住宅ローンアドバイザーは、住宅ローンについて深い知識を持つ、まさに住宅ローンの専門家と言える資格です。類似資格としては、ファイナンシャル・プランナー(FP)が思い浮かぶと思いますが、2つの資格にはどのような違いがあるのでしょうか。住宅ローンアドバイザーとはどんな資格でどんな人が取得しているのか、その概要とともに、資格取得の方法や試験の内容、難易度、合格率についても解説します。

そもそも住宅ローンアドバイザーってどんな資格?

住宅ローンアドバイザーとは、一言で言えば、家を購入する人が最適な住宅ローンを組めるように、公正な立場からサポートする専門家です。
住宅ローンにはたくさんの種類があり、各金融機関が多くの商品を販売しています。住宅ローンの商品数がどれくらいあるかというと、なんと数千種類もあるといわれています。どの商品を選ぶかによって、返済額は大きく変わってきますから、住宅ローンを借りる際には、たくさんの商品のなかから、自分にとって最もメリットのあるものを選ぶことが大切です。
そのためには、住宅ローンの仕組みを理解したり、返済額を何通りもシミュレーションしたりした上で、自分の家計状況やライフプランと照らし合わせて考える必要があります。ですが、中には「よくわからないから」と十分な検討をしないまま、不動産会社や銀行にすすめられるままに住宅ローンを組んでしまう人もいることでしょう。
そんなときに頼れる存在が、住宅ローンアドバイザーです。住宅ローンの仕組みや商品ごとの違いをわかりやすく説明することはもちろん、相談者の家族構成や年齢、家計状況を踏まえた住宅ローン相談に応じてくれます。

住宅ローンアドバイザーになるのはどんな人?

住宅ローンアドバイザーは、年齢、性別、学歴に関係なく、誰でも受験できる資格です(資格の取得方法は後ほどご説明します)。では、実際にはどのような人が取得しているのでしょうか。
(1)金融機関、ハウスメーカーや不動産会社に勤めている人
こうした人たちは、業務上、住宅購入を考えているお客さまに対して住宅ローンについて適切なアドバイスができることが求められます。そのため、業務命令として資格取得を目指す場合もあるようです。
(2)ファイナンシャル・プランナーの有資格者
ファイナンシャル・プランナーが、お客さまからの信頼を得るために取得する場合があるようです。実際、住宅ローンの知識を深めることで、総合的で的確なアドバイスができるようになります(住宅ローンアドバイザーとファイナンシャル・プランナーの違いは後ほどご説明します)。
(3)住宅の購入予定がある人
住宅を購入する本人が、住宅ローン選びのために養成講座を受講するケースもあります。

受験資格、取得方法、費用は?

住宅ローンアドバイザーは国家資格ではなく、民間資格の位置付けになります。上でも述べたように、住宅ローンアドバイザーは、年齢、性別、学歴に関係なく、誰でも受験できる資格です。実務経験も必要ありません。
資格を取得するには、養成講座を受講するか、認定試験を受験するかの2通りの方法があります。養成講座は、「一般財団法人住宅金融普及協会」と「公益社団法人全日本不動産協会」が実施しており、どちらも内容はほぼ同じです。養成講座を受けた後に効果測定を受け、その結果が一定のラインに達していれば合格となり、各協会に登録することで資格を取得することができます。また、認定試験を受ける場合は、「一般社団法人金融検定協会」が実施している「住宅ローンアドバイザー(HLA)認定試験」に合格すると資格が得られます。
それぞれの講座日程や受講料、試験日、受験料などの概要について見てみましょう。

■養成講座を受講する場合

実施機関住宅金融普及協会全日本不動産協会
講座内容基礎編、応用編基礎編、実務編
受講方法【Aコース】
WEB講習を受講。
【Bコース】
会場でDVD講習を受講。
会場で対面講義を受講。
受講時間【Aコース】
基礎編:270分、応用編:250分
※受講期間中であれば好きな時間に何度でも受講が可能。
【Bコース】
基礎編、応用編をそれぞれ1日(講習時間:10〜17時)の2日間受講。
連続した2日間で、基礎編、実務編をそれぞれ1日(講習時間:10〜17時)受講。
効果測定指定された会場で、日程を改めて指定の会場で実施。
※Aコースの基礎編のみWEBで実施。
実務編の終了時に実施。※連続した2日間で取得できるので短時間で取得可能。
講座日程年2回程度実施。具体的な日程は、住宅金融普及協会に問い合わせてください。東京会場で年3回、大阪会場で年2回程度、それぞれ実施。具体的な日程は、全日本不動産協会に問い合わせてください。
受講料【Aコース】
21.600円(WEB講習+会場効果測定)
【Bコース】
25,920円(会場DVD講習+会場効果測定)
15,000円(テキスト代、消費税を含む)
登録料10,800円(消費税込み)10,800円(消費税込み)

■認定試験を受験する場合

実施機関金融検定協会
試験時間2時間30分
出題形式5答択一式(50問)
合格基準60点以上(100点満点)
出題範囲大きく4分野に分かれる
・住宅ローン基礎知識
・コンプライアンス
・住宅取得前のアドバイス
・住宅ローン受付から完済までの実務
試験日、試験会場5月、11月(一般試験/全国約120会場で開催)
1月(特例試験/全国17会場で開催)
詳しくは金融検定協会に問い合わせてください。
受験料6,170円(消費税込み)

住宅ローンアドバイザーは更新が必要

住宅ローンアドバイザーの資格は更新制で、3年間の有効期限があります。日々新しい住宅ローン商品が生まれますし、住宅事情、法律などはどんどん変化していくため、3年ごとの更新が必要とされているのです。
住宅金融普及協会で資格取得した人が資格を更新するには、継続講習課題を提出しなければなりません。登録更新手続きをすると、テキストが送られてきますので、WEBか郵送のどちらかの方法で継続講習課題に解答する必要があります。継続講習課題の修了基準はおおむね6割の正答率で、この基準に達しないときは、再度、継続講習課題を行うことになります。また、全日本不動産協会で資格を更新するには、自宅での通信講習を受けて合格する必要があります。
なお、住宅金融普及協会、全日本不動産協会ともに、10,800円の更新料がかかります。
金融検定協会で取得した資格を更新するには、資格継続試験を受験しなければなりません。テキストとテストが送られてくるので、期日までに解答用紙を郵送し、合格すれば更新となります。不合格者には再試験通知があります。なお、更新のためにはテキスト代と受験料として5,400円が必要となります。

住宅ローンアドバイザー資格取得の難易度は?

さて、気になる難易度ですが、どのようになっているのでしょうか。
住宅金融普及協会の場合、平成28年度の第1回講座では、受講者数1,738名に対して修了者数1,468名で修了率は84.5%でした。修了の判定基準は、効果測定において40問中28問以上正解し、かつ計算問題10問のうち6問以上正解することとなっています。また、全日本不動産協会の場合、合格率は7割程度となっています。
金融検定協会の住宅ローンアドバイザー(HLA)認定試験では、平成26年の受験者数5,863人に対して合格者数は2,646人、合格率は45.1%となっています。
住宅金融普及協会、全日本不動産協会の効果測定では、テキストを参照することが可能です。講座テキストには返済額早見表があり、「金利」「返済期間」「借入額」がわかれば総返済額や毎月返済額がすぐに計算できるようになっていますので、講座の内容をしっかり理解すれば、難易度はそれほど高くなく、合格できる可能性は高いといえるでしょう。合格率を高めたいのであれば、認定試験に比べると費用はかかりますが、住宅金融普及協会か全日本不動産協会のどちらかで講座を受講することをおすすめします。

ファイナンシャル・プランナー(FP)とは何が違うの?

上に書いた通り、ファイナンシャル・プランナーが住宅ローンアドバイザーの資格を取得するケースも少なくありません。一見、似ているように見えるこの2つの資格は何が違うのでしょうか。
一言で言うなら「アドバイス可能な範囲が違う」ということになるでしょう。住宅ローンアドバイザーは、住宅ローンのプロといえる存在です。金利や返済方法はもちろん、借り換えや税制の知識、さらには住宅ローンのリスクや注意点など、住宅ローンに特化した深い知識を有する資格ですが、アドバイスできるのは住宅ローンに関することに限定されてしまいます。
一方、ファイナンシャル・プランナーは家計の専門家といえる存在です。試験科目を見ると、その範囲は「ライフプランニング・退職後プラン」「税金」「保険」「相続・事業承継」「金融」と幅広くなっています。そのため、住宅ローンだけでなく、保険や老後資金なども含めた総合的なアドバイスが可能です。ただし、住宅ローンアドバイザーと比べると住宅ローンの具体的な商品知識などは乏しいかもしれません。
こう考えると、理想は両方の知識をもったアドバイザーということになるかもしれません。実際に、住宅購入に関するアドバイザーとして活躍している人の中には、両方の資格を持っている人が少なくありません。

住宅ローンアドバイザーに相談するには?

では、どこに行けば住宅ローンアドバイザーに相談することができるのでしょうか。
住宅金融普及協会や全日本不動産協会のホームページでは、住宅ローンアドバイザーの検索をしたり、紹介を受けたりできるサービスを提供しています。こうしたサービスを活用するのもひとつの方法です。また、金融機関の住宅ローンプラザなど住宅ローン専用窓口でも、住宅ローンアドバイザーの有資格者が対応してくれる場合があります。
ただし、アドバイザーを選ぶ上で大切なのは、中立的な立場で相談を受けてくれるかどうかという点だといえるでしょう。たとえば、金融機関や不動産会社と提携しているアドバイザーは、斡旋や紹介を行うことで提携先の会社から報酬を受け取ることで生計を立てているケースが多いようです。そうなると、本当に中立的な立場でアドバイスしてくれるかどうかは注意が必要です。
そこでおすすめしたいのは、インターネットで検索するなどして、独立のアドバイザーを選ぶこと。ただ、住宅ローンアドバイザーの資格だけで独立するのは難しいので、ファイナンシャル・プランナーや司法書士などの有資格者が住宅ローンアドバイザーの資格を併せ持っている場合が多いと思われます。独立のアドバイザーの場合、相談料が必要になるケースがほとんどですが、初回は無料で料金が発生するのは2回目以降からという料金体系を取っている場合も多いようです。一度、相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事の筆者
横山晴美 ファイナンシャル・プランナー ライフプラン応援事務所代表 AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー 2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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