2016年4月に発生した熊本地震をキッカケに、あらためて地震保険に注目が集まっています。地震保険から払われる保険金は十分な額にはなりませんが、生活再建費用や住宅ローン返済に役立てることができます。いつどこで起こるかわからない地震だけに、万が一の事態に備えて地震保険には加入しておきたいものです。

地震でマイホームが倒壊しても、火災保険だけでは保険金が支払われない!

火災保険は、火災をはじめとするさまざまな災害や日常生活の思わぬリスクに備え、大切な建物や家財の損害を補償する保険で、一般的にマイホームを取得した方は建物と家財、賃貸住宅の方は家財の火災保険への加入が必須となっています。

<火災保険の主な補償内容>img_00089_1※損保ジャパン日本興亜ホームページ参照

火災保険の契約をすると、上記の損害を被ったときに、契約時に建物と家財それぞれに設定した「保険金額」の範囲内で、損害の程度に応じて「保険金」が支払われます。

ただ、損害の原因が地震や噴火、津波の場合には、保険金は支払われません。たとえば、地震が原因で自宅が燃えても火災保険によっては補償されないのです。なぜなら、地震や噴火、津波の被害は広範囲で甚大になる可能性が高いため、民間の損害保険の枠組みでは運営ができないからです。そのため、これらを原因とする損害の補償を受けるには、火災保険に加えて、政府が関与する地震保険に加入する必要があります。

地震保険の保険金の額は不十分でも、生活再建や住宅ローンの返済に活用できる!

地震保険は単独で契約することはできません。火災保険契約がなければ地震保険の契約はできない仕組みになっています。近年は新規に火災保険を契約する際、地震保険が原則として自動セットされるようになっており、2014年度中の契約では約6割に地震保険がセットされています。ただ、全国の世帯数に対する地震保険契約の割合(世帯加入率)は、年々上昇しつつあるとはいえ、28.8%にとどまっています(2014年度)。
※調査元:地震保険の契約件数・世帯加入率・付帯率の推移(https://www.sonpo.or.jp/useful/insurance/jishin/pdf/reference/jishin_suii.pdf
なお、既に火災保険の契約をしていれば、地震保険は途中からでも契約をすることができます。

地震保険から支払われる保険金は十分な額にはなりません。なぜなら、火災保険の保険金額の一定割合までしか保険金額を設定することができず、さらに限度額が設けられているからです。

<地震保険の契約上の制約>img_00089_2

※注)保険金の支払いについて、現在は「全損」「半損」「一部損」の3区分ですが、2017年1月以降4区分に改められる予定です。

たとえば、火災保険契約において、建物の保険金額を3,000万円、家財の保険金額を1,000万円とした場合、地震保険ではそれぞれの50%の建物1,500万円、家財500万円までしか保険金額を設定できません。したがって、地震等以外で全損した場合は、受け取る保険金で建物の建て替えや家財の買い替えができても、地震で全損した場合の保険金ではそれができないのです。

しかし、それでも地震保険に入る意味は十分にあります。地震の被災者になると、自宅に住めなくなったり、しばらくの間仕事ができなくなるケースが出てきます。それでも生活をしていくにはお金が必要です。住宅ローンの債務があれば、引き続き返済をしなければなりません。金融機関から住宅ローン返済を一定期間猶予してもらったり、返済期間を延長してもらうなどの対応を受けることができても、返済が免除されるわけではありません。自然災害によって生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対する公的な「被災者生活再建支援制度」も設けられていますが、支援金の額は最大でも300万円です。
このような状況の中で、地震保険から払われる保険金は、生活再建費用や住宅ローンの返済に充当することができます。
災難に遭って精神的に打ちひしがれているとき、お金は心の支えにもなります。それだけに、火災保険に加入する際は、地震保険の建物、家財にもしっかりと保険金額を設定して万が一の事態に備えたいものです。

◆豆知識

なお、火災保険と地震保険に加入する場合の保険期間は、火災保険が1年から最長10年まで、地震保険は1年から最長5年までの契約ができるようになっています。また、保険料の支払い方法には「月払」「年払」「一括払」があります。支払う保険料の総額は、保険期間が長いほど、かつ、まとめて支払うほど安くなるため、家計にゆとりがあれば、長期一括払いにするとよいでしょう。
地震保険には、加入を促すために「地震保険料控除」という税制優遇が設けられており、年間の保険料の一定額まで所得が控除され、所得税・住民税が軽減されます。

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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