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Q.テレビや新聞などで、退職時に約3,000万円の貯蓄が必要と聞くが退職金を含めてもそんな貯蓄をすることはできません。どうしたらいいですか?(30代後半/女性/事務職)

退職後の生活費を計算してみましょう

ここ数年、退職時に約3,000万円の貯蓄が必要という話をよく耳にするようになりました。ですが、なぜ3,000万円なのでしょうか。まずは、その根拠を一般的な夫婦の家計を例に考えてみましょう。

夫(会社員)と妻(専業主婦)は同年齢とします。なお、ここでの収入も支出もあくまでも統計上の数字ということをご留意ください。

まずは、退職後の生活費として必要な金額を計算してみましょう。夫が65歳で退職し、その後は年金生活を送ると仮定した場合、この夫婦の毎月の生活費を28万円(※1)とします。

日本人の平均寿命は、男性が約81歳、女性が約87歳ですので、キリよく退職後20年間の生活費を計算してみますと、28万円×12カ月×20年間=6,720万円(【A】)となります。

一方、収入は、65歳から公的年金を夫婦で約19万円(※2)を20年間受給するとします。19万円×12カ月×20年間=4,560万円(【B】)となり、収入から支出を引くと、【A】-【B】=2,160万円(【C】)の赤字、つまり2,160万円の蓄えが必要ということになります。

もし夫が63歳で退職をしたら、さらに65歳までの2年間分の生活費として、28万円×12カ月×2年間=672万円(【D】)が必要になります。年金が受給されるは65歳からですのでこの2年間は、いわゆる「年金の谷間」といわれる収入のない状況です。

この場合ですと退職までに必要な貯蓄額は、【C】+【D】=2,832万円となります。

もっと年若く退職をすれば、もっと大きな貯蓄額が必要になります。ここに、退職までに退職金を含めて約3,000万円の貯蓄が必要と言われる根拠があるわけです。

理想の老後生活のために必要な退職時の貯蓄額を知っておく

実際には、人それぞれ収入も支出の額も違います。そこでまず、自分たちがどのような老後の生活を送りたいのかを描き、その生活を実現するためには、退職までにどのくらいの貯蓄額が必要かを確認することが大切です。

貯蓄額の計算は、上の例で退職後の生活費を計算した方法と同様に行います。毎月の生活費については、統計上の数字ではなく、現在の家計の支出額を入れてください。

統計などでは年老いた時やひとり暮らしになると家計の支出は減ると言われていますが、今後の物価の上昇や医療費などの負担を考えると、実際には増えることはあっても減ることはないと考えられるからです。

また、収入となる年金額については、将来、受給額が減少するとも言われていますが、その根拠が乏しいので、現在の水準で計算をしておきましょう。

貯蓄の方法はどうする?

貯蓄の方法としては、定期預金などで毎月積み立てるのもよいでしょう。定期預金以上の金利を目指すのであれば、個人年金や解約返戻金を目的として死亡保険などの保険商品を活用したり、株式投資や確定拠出年金で税制優遇のメリットを活用したりするのもいいでしょう。

ただし運用する金融商品は元金が保障されているのかなど、その商品の特徴、特にデメリットを理解して運用をすることが大切です。具体的な運用方法については、ファイナンシャル・プランナーなど専門家に相談してみてはいかがでしょう。

目標の貯蓄額は個々に違う

人それぞれ思い描く人生は違いますし、また家計の収支も目指す貯蓄額も違います。もしかしたら、あなたに必要な退職時の貯蓄は3,000万円より少ないかもしれませんし、逆に3,000万円では足りないかもしれません。

ですから、まずは退職時に必要な貯蓄額を知り、退職までにその額の貯蓄を目指しましょう。もし、その貯蓄額の達成が難しいようであれば、今から生活のレベルを変えることも必要です。

※1:総務省統計局家計調査報告(家計収支編)―平成28年(2016年)4~6月期平均速報1世帯当たりの1か月平均の消費支出より
※2:平成26年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局平成27年12月)より

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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