住宅ローンに保証会社「あり」「なし」ではどんな違いがあるの?

住宅ローンには、保証会社がついて「保証料」を支払わねばならないものと、保証会社がついておらず「保証料無料」とうたっているものがあります。金融機関等によって異なるこの違いは、住宅ローンを借りる人にどんな影響があるのでしょうか。

保証会社は金融機関の貸し倒れリスクを保証する会社

金融機関が住宅ローンを顧客に貸す際には、その顧客に“返済できる能力があるかどうか”をあらかじめ審査します。とはいえ審査対象期間は、数年前から審査時点の状況にすぎません。貸したあと数十年にもおよぶ返済期間の間に、顧客やその環境にどんな変化があるかまでは予測できません。リストラや病気など、顧客の状況の変化によっては返済が滞ったり、返済できなくなってしまうかもしれません。

(参考記事:リストラで住宅ローンの返済が困難になったら?
(参考記事:病気で住宅ローンが返済できなくなった場合の対処法は?

貸したあとでお金が回収できなくなる貸し倒れリスクを防ぐため、金融機関はお金を貸すときに住宅に抵当権を設定し、万が一の事態になった場合でも住宅を売却して資金を回収できるようにします。

(参考記事:住宅ローンが払えないと家はどうなる? 家を失わないための対策は?

金融機関によって、貸し倒れリスクへの対応方法が違う

貸し倒れリスクへの対応の仕方は大きく2つに分かれ、金融機関ごとに対応が異なっています。ひとつは金融機関が直接対応する方法、そしてもうひとつは保証会社を利用する方法です。金融機関が直接対応する場合は保証会社がつかないため「保証料」は生じません。一方、保証会社を利用する場合は保証会社がつき、住宅ローンを借りる人が「保証料」を払わなければなりません。「保証料」は金融機関によって異なりますが、返済期間が35年の場合、借入金100万円に対して2万円程度が目安です。仮に3,000万円借りた場合には約60万円の保証料がかかることになります(住宅ローン金利に0.2%程度上乗せして分割払いにする方法もあります)。

保証会社を利用する方法をとる金融機関の場合、返済が一定期間滞ると保証会社が債務者に代わって住宅ローンの残債を金融機関に支払い(このこと「代位弁済」といいます)、金融機関の貸し倒れリスクを引き受けます。その後、債務者への返済要求は保証会社が行い、返済されない場合は担保の住宅を競売にかけてお金を回収します。
つまり、保証会社がついていても住宅ローンを返済する人の負担はなんら減るわけではありません。

保証会社を利用する/しない主な金融機関・商品は?

保証会社を利用する金融機関の住宅ローンの場合、借りる人が保証人を自分で用意しなくてよい代わりに保証会社がつき、そのために「保証料」が必要だとされています。しかし実際には、保証人が用意できる人であっても事実上保証会社の利用が義務付けられ、「保証料」を払わなければなりません。つまり保証会社をつけることが住宅ローンを借りる必須条件となっているのです。

一方、保証会社を利用しない金融機関の住宅ローンの場合はどうなっているのでしょうか。借りる人が保証人を自分で用意する必要があるのでしょうか。調べてみると、どの金融機関等も保証会社を利用しておらず「保証料」は無料としていますが、「保証人は原則不要」としています(下表中の金融機関)。

保証会社を利用する金融機関も利用しない金融機関も、いずれも自分で保証人を用意する必要がないなら、高額の「保証料」がかからない分だけ、保証会社を利用しない住宅ローンのほうが有利だと言えそうです。

<保証会社を利用する/しない主な金融機関・商品>

  保証会社を利用する 保証会社を利用しない
主な金融機関・商品 ・メガバンク
・信託銀行
・地方銀行
など
・住宅金融支援機構【フラット35】
・住信SBIネット銀行
・新生銀行
・ソニー銀行
・イオン銀行
・じぶん銀行
・楽天銀行  など

保証会社を利用しない金融機関は、「保証料無料」をうたって低コストの商品であることを訴求し集客しています。しかし、その代わりに貸し倒れリスクを金融機関が直接抱え込むことになります。

なお、実際に住宅ローンを選ぶときには、商品の金利水準や事務手数料などの諸費用を含め、金融機関の信頼度や給与振込銀行との関連、会社の支援制度などさまざまな要素を総合的に勘案して判断する必要があります。

【資金計画】最新金利での住宅ローンシミュレーション>>

(最終更新日:2019.10.09)
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