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住宅ローンを組んでいると返済は大変ですが、年末調整で所得税が戻ってくる住宅ローン控除がとても楽しみ、という方も多いのではないでしょうか。しかし、中には「年末のローン残高が全額戻ってこない、なぜ?」と思っていませんか? そんな時、実は所得税から引ききれなかった住宅ローン控除額が、次の年に住民税から減額される仕組みがあるのです。 税金のことはむずかしい!と放り出さず、この機会にしっかりと理解しておきましょう。

住宅ローン控除の仕組みとは?

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用して住宅を取得した時、一定の要件を満たすと10年間、年末のローン残高の1%が払った税金から戻ってくる制度です。住宅を購入した初年度は自分で確定申告が必要ですが、会社員の場合、2年目からは書類を会社に提出すると年末調整で所得税が戻ってきます。
会社への手続きを忘れてしまったら次の年の2月15日から3月15日までの間に確定申告で所得税を取り戻すことができます。金額が大きい場合が多いのであきらめずに申告しましょう。ローン控除を受けられる要件については国税庁のタックスアンサー(※)でご確認ください。

※住宅借入金等特別控除 タックスアンサーNo.1213
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm

ローン控除を受けられる額は住宅ローンを組んで居住した年によりますが、平成28年の場合は最高で年末のローン残高4,000万円の1%(40万円)まで、高性能の住宅と認められると年末のローン残高5,000万円の1%(50万円)まで、10年間控除を受けることができます。

この金額を見ると、「自分も毎年40万円、50万円の税金が10年間戻ってくるの?」と思うかもしれませんね。確かにローン控除で戻ってくる税金の額はとても大きいのですが、だれもが限度額いっぱいの控除を受けられるわけではありません。
なぜなら、10年後も4,000万円、5,000万円のローンが残っているような高額なローンを組む人はめったにいないこと。税金を払った分からしか戻ってこないため、40万円、50万円の税金を払っている高収入な人ばかりではないことなどが挙げられます。
たとえば下図の源泉徴収票のイメージで、上段の一番右側の数字「源泉徴収税額」190,000円が所得税の額を表しています。たとえば19万円の所得税を払っている人に2,000万円のローン残高があっても、戻ってくる所得税は19万円しかありません。

住民税が減税されるケースとは

所得税では全額ローン控除を受けられなくても、実は翌年度に住民税からローン控除を受けられる仕組みがあります。
所得税はその年の1月1日から12月31日までの収入に対して、会社員は年末調整で課税、徴収されます。それに対して住民税は前年の所得に応じて次年度の6月から5月に給与天引きで徴収されます。支払う時期がずれているためわかりにくいのですが、平成28年年末のローン控除で所得税から引ききれなかった税額は、平成29年6月から平成30年5月にかけて支払う住民税から減税されます。

では、先ほどの事例で、年末の住宅ローン残高が2,250万円だった場合、平成29年の住民税からいくら減税されるでしょうか。
下図で「源泉徴収税額」(所得税)がゼロになっています。その代り「住宅借入金等特別控除の額」が190,000円となっており、所得税から190,000円がローン控除で差し引かれたことがわかります。

しかし、年末のローン残高が2,250万円なら22万5,000円のローン控除を受けられるはずです。225,000円-190,000円=35,000円の税金が控除を受けきれません。所得税から控除しきれなかった額35,000円が平成29年に支払う住民税から減税されます。
住民税から差し引くことができるローン控除の限度額は「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%で136,500円が限度となっているため、全額が控除できるとは限りません。

 住民税からのローン控除は手続きなし

所得税からローン控除を受ける場合は確定申告にしろ、年末調整にしろ、自分で書類の提出が必要です。しかし、住民税から減税を受ける場合は特に手続きは必要ありません。
会社員であれば2年目からは年末調整の時に申告書と残高証明書の提出を忘れないように行っておけばそのデータが所轄の税務署から自治体に送られます。心配なら平成29年6月から平成30年5月までの住民税が減税となっているか、給与明細で確認しておきましょう。

また、自営業者は毎年2月15日から3月15日に行う確定申告でローン控除の手続きを行います。所得税から控除を受けきれない時は、次年度に送られてくる住民税決定通知書や納付書で税額を確認しておきましょう。

住宅ローン控除のポイントアドバイス

住宅ローン控除は、「10年以上にわたり分割して返済する方法」でローンを組むことが要件の一つになっています。そのため一生懸命期間短縮型の繰り上げ返済を行って、借り始めた時から繰り上げ返済後の完済までの期間が10年を切ってしまうと、ローン控除を使うことができなくなります。
ローン控除のメリットと、期間短縮をして利息を減らすメリットを比べてから繰り上げ返済の手続きを行いましょう。10年を少し切るくらいなら返済額軽減型や繰り上げ返済の額を少し減らすなどの工夫をしてみてください。

2つ目のポイントは契約者が海外勤務になって「非居住者」となっている場合です。昨年までは家族が日本に住んでいてもローン控除を受けることはできませんでした。しかし平成28年度の改正で転勤等のやむを得ない事情なら、「非居住者」が平成28年4月1日以降に住宅を取得した場合ローン控除を受けることができるようになりました。
税制は毎年変わる可能性があります。今まで受けられないと思っていた減税が税制改正で受けられるようになる場合もあります。また逆に受けられなくなる場合もあります。しかも、得する制度は自分から申請しないとその恩恵を受けることができません。ニュースやトピックスにアンテナを張り、気になったら必ず国税庁のホームページで内容を確認したり、専門家に相談して、しっかりと減税の効果を受け取っていきたいものです。

国税庁:タックスアンサー№1234
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1234.htm

参考サイト:総務省HP
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/090929.html

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この記事の筆者
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。

50代からの住まい専門FP

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