この記事は2分で読めます

住宅購入において多くの人が利用する住宅ローン。住宅ローンを借りる際には金融機関の審査がありますが、この審査が通過しなかった場合、既に結んでいる物件購入の契約や、手付金などはどうなるのでしょうか。実はこうした取り決めをしている「住宅ローン特約」という条項があります。今回は、「住宅ローン特約」とはどんなものなのか詳しくご紹介いたします。

重要事項説明書の「住宅ローン特約」

物件を購入する場合、契約書の取り交わしに先だって、取引において重要な事柄を明記する「重要事項説明書」の確認という段階があります。住宅ローンを活用する場合は、重要事項説明書の中に「住宅ローン特約」という記載があることが慣例です。
住宅ローン特約では、もし住宅ローン融資の審査を通過できなかった場合に、“売買契約を無条件に解約できること”を定めています。手付金は戻され、違約金なども支払う必要はありません。

通常、売り主や買い主の都合により解約する場合には、
・手付金をそのまま支払うことで解約(買い主都合)
・手付金の倍額を支払うことで解約(売り主都合)
・互いに契約の履行に着手している場合、物件価格の2割を超えない範囲での違約金を支払うことで解約
といったペナルティを受けて解約が可能になることもありますが、住宅ローン特約に該当する場合は、「無条件解約」となります。

別の銀行であれば借りられる場合は?

契約の際、想定していた金融機関から住宅ローンを借りられなかった場合や、借り入れ条件が悪くなってしまった場合はどうなるのでしょうか。
例えば、当初、4,000万円の融資を受けて物件を購入しようとしていたのに、3,500万円までしか借りられないという審査結果がおりた場合、急に差額の500万円を用立てるのは難しいことが多いでしょう。このように、融資の一部、あるいは全額が承認されなかった場合は、通常住宅ローン特約の条件に該当し、無条件解約ができます。
逆に頭金500万円を入れて3,500万円の融資を受けることを予定していたが、手元にお金を残したくなり、金融機関に相談したところ4,000万円の融資でも受けられるという結果が出た場合は住宅ローン特約には該当しません。

住宅ローン特約の項には、融資を申し込む金融機関名の明記をすることになっています。重要事項説明書とは別紙の一覧表で記されることや、「○○銀行・××銀行等」と実際に借り入れを行う金融機関に幅を持たせた書き方になっていることもあります。借入金利等を約束する条項ではないため、予定していた銀行よりも多少金利が高い金融機関でしか借り入れができないという事態であっても、この場合は、住宅ローン特約には該当せず(表記されている他の銀行に打診する必要があり)、無条件解約をすることはできません。ただし、明記されていないあまりに条件がかけ離れた金融機関しか選択肢として残らない場合、住宅ローン特約に該当する場合もあります。

なお、通常は考えにくいのですが、住宅ローン特約を明記していない重要事項説明書もごくまれに存在します。現金購入者のフォーマットをうっかり使って書類を作成してしまった、などのミスでそうしたことが起こることも考えられますが、故意に記載をしていない場合、住宅ローンが受けられなくても物件購入の契約は有効となることを意味する書面となるため、消費者としては受け入れがたい内容でしょう。
事前の書類チェックは不利な内容になっていないか確認するためにも重要なステップといえます。

契約書、重要事項説明書は事前に控えをもらう

重要事項説明書の確認は、契約に先だって行われるとお伝えしました。しかし、商習慣では同じタイミングに実施されることもあります。
重要事項説明や契約書の取り交わしの予定が立った場合は、事前に控えを受け取り、内容をしっかり確認しておくようにしましょう。疑問点があれば担当者に確認をすることや、内容に納得がいかない場合には、文面を修正してもらうよう交渉することも本来は可能です。
不動産会社や営業担当者は、不動産の取引を数多く経験していますが、物件を購入する人にとっては一生に一度のお買い物であることも多いです。契約書の内容が一般的なものかどうか、理解をするのには時間がかかって当然なので、事前にコピーをもらい焦らず理解するための時間をもうけるようにしましょう。
双方が内容に合意したことを示すのが、契約書へのサインなので、内容についても相談する権利はあるのです。

●関連記事
将来の返済困難時に備える!家賃返済特約付き【フラット35】の活用法
住宅ローン審査、何を見ている?
住宅ローンを借り換えるときの審査のポイント

●住宅ローン情報
今月の【フラット35】最新金利情報を見る
最新金利で住宅ローンシミュレーション【無料】
お近くの店舗で専門スタッフへ相談したい方

この記事の筆者
風呂内亜矢 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、宅地建物取引士 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強と貯金を始める。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』がある。

関連する記事