消費税率10%への引き上げが2017年4月から、さらに延長され2019年10月からとなりました。消費税率引き上げが前提となっていた住宅関連の制度も影響を受けることになります。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税限度額

2015年1月1日から2019年6月30日までの間に親や祖父母などから住宅取得のための資金援助を受けた場合、一定の金額について贈与税が非課税になる特例措置があります。贈与税が非課税になる限度額は、「契約の時期」や「住宅の種類」、「適用される消費税率」によって異なりますが、この内容が変更されることになります。まずは現状の制度を見てみましょう。
●現状
<消費税10%以外で住宅を取得する場合の住宅資金非課税限度額>

契約締結期間 良質な住宅用家屋※ 左記以外の住宅用家屋
2016年1月~2017年9月 1,200万円 700万円
2017年10月~2018年9月 1,000万円 500万円
2018年10月~2019年6月 800万円 300万円

<消費税10%で住宅を取得する場合の住宅資金非課税限度額>

契約締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
2016年10月~2017年9月 3,000万円 2,500万円
2017年10月~2018年9月 1,500万円 1,000万円
2018年10月~2019年6月 1,200万円 700万円

※断熱等性能等級4又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋

例えば、注文住宅を購入する場合(良質な住宅用家屋の場合と仮定する)で、2016年10月に契約し、2017年3月までに引き渡しとなれば、適用される消費税率は今の8%となり、親から非課税で受けることができる資金援助の上限額は1,200万円となります。
増税延期前であれば、同じ月(2016年10月)に契約し、2017年4月以降の引き渡しとなれば、適用される消費税率は10%となるところでした。この場合、最大3,000万円まで贈与税非課税で親などから資金援助を受けることができる予定でした。ところが、消費税率の引き上げが延長になったため、今回のケースでは適用される税率が8%のままとなり、贈与税非課税で受け取ることができる資金援助は1,200万円が上限となります。
贈与を受けて住宅を購入しようとしていた人にとっては、対象となる上限額が異なるケースが出てきます。
こうしたケースを含めて消費税率引き上げに準ずる形で、2016年8月24日に改正措置が下記のように閣議決定されました。

●改正措置
<消費税10%以外で住宅を取得する場合の住宅資金非課税限度額>

契約締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
2016年1月~2020年3月 1,200万円 700万円
2020年4月~2021年3月 1,000万円 500万円
2021年4月~2021年12月 800万円 300万円

<消費税10%で住宅を取得する場合の住宅資金非課税限度額>

契約締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
2019年4月~2020年3月 3,000万円 2,500万円
2020年4月~2021年3月 1,500万円 1,000万円
2021年4月~2021年12月 1,200万円 700万円

2017年9月までの非課税限度額が2020年3月までの2年6ヶ月延長になり、全体的に期間が繰り上がる形となっています。先ほどの2016年10月に契約して2017年4月に引き渡しを受け、消費税8%のままだったケースの受けられる贈与税非課税限度額が1,200万円であることには変わりはありません。
住宅にかかる消費税は、完成し物件引渡を受けた日の税率が適用されることが通常ですが、これから建築する物件などについては、6ヶ月の猶予があります。消費税率が変わるのが2017年4月の場合には6ヶ月前の2016年9月までに、2019年10月の場合には6ヶ月前の2019年3月までに契約を交わせば従来の税率が適用されます。消費税率が変更になるタイミングと契約締結期間の区切りが同一でないのはそのためです。
一見難しく見えますが、実際に適用される税率を目安に非課税限度額を確認しておくとよいでしょう。

住宅ローン減税も延長

住宅ローン減税についても適用期限が2019年6月30日から2021年12月31日までに延長されます。
住宅ローン減税の対象となる条件を満たす物件を住宅ローンを利用して購入した場合、年末のローン残高(上限4,000万円)の1%(最大40万円)が10年間、所得税や住民税から減税されます(合計最大400万円)。住宅購入を検討していた人にとっては、住宅ローン減税を理由とした判断についてはまだしばらく猶予がありそうですね。
すまい給付金も消費税率引き上げに伴って創設された制度です。消費税8%で取得した場合には収入の目安が510万円以下の人に対して年間で10~30万円、消費税10%で取得した場合には収入の目安が775万円以下の人に対して年間で10~50万円の給付金が支給されます。こちらについては閣議決定された改正措置に含まれていませんが、今後住宅ローン減税同様に、適用期限が延長される可能性もあります。ニュースを気にかけたり最新情報をすまい給付金の公式サイト(http://www.sumai-kyufu.jp/)で確認したりすると良いですね(現状の適用期限は2019年6月30日まで)。

住宅を購入するタイミングは希望の物件に巡り会えるかどうかや、わが家の家計状況など、制度以上に重視しなければいけない要素も多いです。一方で近いタイミングで購入を予定している人にとっては、制度をもれなく活用できると家計の負担を軽減させることができ、有利でしょう。

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この記事の筆者
風呂内亜矢 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、宅地建物取引士 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強と貯金を始める。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』がある。

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