30代の理想的な貯金額はいくら? 結婚や住宅購入、教育にかかる費用も解説

30代になると結婚や出産、子どもの就学など、ライフイベントが多くなります。将来の大きな出費に備えて、しっかりと貯金することが大切です。

今回は、30代の理想的な貯金額について解説します。ライフイベント別に必要となる費用の目安や、そのほかにためておきたい資金、効率的にお金を貯める方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

30代の平均貯金額はいくらくらい?

まずは30代の平均貯金額と金融資産全体の保有額について、金融広報中央委員会が公表している「知るぽると」のデータをもとに解説します。

預貯金の平均額
「知るぽると」のデータによると、30歳代で金融資産を保有している世帯の割合は全体の73.3%でした。

金融資産を保有している世帯の平均預貯金額は327万円、金融資産を保有していない世帯も含めると237万円です。金融資産保有世帯の預貯金額の全国平均は689万円で、60歳代までは年代が上がるにつれて多くなっています。

年代別の金融資産保有世帯の平均預貯金額は次のとおりです。

出典:各種分類別データ(令和4年) ― (参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和3年以降)|知るぽると

金融資産全体の保有額
同じく「知るぽると」のデータによると、預貯金以外にも株式や投資信託、生命保険、個人年金保険、財形貯蓄などの形で資産を保有している人がいることもわかります。

30代の金融資産を保有している世帯の金融資産保有額は平均710万円、金融資産を保有していない世帯も含めると515万円です。

30代の金融資産保有世帯の金融資産別平均額は次のとおりです。

なお、金融資産を保有していない世帯を含む平均額は以下です。

出典:各種分類別データ(令和4年) ― (参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和3年以降)|知るぽると

【ライフイベント別】30代の理想的な貯金額

理想的な貯金額を知るために、まずは30代で多いライフイベントにかかる費用を把握しておきましょう。ここでは、結婚、出産、住宅購入、子どもの教育費の順に説明します。

結婚
「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ」によると、2022年の挙式や披露宴・ウエディングパーティーにかかった費用の総額は平均で303万8,000円となっており、昨年から11万5,000円増加しています。

また、結婚費用のための夫婦の貯金総額としては、全国の推計値が296万9,000円となっています。首都圏では336万6,000円です。

出典:ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ

出産
厚生労働省が公表している「出産費用の実態把握に関する調査研究」によると、2020年度の公的病院の平均出産費用は45万2,000円、全施設の平均出産費用は46万7,000円です(室料差額等を除く)。

出産は入院・出産以外にも、妊婦検診やマタニティ・ベビー用品の購入などに費用がかかります。ただし、自治体の助成制度や出産育児一時金などを活用すれば、費用の多くを補える可能性があります。

出産費用を抑えるには、複数の医療機関の比較や、マタニティ・ベビー用品のレンタルサービスも検討するとよいでしょう。

出典:出産費用の実態把握に関する調査研究|厚生労働省

住宅購入
住宅金融支援機構が公表している「2021年度 フラット35利用者調査」によると、住宅購入の所要資金(全国)は以下のとおりです。

・マンション4,528万円
・土地付注文住宅4,455万円
・建売住宅3,605万円
・注文住宅3,572万円
・中古マンション3,026万円
・中古戸建2,614万円

仮に頭金を2割とした場合に必要な預貯金額は次のとおりです。

出典:2021年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

なお、頭金以外にも、新築で物件価格の3~7%、中古で6~10%の諸費用を見込むとよいでしょう。

子どもの教育費
子どもの教育費は公立と私立で変わります。児童手当や就学支援金など公的支援の給付を受けることで、経済的負担を抑えられる可能性もあります。

文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高等学校までの学習費総額は以下となっています。

出典:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省

そのほかに貯めておきたい資金

続いて、ライフイベントにかかる費用以外に貯めておきたい資金について解説します。

緊急予備費
災害や失業、病気などのリスクに備えて緊急予備費を貯めておくと、いざというときに役立ちます。株式や債券は現金化に時間がかかるため、預貯金で用意するのがおすすめです。前述したライフイベントにかかる費用とは別の口座で管理するとよいでしょう。

緊急予備費の額として、毎月の生活費の3~6ヶ月分が目安になりますが、可能であれば1~2年分貯めておくと余裕を持って過ごせます。

老後資金
定年退職後の老後資金は早い時期から貯めておくことが大切です。必要な資金は各世帯の状況や加入している年金制度によっても異なります。

たとえば、夫婦ともに会社員(厚生年金)で賃貸物件に住んでいる場合、2,700万円前後の老後資金が必要といわれています。独身の会社員の場合は約1,400万円、独身の自営業者は4,700万円ほどです。一般的に会社員よりも自営業者のほうが必要な老後資金は多くなります。

備える方法としては、iDeCoやつみたてNISAのほか、個人年金保険、終身保険などの保険商品を活用する方法もあります。

効率的にお金を貯めるには?

効率的にお金を貯めるには、まず家計の収支を把握したうえで、固定費や無駄な出費を抑える工夫が大切です。

衝動買いが多かったり、余ったお金を貯蓄に回すのが苦手だったりする場合、自動積立口座や財形貯蓄などを活用して、収入から先取りで貯蓄に回すことを検討してください。iDeCoやつみたてNISAなど、税制優遇が受けられる制度を活用した資産運用もおすすめです。

まとめ

金融資産を保有している30代の平均貯金額は327万円、金融資産保有額は平均710万円となっています。30代は結婚や出産、住宅購入、子どもの就学などのライフイベントにかかる費用を把握したうえでお金を貯めることが大切です。そのほか、緊急予備費や老後資金も貯めておく必要があります。自動積立や財形貯蓄のほか、税制優遇が受けられる制度などをうまく活用するとよいでしょう。

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