住宅ローンは、奨学金の返済中であっても借りることができます。ただ、借りる前に行われる金融機関の審査では、奨学金の返済額も審査対象になります。また、奨学金を滞納した場合には審査が通らず、住宅ローンが借りられなくなる場合があるため注意が必要です。

奨学金の返済中でも住宅ローンは借りられる

最も利用されている奨学金は、独立行政法人日本学生支援機構の「貸与型奨学金」で、平成26年度の大学生への貸与割合は38.7%です。この割合は、今や大学生の2.6人に1人の方が奨学金を借りて大学に通っていることを示しており、10年前の平成16年度の大学生の貸与割合23.3%(4.3人1人)と比較すると大幅に増えています。(※「日本学生支援機構について 平成28年3月」より)現在では、奨学金を借りて大学に行くことがごく普通のことになっているといってもいいでしょう。

ただ、借りた奨学金は、卒業後社会人になってから返済しなければなりません。返済期間は借りた奨学金の総額等によって異なりますが、最長20年にも及びます。大学を卒業してからすぐに返済を始めたとしても、返済期間が20年だと完済年齢は40歳代の前半です。この間には、結婚、子供、マイホーム取得など、多額の費用がかかる大きなライフイベントが待ち構えています。奨学金を返済しつつ希望のライフイベントを実現するためには、窮屈な家計に工夫を加えたり注意を払って、少しでも効率的に運営する必要があります。

奨学金の返済は、住宅ローンの返済負担率に影響を与える

奨学金の返済中でも住宅ローンを借りることは可能です。しかし、住宅ローンを借りる際に金融機関が行う審査では、奨学金の返済も対象になります。審査項目のなかには「返済負担率」があります。これは年収に占める年間返済額の割合のことで、金融機関ごとに基準を決めています。
ちなみに【フラット35】は、以下の通りとなっています。

年収 400万円未満 400万円以上
返済負担率 30% 35%

たとえば、年収が600万円の方の場合、年間返済額が年収600万円の35%、つまり210万円を超えない範囲で借入額が決められます。金利1.0%、返済期間30年、元利均等返済方式、ボーナス返済なしの条件で試算すると、借入可能額は5,440万円になります。

ただ、この返済負担率を求める際の年間返済額は、住宅ローンの返済だけではありません。その他に自動車ローン、カードローンなどがある場合、それらの返済額も含めて計算します。奨学金の返済額もこの中に含めます。

したがって、住宅ローンを借りようと思ったときに、他のローン返済はなくても、奨学金の返済が年額18万円(月額15,000円)であったとすると、先の例では(年収600万円×35%)-18万円=210万円-18万円=192万円を超えない範囲で住宅ローンの借入額が決められることになります。この場合の借入可能額は4,974万円になります(金利1.0%、返済期間30年、元利均等返済方式、ボーナス返済なし)。
奨学金の返済がない場合と比較すると、借入可能額は466万円(=5,440万円-4,974万円)少なくなります。

このように、奨学金の返済中でも住宅ローンを借りることはできますが、借入額に制約が加わります。制約がかからないようにするには、あらかじめ長期的なライフプランをきっちり立てて、住宅ローンを借りるであろう年齢に達するまでに、繰り上げ返済を行って奨学金の返済を終えておくことです。社会人になって勤労収入を得るようになったら、毎月の貯蓄額やボーナスから積み立てる貯蓄の一定額を奨学金の返済に充て、計画的に返済を行うようにするとよいでしょう。

奨学金を滞納しないこと

住宅ローンの審査では、他の自動車ローンやカードローンの返済状況とともに、奨学金の返済状況も金融機関にチェックされます。具体的には、個人信用情報機関に登録された個人情報が金融機関によって参照されます。

個人信用情報機関に個人情報が登録されるのは、奨学金も含めローン返済を3ヶ月以上滞納した場合です。登録される情報は、氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先等、また契約情報として貸与額、最終期日、滞納などの返済状況です。

個人信用情報機関に滞納者として登録されると、その情報を参照した金融機関等がその人を経済的信用が低いと判断し、住宅ローンをはじめ各種のローンが組めなくなる場合があります。なお、一度登録されると、滞納を解消しても、返済の終了後5年後まで登録され続けます。

奨学金の滞納は、住宅ローンが借りられないのみならず、クレジットカードの利用が止められたり、延滞金が課されるなど、日常の暮らしにも支障をきたしかねません。決して滞納することのないよう、家計管理をしっかり行う必要があります。

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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