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Q.5年後に定年退職を迎えますが、定年退職後の住宅ローンの返済が10年間あります。毎月の支払いは9万円程です。定年後に毎月9万円を支払っていくのは結構厳しいと思っています。今からできる対策は何かありますか。(50代後半/男性/会社員)

★ファイナンシャル・プランナー 有田美津子さんからのアドバイス

定年までには繰り上げ返済と退職金で完済できるだろうと予想して組んだ35年ローン。

思ったように給与が上がらなかった、子どもの教育費が予想以上にかかったなどの理由で、繰り上げ返済ができないまま定年を迎えると、老後の生活に大きな影響が出てしまいます。

安心して老後の生活を送るために、定年までの5年間にできることを考えてみましょう。

退職金の支給額を確認しておく

老後に不安を感じる割に意外とわかっていないのが退職金です。

50歳を過ぎたら一度は会社の担当部署に制度や金額、計算方法などを確認しておきましょう。

特に最近では給付が確定している退職金の制度から、自分の運用次第で受取額が変わる確定拠出年金の制度を導入する会社も増えています。

退職金の支給額とともに、請求を忘れることがないように手続きや受け取り方法も確認しましょう。

退職金の目安がついたら、住宅ローンの繰り上げ返済に充てられるかどうかを考えておきましょう。

何歳からいくらの年金がもらえるか確認しておく

50歳を過ぎると毎年誕生月に送られてくる年金定期便で、60歳まで同じ条件で働き続けた場合の将来の年金の支給額を把握することができます。

現在の1ヶ月の家計費と比べて不足する額を確認しておきましょう。

平成28年度の新規裁定者(67歳以下)の年金額の例

  平成28年度月額
国民年金・老齢基礎年金(満額1人分)
(20歳から60歳まで保険料を納めた場合)
65,008円
厚生年金(会社員の夫と専業主婦の妻、夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な年金額の場合) 221,504円※

出典:平成28年度の年金改定について 厚生労働省
※ 夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8 万円)で 40 年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000110901.pdf

60歳の住宅ローン残高をチェック、65歳完済を目指す

現在の毎月の家計費が35万円の場合、何の準備もなく老後を迎えてしまうと前述の年金支給額のモデルケースと比べて、毎月約13万円も不足してしまいます。

60歳が定年の会社でも継続雇用などで65歳までは働き続けることができますが、年収はぐんと下がります。

できれば60歳を目標に完済を目指したいところですが、退職金や預貯金をすべて住宅ローン返済に充ててしまうわけにもいきません。

まずは働くことができる65歳までに完済を目指す返済計画を立ててみましょう。

以下の条件で退職金から500万円を一部繰り上げ返済に充てた場合を試算してみました。

定年退職時のローン残高 1,000万円 繰り上げ後のローン残高 500万円
月々返済額 9万円 月々返済額 9万円
金利 1.0% 金利 1.0%
完済時年齢 70歳 完済時年齢 約65歳
    利息軽減額 約39万円

繰り上げ返済で返済期間を5年短縮することができ、なんとか65歳までに完済できそうです。

高い金利で借りている場合は最後の借り換えチャンス

現在はマイナス金利の施策もあり、全期間固定金利型や当初固定金利型の金利水準が下がっています。

現在借り入れ中のローンを高い金利で借り入れてしまっている場合は、借り換えも検討してみましょう。

<全期間固定金利型2.5%から【フラット35】に借り換えた場合>

・現在のローン
55歳時点残高 1,350万円 毎月返済額9万円 年利2.5% 完済時年齢70歳
・借り換え後のローン
借り換え額1,350万円、【フラット35】、年利0.96%(返済期間20年以下、平成28年9月最多金利)

<借り換えメリットの試算>

  現在のローン 借り換え後のローン 差引
毎月返済額 90,016円 80,559円 9,457円
返済期間 15年 15年 0
総返済額 16,202,892円 14,500,627円 1,702,265円
諸費用 0 822,000円 -822,000円
借り換えメリット 880,265円

※住宅金融支援機構シミュレーターによる
諸費用は事務手数料借入額の2.16%、機構団信特約料、印紙代、抵当権抹消・設定費用等を含む。諸費用は概算で金融機関により異なる

毎月約1万円以上返済額が減り、諸費用を含めた借り換えのメリットは80万円を超えます。

借り換えは団体信用生命保険の告知や返済能力の審査が必要であるため、健康で安定収入があるうちに検討することが必須です。

住宅金融支援機構等のシミュレーターを使って試算し、諸費用を含めて借り換えメリットが出るようであれば、定年前に必ず行っておきたいところです。

それでも老後の生活費が不足したら・・・

保険の見直しや車にかかるお金、携帯代など毎月決まってかかる固定費から見直しましょう。

そして、節約しても老後の生活費が足りない場合は、できるだけ厚生年金に加入して働き続けましょう。

働く収入だけでなく加入期間が長くなれば将来の年金額も上がります。

また、老後はサラリーマン時代にはできなかった仕事にチャレンジしたり、起業することも選択肢の一つです。

節約だけを考えるのではなく、50代から長く楽しく働く仕組みを考えて老後の収入を増やし、住宅ローン返済不安から解放された老後の生活を目指しましょう。

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●住宅ローン情報

この記事の筆者
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。

50代からの住まい専門FP

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