小中高別タブレットの普及率はどのくらい? GIGAスクール構想の現状とは

文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想により、タブレットなどの端末普及率は上がっています。公立学校でも1人1台タブレット端末が用意されるようになり、今までにはない方法で学習が進められています。小さいお子さんがいるご家庭では、タブレット学習がどこまで普及しているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、小中高別のタブレットなどの端末普及率について調査しました。

タブレット学習の必要性

IT技術が進化し続けている現在、私たちは日常的にさまざまなIT機器に接するようになりました。今まではIT技術を必要としていなかった産業でも、人工知能を活用して業務を効率化する動きがみられています。現代の子どもたちがこの世の中で生活していくためには、最低限のITの知識や、IT機器を活用できる力を養うことが必要です。

そのための手段の一つとしてタブレット学習があります。タブレットを使用して学習を進めることにより、ICT機器の使い方や重要性を学べます。小学校ではプログラミング学習が必修化、中学校でもプログラミングに関する内容を充実させると、学習指導要領が改訂され、子どもたちがICT機器に接する必要性は高まっているでしょう。

小学校のタブレット普及率

全国の公立小学校におけるタブレットなどの端末利用率は以下のとおりです。


※参考
文部科学省「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値)」

利活用を開始していない3.8%の学校でも、2021年(令和3年)8月~12月に開始する予定のところが739校、2022年(令和4年)1月~3月に開始予定は19校と、多くの学校で導入の準備を進めていました。このように、公立小学校ではほとんどの学校でタブレットなどの端末が普及している状況です。

一方、私立小学校でもタブレット端末を利用した学習を導入する学校は増えています。ただし、国公立校では端末購入補助費として端末1台あたり定額4万5,000円が支給されますが、私立は補助金が端末購入価格の2分の1まで(上限額4万5,000円)です。

こういった状況から、学校や保護者の負担が公立よりも重く、なかなかタブレット端末導入が進まない学校もあります。

中学校のタブレット普及率

公立中学校でのタブレットなどの端末普及率は次の表のようになっています。


※参考
文部科学省「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値)」

文部科学省の調査では、まだ利活用を開始していない3.5%の学校も、347校が2021年(令和3年)8月~12月に、8校が2022年(令和4年)1月~3月に開始する予定という結果でした。公立小学校と同じく、ほとんどの学校でタブレットなどの端末導入が進んでいます。

私立中学校でも、小学校と同じく補助金が端末代金の半額までと制限されていることから、なかなか普及が進まない学校もあります。私立中学では、学校所持のタブレットではなく、生徒所有のタブレット端末の購入を求める学校もあり、保護者の金銭的負担は公立よりも大きい傾向にあるでしょう。

高校のタブレット普及率

株式会社旺文社のアンケート調査によると、校内に1台以上タブレットなどの端末を導入している高校は全体の62.1%でした。1人1台導入している高校は、生徒用モバイルICT端末を導入している高校のうち29.4%に過ぎません。なかでも国公立校で14.2%、私立校で53.4%と、国公立は私立に比べ遅れを取っている状況です。

ただ、こういったICT端末を使いやすいように、無線ネットワークの整備は進んでいます(下記表参考)。

GIGAスクール構想とは

タブレットなどのICT端末の普及が進んでいるのは、文部科学省のGIGAスクール構想が大きく影響しています。

GIGAスクール構想とは、「1人1台端末を用意し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、確実に育成できる教育ICT環境の実現」、「教師・児童生徒の力を最大限に引き出す」といったものです。

今までもICT端末を使用した学習はありましたが、GIGAスクール構想では1人1台端末を用意し、端末を生かした学習を行います。

個人の端末があることにより、以下のようなことができるようになります。

・授業中でも、端末を通して教師が生徒一人一人の反応を把握できる
・個人の学習内容を記録できる
・お互いの考えをリアルタイムで共有できる

集団で同じことを学んでいくだけではなく、生徒の学習状況に応じた個別学習が可能になり、より主体的、対話的で深い視点から授業を行えるようになるでしょう。

GIGAスクール構想の最新状況

公立小中学校の端末普及率をみてみると、GIGAスクール構想の要である、「1人1台の端末支給」は確実に進められています。前述したとおり、公立小中学校のほとんど、公立および私立の全国の高校の約6割は端末が整備され、なかでも多くの小中学校では一人一人がデジタルコンテンツによる学習をできる状況です。

文部科学省のGIGAスクール構想の実現ロードマップによると、教師のICT活用指導力の向上や、ICT支援員の充実、オンライン学習システムの導入など、ハード面だけでなく、人材やソフト面の強化も並行して進めていくようです。

高等学校は小中学校に比べ、まだタブレットなどの端末整備に遅れがみられますが、今後も1人1台端末の本格運用や校内ネットワークの整備に向けた取り組みは推進されます。

各家庭でできるタブレット学習

GIGAスクール構想により、公立の小中学校でも学校に通っていればICT端末による学習ができるようになりました。よりタブレットなどのICT端末に触れる機会を増やすためには、自宅でタブレット学習をすることもおすすめです。ここでは、各家庭でできるタブレット学習について紹介します。

通信教育・塾
タブレットを活用した通信教育の特徴は、国語や算数(数学)などの教科をデジタルコンテンツとして学べることです。教科書や参考書だけではわかりにくいものも、動画やゲームなどを通じて楽しく学習できるように工夫されています。

また、タブレットでプログラミングができる通信教育や塾もあります。タブレットの使い方、タブレットで利用できるプログラミングアプリの使い方などを学べ、学校で行うタブレット学習とはまた違った体験ができます。

学習アプリ・プログラミングアプリを導入する
自宅にタブレット端末を用意できるのであれば、学習アプリやプログラミングアプリを自分でインストールして使用できます。子ども向けのアプリは多数あるため、自分の子どもにあったものを選びましょう。

インストール数が多い人気のアプリは、使用方法をブログや動画サイトで公開している人が多いため、初心者でも学習しやすくおすすめです。

まとめ

GIGAスクール構想により、公立小中学校での端末整備は大きく進んでいます。ほとんどの学校で1人1台のICT端末が用意され、校内ネットワーク環境も整ってきています。今後は、よりよい端末の利活用方法を検討するなかで、教師の教育や授業内容の精査などが進んでいくでしょう。

タブレットなどのICT端末を活用した通信教育や塾もあるため、自宅でタブレット学習を進めることも可能です。自宅のタブレットにアプリを入れて独学で進める方法もあるため、試しに子ども向けアプリをインストールしてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2023.05.18)
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