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住宅ローンを借りる際には、「いくらまで借りられるか」ということよりも、「確実に返済していけるかどうか」をしっかり考えた上で融資を受けることが重要です。金融機関などのシミュレーションを利用すれば、自分で計算しなくとも住宅ローンの返済額を算出することができます。しかし、人生で最大の買い物ともいわれる住宅を購入するのですから、ただシミュレーション任せにするのではなく、ご自身で金利と返済額の関係などを把握するためにも、住宅ローンの計算方法を知っておきましょう。

住宅ローンの計算方法を知っておこう

私は、ファイナンシャル・プランナーとして自分のお客さまには、融資の契約を結ぶ前に少なくとも次の3項目を把握していただくようお話しています。

(1)毎月の返済額をいくらにするか
(2)総返済額と利息額はそれぞれいくらか
(3)毎月の返済額、総返済額のそれぞれが家計に適応しているか、つまり完済が可能か

いくらの融資を受けて何年で返すのか、無理のない計画を立てるには、最低でもこの3項目を個々に、また複合的に検証しなければならないからです。

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3,000万円を金利1.0%で借りた場合

最初にお断りをひとつ。いまから始める計算は、電卓でもできますが、相当な時間がかかります。ここはまず、住宅を購入することはこれだけの大金を個人で借り入れするということを実感していただければとも思います。

ここでは、借入額3,000万円を金利1.0%、返済期間35年、元利均等返済にした場合を考えてみましょう。

<条件>

・借入額:3000万円
・返済期間:35年、ボーナス返済なし
・金利:全期間固定金利 年1.0%
・返済方法:元利均等返済
・「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(昭和25年法律第61号)にしたがって、1円未満の端数は切り捨てて計算する

なお、返済期間についてですが、家計の将来の収支と住宅ローンの返済計画と照らし合わせて、毎月の返済額が無理なく上積みできるようであれば、35年間から返済期間を短くして、利息負担額を減らすことも考えられます。

こうした判断ができるようにすることも住宅ローンの計算をする目的のひとつです。今回は、通常最長の返済期間である35年間で計算をしてみましょう。

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毎月の返済額を計算する

まずは毎月の返済額ですが、これは次の計算式に当てはめ算出します。

毎月返済額=借入額×{月利(1+月利)返済回数/(1+月利)返済回数-1}

「月利」とは聞きなれない言葉かと思いますが、1ヶ月あたりの金利のことです。年利が1年間の金利を意味することを考えると理解しやすいと思います。
今回は、簡易的に、「月利=年利1.0%×1ヶ月/12ヶ月=1.0%÷12ヶ月」で計算します。
また、今年のような閏年(うるうどし)でも、1年を365日として、1月は31日間、2月は28日間、8月であれば年利1.0%×31日/365日で計算する金融機関が多いようです。
「返済回数」は、420回。毎月1回同じ額を、35年×12ヶ月=420回で返済します。
では、実際に計算式に数字を入れてみましょう。

毎月返済額 = 借入額×{月利(1+月利)返済回数/(1+月利)返済回数-1}
= 3,000万円×{0.01/12(1+0.01/12)420回/(1+0.01/12)420回-1}

これを計算すると、毎月の返済額は8万4,686円となります(端数処理のしかたで、異なった値になります)。

毎月の返済額の内訳を把握し、総返済額を計算する

次に利息と総返済額を計算してみましょう。
ここで選択している元利均等返済は、毎月の返済額を一定にして、返済額から利息を引いた金額を元金として返済していく方法で、最もポピュラーな返済方法です。

返済当初は残高が多いため、返済額に占める利息の割合が高く、年数を経るごとにその割合は減っていき、元金に充当される割合が増えていきます。ご自分で住宅ローンの計算をしてみると、毎月の返済額のうちの元金返済額と利息支払額がわかります。

3,000万円を年利1.0%、35年間で返済した場合、3,000万円×年利1.0%×35年=1,050万円となって、総利息額は1,050万円と思う方もいるでしょう。しかし、これでは金融機関に取られ過ぎです。

正しい利息は、毎月の残高に月利を掛けて計算します。毎月返済するのですから、毎月残高は減っていきます。したがって、毎回利息額は違ってくるので、35年間で計420回の計算が必要です。

まず、初回(1回目)の返済額の内訳と残高の計算です。
1.利息の計算
利息は、借入額(残高)3,000万円、年利1.0%から、3,000万円×1.0%×1/12=2万5,000円となります。
2.元金の計算
元金は、毎回の返済額8万4,686円から、1.の利息を差し引いた額です。
8万4,686円-2万5,000円=5万9,686円
3.残高の計算
初回返済後の残高は、借入額3,000万円から初回に返済する元金を引いた額となります。
3,000万円-5万9,686円=2,994万314円

2回目の計算は次の通りです。
1.利息の計算
利息は、残高(1回目支払い後残高)2,994万314円、年利1.0%ですから、
2994万314円×1.0%×1/12=2万4,950円となります。
2.元金の計算
元金は、毎回の返済額8万4,686円から、1.の利息を差し引いた額です。
8万4,686円-2万4,950円=5万9,736円
3.借入残高の計算
1回目返済後の借入額2,994万314円円から、2回目に返済した元金を差し引いた額となります。
2,994万314円-5万9,736円=2,988万578円

こうして見ると、返済当初は利息を支払いが大きく、元金が減っていかないことが実感できると思います。また、1回目に比べ2回目の方が若干ですが、利息額が減り、残高が減っていることもわかるでしょう。

このように1.から3.の計算を、420回分繰り返すと利息総額が計算できます。利息の総額は、556万7,998円となります。また、総返済額は、借入額3,000万円+利息総額556万7,998円=3,556万7,998円となります。

ひとつ注意点ですが、実際の返済額は、融資が実行された月と最終の返済月については、イレギュラーな扱いとなります。
たとえば、住宅ローンの契約と融資実行日が9月1日、初回返済日を9月26日(毎月26日に返済)とした場合、通常、1回目の返済は、9月1日から26日までの26日間の日割り計算になります。また、最後420回目は、毎回返済額の端数処理のため、若干毎回の返済額と異なる場合があります。

この扱いについては、金融機関ごとで規定が異なる場合がありますので、住宅ローンの契約をする前に、その金融機関が算定する毎月の返済額や利息額が記載された返済明細書(名称は金融機関によりさまざまです)を受け取り、熟読した上でその金融機関と契約を結ぶかを決定してください。

私のお客さまで、実際の手計算で住宅ローンの計算をした方のなかには、10年後、20年後の家族のことや、将来の家計をより現実的に考えることができるようになり、住宅購入計画をイチから見直した、という方もいらっしゃいます。
住宅は生涯で1、2を争う高い買い物です。後々、後悔することのないよう、手間暇を惜しまず、計算を実際にしてみることをおすすめします。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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