宅ローン控除と住宅ローン減税の話

住宅購入を促進するために、国は「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」の制度を作りました。経済状況に合わせて控除額など変化はしていますが、「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」の制度を最大限に利用し、少しでもお得に住宅を購入するのがおすすめです。

住宅ローン控除や住宅ローン減税の制度が生まれた背景

日本で住宅ローンが始まったのは、明治時代だと言われています。元々は銀行などの金融機関ではなく、不動産会社が一般市民のために割賦払いの制度を作りました。つまり、それまで一般市民が住んでいたのは持ち家ではなく、借家がほとんどだったのです。

その後、経済の活性化に従って、阪急電鉄の小林一三が「土地付き住宅の月賦販売」のシステムを作り、関西方面で一般市民が住宅購入に積極的になるという状況が出てきましたが、まだ住宅ローンのような制度は整っておらず、宮部みゆきの『火車』の題材にも扱われたような悪質な業者がはびこっていました。

しかし、日本の地価と所得が右肩上がりに上昇してくると、国の住宅政策は経済の浮揚に効果を発揮するようになりました。旧・住宅金融公庫は1950年に設立されましたが、最初のうちは個人ではなく、住宅分譲業者 に向けた支援が行われていました 。現在のように個人への貸し付けを行うようになったのは、1970年になってからです。田中角栄の「日本列島改造論」もあり、土地の運用という考えが広がって、地価の向上とともに経済も一層発展していきました。

このような背景があり、国土交通省と財務省所管の特殊法人・政策金融機関である住宅金融公庫が設立され、住宅ローンの整備や減税など、一般市民でも住宅を購入できるように国が支援をしてきました。

ちなみに、住宅ローン減税のスタートは1972年に導入された住宅取得控除です。これは、住宅購入後3年間は取得金額1%分の税金を控除するというものでした。その後1978年に住宅ローンが控除対象になり、国の経済状況に合わせて徐々に控除額などが変わりながら現在の形となっています。

住宅購入に関連する控除や減税

住宅を購入する際には、様々な税金がかかってきます。しかし、それらは一定の条件を満たすことで軽減されることがあります。続いて、「住宅購入」に関する税金の軽減条件を紹介します。

印紙税

10万円超の売買契約の場合、2018年3月31日購入分まで軽減されます。

不動産取得税

床面積が50m²以上などの条件で軽減されます。

登録免許税

登記簿上の床面積が50m²以上などの条件で軽減されます(2015年3月31日まで)。

固定資産税・都市計画税

床面積が50m²以上などの条件を満たすと、建物分の税額が新築後5年間1/2に軽減されます(2016年3月31日購入分まで)。

また、住宅購入の際には、固定資産税のように新しい税金がかかるだけでなく、お得になる税金や給付金などもあります。

住宅ローン控除

年末のローン残高に応じて、一定額が所得税から差し引かれます(2017年12月の入居まで)。控除率は1%、最大控除額は400万円(認定長期有料住宅の場合500万円)で、所得が3,000万円以下の人が対象です。所得税から控除しきれない額は、住民税からも控除できます。中低所得者層の負担を減らすために、2009年度の税制改定から改正され、所得が低い方や扶養者が多い方などは当てはまる可能性が高くなりました。

所得税における住宅ローン控除可能額 — 住宅ローン控除適用前の所得税額 = 個人住民税の住宅ローン控除額

という形で算出されます。

この控除を受けるためには、確定申告が必要です。サラリーマンなど勤務先から給料が支払われている場合、会社が代わりに個人の所得税や住民税を納めています。しかし、毎月天引きされている金額は、支払っている給与からの概算となります。そこで正しい額を出すため、年末に配偶者控除や扶養控除、保険料控除などをする「年末調整」が行われます。

また、これらの控除はとは別に、納めすぎた税金を返してもらうための「還付申告」というものもあります。住宅ローン控除を受けたり、納めすぎた税金を取り戻すためには、2月15日〜3月15日(曜日によって日付は変更されます。)に確定申告を行わなければなりません。住宅を購入した年の申告を一度行うと、翌年から「年末調整」によって税金の控除が受けられます。

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 すまい給付金

一定の年収以下(目安として年収510万ほど)の人が住宅ローンを利用して家を購入した場合、10~30万円もらえます。

 贈与税の特例

20歳以上の人が親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、非課税枠の500万円まで(省エネ性の高い住宅または耐震性の高い住宅は1,000万円まで)は贈与税がかかりません。

相続時精算課税制度

20歳以上の子が親から贈与を受けた場合(2,500万円まで)、相続時に相続税で贈与税を精算できます。上記の贈与税の特例と併用できるため、3,000~3,500万円まで非課税となる可能性があります。

資金計画を立てる際に控除額のシミュレーションも

実際に控除される金額は、家族構成や年収、住宅ローンの利用額など個人の状況によって異なるので、住宅ローンを利用する際には、住宅ローンのシミュレーションだけでなく控除額のシミュレーションもしながら、今後の返済計画を考えることをおすすめします。下記が実際のシミュレーション例ですので、参考にしてみてください。

<条件>

・源泉徴収のみの会社員
・年収600万円
・家族構成(扶養家族)は、妻一人、子ども二人
・住宅の持分は一人で所有している
・借入金額3,000万円、金利1.61%、返済期間30年、元利均等返済、ボーナス払いなし
の返済プランで住宅ローンを組んでいる

<シミュレーション結果>

住宅ローン控除:
初年度 約25万3,000円
10年間の合計 243万1,800円
すまい給付金:10万円

※国土交通省すまい給付金サイト、すまい給付金シミュレーションによる結果を引用

消費税10%になるにあたって

住宅ローン控除や減税について一通りお話しましたが、最後に消費税のことも少し考えておきましょう。
もし数年先に消費税が8%から10%に増税された場合、2,500万円の住宅なら50万円の増額…と単純に思いがちですが、土地には消費税がかかりません。また、消費税は購入時ではなく、引き渡しの時点で確定するので、8%の時に購入しても、10%の時に引き渡しであれば、支払う消費税は10%になります。増税後は不動産会社に支払う手数料も上がり、建物を建てる際の建材や人件費にも消費税はかかってくるため、建物そのものが値上がりする可能性もあります。これから住宅を購入するのであれば、やはり消費税の動向には注意しておきましょう。

また、金融緩和が終了した際には、金利は上がっていくことも予想されます。住宅ローンを今借りるなら、金利上昇リスクのない全期間固定金利の住宅ローンを選ぶのが得策かもしれません。

住宅ローン控除や住宅ローン減税があるからといって、住宅購入に簡単に踏み切ってよいというわけではありません。しかし、せっかく住宅ローンを組んで住宅を購入するのであれば、最大限利用すべきでしょう。特に住宅ローン控除の制度は年末調整や確定申告など別途手続きが必要になるので、「知らなくて損をした」ということがないよう気を付けましょう。詳細情報や手続きがよく分からない方は、専門の店舗やファイナンシャル・プランナーに相談すると良いでしょう。

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(最終更新日:2021.02.05)
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