横浜駅周辺の再開発、その全体像が見えてきた!? タワマン、商業施設建設など計画が目白押し

横浜駅周辺では長らく街の開発、整備が行われてきましたが、ようやく全体像が見えつつあります。現在行われている駅西口の鶴屋町地区、南幸地区での開発を中心に、横浜駅周辺の現在の姿を紹介しましょう。

横浜駅西口
横浜駅西口。写真中央少し左寄りが鶴屋町の再開発現場です。駅前の歩行者通路上の屋根も「エキサイトよこはま22」で整備されたものです(筆者撮影)

国際都市の玄関口としてふさわしい駅周辺づくり

横浜駅周辺では2009年に策定された「エキサイトよこはま22」という、国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくりを進めるための指針となる計画に基づいてまちの開発、整備が行われてきました。駅西口の鶴屋町地区、南幸地区などではまだ建設が続いており、これからの開発が検討されている地区もありますが、ある程度の姿が見えてきたと言っても良いでしょう。

ここではまず、既存建物も含めた全体像を見たうえで現在行われている開発、今後計画されている開発について見ていきましょう。

平沼地区、北幸地区では事業は一段落

「エキサイトよこはま22」が対象としている地域は下図の通り。横浜駅を中心にしたセンターゾーンの南から時計まわりに平沼地区、南幸地区、北幸地区、鶴屋町地区となっており、それぞれに目指すべきまちの姿は異なります。

エキサイトよこはま22
「エキサイトよこはま22」が対象としている地域の説明。駅にもっとも近い東、西に分けられたセンターゾーンのほか、平沼地区、南幸地区、北幸地区、鶴屋町地区となっています(出典:エキサイトよこはま22のエリア 横浜市

このうち、計画が終了しているのは平沼地区、北幸地区の2つ。

横浜駅周辺の既存施設

駅周辺施設
開発地域の位置が分かる地図と地域別の進捗状況が市ホームページ内に掲載されています。平沼地区、北幸地区は横浜駅から比較的遠いためか、開発計画自体も少なかった地域です(出典:駅周辺施設・整備事業 横浜市

横浜駅にもみなとみらいにもアクセスしやすい平沼地区では、2007年に高島二丁目地区第一種市街地再開発事業が完了しました。老朽化した木造家屋が密集していた地域に住宅、商業、業務、公益等の機能が入った地上36階建ての複合施設・ファーストプレイス横浜が誕生。風景が一変しました。

ファーストプレイス横浜
写真左の高層建物がファーストプレイス横浜。周囲からもひときわ目立つ建物です(筆者撮影)

北幸地区は横浜駅からやや離れた西側のエリアで主にビジネスのまちとして位置付けられており、彫刻通りと呼ばれる通りの整備が行われました。

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南幸地区にはショッピングモールが建設中

続いて現在、まさに開発が進行している、北幸地区と平沼地区に挟まれた南幸地区。ここはさまざまな人が楽しめる商業、文化、エンターテインメントのまちと位置付けられており、大型商業ビルのビブレ横浜や、映画館のムービル、飲食店などが軒を連ねているにぎやかな一画です。

ダイエー横浜西口店跡地開発
建替え工事が進む現場。変形な敷地となっており、住宅棟は写真中央にあるビル群の右手に建つことになります(筆者撮影)

地区内には1〜2階にダイエー横浜西口店が入ったUR都市機構の賃貸住宅があり、当初の計画にはなかったものの、2019年にダイエーが閉店。現在、その建物の建替え工事(ダイエー横浜西口店跡地開発)が進んでいます。

建物は22階建てで、新たに入る施設は(仮称)イオンモール横浜西口になる予定。こちらは2023年秋の開業を目指しています。

にぎやかな場所
建物周辺は飲食店や商業施設が集まり、にぎやかな場所です(筆者撮影)

賃貸住宅はUR都市機構が建替えており、戸数は250戸ほど。竣工は2025年の予定です。

横浜駅周辺は商業施設が多数集積する激戦区ですが、さらにそこにショッピングモールが誕生するわけで、消費者にとってはより選択肢が増えることになります。

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駅西口には2ヶ所の開発検討地域

センターゾーン
センターゾーンのうち、駅西口の開発、整備計画の一覧(出典:駅周辺施設・整備事業 横浜市

さて、その南幸地区の東側、センターゾーンの西口地区は横浜駅の顔とも言うべき場所で横浜高島屋、相鉄ジョイナスをはじめ大型商業施設が並んでいます。その西側、南幸地区に近いエリアでは幸栄、五番街(正式には横浜西口五番街)の2つの地区で開発が検討されています。

五番街エリア
五番街エリア。道幅は狭く、渋滞も常態化しています(筆者撮影)

いずれの地区も現地は路地に小規模なビルや飲食店が並ぶ地域です。幸栄は約1.1ヘクタール、五番街は約0.8ヘクタールとそれほど広大な地域ではありませんが、駅に近接する地域でもあり、また、道路面が低いため、冠水の危険もあります。

そうしたことを考えると、現在のにぎわいに十分配慮したうえで、安全を図るための開発が必要になるのではないでしょうか。これからの動向が気になります。

西口駅前広場はそろそろ完成

西口駅前広場周辺
西口駅前広場周辺の工事は大半が終わり、現在は一部施工中を残すばかりとなっています(筆者撮影)

また、西口では駅前広場の改修整備事業が行われており、こちらは2022年度までの予定。歩行者に優しい、待ち合わせなどがしやすい駅前広場になる計画だそうです。

鶴谷町地区の事業は現在進行中

センターゾーンの西口から北側にあるのが、駿台予備校のある鶴屋町地区。このエリアでは3つの事業が予定されており、すでにそのうちの2事業は終了しています。

橋のリニューアルで交通利便性アップ

はまレールウォーク
はまレールウォークから見た架け替えられた鶴屋橋。橋脚がなくなり、橋の幅も広くなり、歩きやすくなりました(筆者撮影)

そのうちのひとつが西口エリアから鶴屋町地区に向かう鶴屋橋架替事業。横浜駅周辺はいくつかの河川があり、西口エリアと鶴谷町エリアの間にも帷子川分水路が流れています。鶴屋橋はそこにかかる橋で、老朽化していたうえに歩行者が多いにも関わらず歩道が狭かったため、通行に支障をきたすとして架替工事が行われたもの。橋脚をなくすことで治水安全度も増しています。2017年9月に新しい橋が開通し、これにより、鶴屋町へアクセスしやすくなりました。

駅西口から鶴屋町に2つのビル

もうひとつ、再開発事業が終了しているのが横浜駅西口駅ビルです。地域の概要を説明した図からも分かる通り、このビルは駅から細長く北へ延びており、西口エリアの事業でありながら鶴屋町地区にもかかっています。

はまレールウォーク
はまレールウォークが2つのビルを繋いでいることを説明する掲示板(筆者撮影)

ちょっと不思議に思われるかもしれませんが、これは西口駅ビル=JR横浜タワーと歩行者デッキ・はまレールウォークで接続しているJR横浜鶴屋町ビルが一体として記載されているため。実際にはそれぞれ別のビルですが、どちらもJRが開発したということでこうした記載になっているのでしょう。

はまレールウォーク
はまレールウォーク。左側に見えているのが再開発現場です(筆者撮影)

どちらのビルも、2つのビルを繋ぐはまレールウォークもすでに完成しており(ただし、今後、再開発ビルと接続することが予定されているため、囲いがある状況)、横浜駅から鶴屋町には屋根のある、歩行者専用の通路が利用できるようになっています。これまでは駅まで来た人は一度外に出て鶴屋町にアクセスしていましたが、駅経由なら歩行者専用通路も利用できるようになりました。

2つの駅ビル完成で駅構内工事も終了

JR横浜タワー
JR横浜タワーは写真中央、高島屋の隣のビルになります。12階以上はオフィスとなっており、12階には展望テラスもあります(筆者撮影)

JR横浜タワーは商業施設、シネマコンプレックス、オフィスなどが入っており、横浜駅西口直結。2010年に横浜市環境影響評価条例に基づいた「環境影響評価方法書」が横浜市に提出され、「エキサイトよこはま22」のリーディングプロジェクトとして検討が進められてきたものです。その後、2015年に工事に着工、2020年に竣工しています。

横浜駅周辺では駅そのものの工事も長らく続いていましたが、このJR横浜タワーの完成で駅の工事も一段落。6社が乗り入れる世界有数規模の駅のため、複雑さは相変わらずですが、工事で遠回りするなどの面倒はなくなりました。

JR横浜鶴屋町ビル
JR横浜鶴屋町ビル。この建物に隣接するように再開発の現場があります(筆者撮影)

もうひとつのJR横浜鶴屋町ビルもJR横浜タワーと同年に開業しており、こちらには商業施設、スポーツクラブにホテル、保育所が入っています。JR横浜タワーからは、はまレールウォークを歩いて5分ほどです。

地上43階建てのタワー建設が進行中

JR横浜鶴屋町ビル
JR横浜鶴屋町ビルから再開発現場を見たところ。想像していた以上に近く、驚きました(筆者撮影)

そのはまレールウォークを下りてすぐのところでは現在、「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」が進んでいます。これは約0.8ヘクタールの土地に地上43階、高さ約178メートルのタワーを建設するというもので、用途は住宅、店舗、事務所にホテル、サービスアパートメント、グローバルスカイコモンズ(後述)、駐車場など。一般的な分譲住宅中心のタワーに比べると、要素がかなり多岐にわたっています。

日本初の国家戦略住宅整備事業

というのは、この建物は2016年9月に全国初の「国家戦略住宅整備事業」の認定を受けているため。聞き慣れない事業ですが、同再開発組合のホームページによるとグローバル企業を横浜に呼び込むための進出意欲醸成に向けた魅力づくりのひとつとして、グローバルプレイヤーを受け入れられる多様な滞在空間を提供する、というのが目的とのこと。簡単に言えば、海外から来日した事業者のニーズに合わせて滞在できる居住空間を提供しようということです。

国家戦略住宅整備事業
国家戦略住宅整備事業として目指すものが再開発組合ホームページ内で解説されています(出典:横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業

具体的には短~中期滞在のためにホテル、中~長期滞在のためにサービスアパートメント、その上層には住宅が配されています。滞在する人はその期間に応じて滞在する場所を選べるというわけです。

また、42階に用意されるグローバルスカイコモンズは、グローバルプレイヤーと地元の横浜を繋ぐ場として計画されています。国際交流機能や情報発信機能、文化機能等を備えた空間をイメージしているようですが、詳細は今の時点では分かりません。眺望が良い場になることだけは確かです。

住宅についてはすでにエントリーが始まっており、詳しいことについてはエントリー後に分かるようです。完成予定は2024年です。

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歩行者空間も同時に整備

歩行者ルートの整備
再開発組合ホームページ内にある歩行者ルートの整備について(出典:横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業

横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業では、道路の歩道部分と一体化した快適で安全な歩行者空間を形成するとしており、周辺の歩きやすさもアップしそうです。前述のはまレールウォークからもアクセスできるようになるので、駅からは歩いて3分ほど。非常に近い、駅に直結と言っても良いほど利便性の高い物件になりそうです。

鶴屋町2丁目あたりから見た再開発現場
鶴屋町2丁目あたりから見た再開発現場。周囲の建物がさほど高くないことも分かります(筆者撮影)

ちなみに物件の周辺は飲食店などが集積するエリアで、鶴屋町全体で見ると駐車場なども目立ちます。横浜市では特定の地域に一定の規模以上の建物を建設する際には駐車場を設置しなくてはいけない義務があるためですが、駅のすぐ近くでもあり、土地の使い方としてはかなり贅沢に思えます。また、小規模、低層の建物もあり、このエリアにはまだ変化の余地があるようです。

駅東口では動線の改良も

東口の開発、整備計画
センターゾーンのうち、東口の開発、整備計画。下の2ヶ所がこれから検討されることになっています(出典:駅周辺施設・整備事業 横浜市
PORTA横濱三塔物語
地下街の入口にリニューアルで新たに設置されたウェルカムゲート「PORTA横濱三塔物語」。残念ながら写真には三塔すべては入りませんでした(筆者撮影)

さて、残すはセンターゾーンの東口です。このエリアでは建物は横浜新都市ビル、スカイビルなど既存が主な対象となっており、2011年、2012年に行われた地下街、横浜ポルタのリニューアルのように再整備が中心になっています。

横浜ベイクォーター
横浜ベイクォーターは横浜駅きた東口直結のショッピングモール。周辺には住宅も多数建設されています(筆者撮影)

それ以外ではベイクォーターウォーク、はまみらいウォークなど動線の整備なども行われています。

ステーションオアシス地区の計画がこれからの柱

横浜中央郵便局
東口駅前にある横浜中央郵便局から裏手が再開発予定の地域になります(筆者撮影)

また、横浜駅南東側、横浜中央郵便局周辺に立地する横浜駅東口地区開発ではこれからの開発が検討されています。ステーションオアシス地区と呼ばれるこのエリアは、帷子川を挟んで平沼地区、みなとみらい21地区と隣接しているものの、鉄道によって地区が分断されており、低・未利用地が多くなっています。隣接地区とのアクセス性、回遊性にも問題があるともされています。

その一方で、立地の良さから東口再編のリーディングプロジェクト、みなとみらい21地区との連携強化を図る開発とも目されており、横浜市にとっては大事な計画であることは確か。現時点では歩行者用通路の計画までは立てられているものの、具体的にどのような開発を行うのかはこれからの課題とされています。

横浜中央郵便局別館
期間限定で利用されている横浜中央郵便局別館。建物内部を通り抜けられるようになっており、以前より近道ができるようになりました(筆者撮影)

現在は横浜中央郵便局別館をリノベーション、複合体験エンターテインメントビル「アソビル」が2019年に暫定的にオープンしています。それに伴って横浜駅みなみ東口通路直通の横浜駅東口POST STREETと名付けられた通路が時間限定で使えるようになり、駅へのアクセスが良くなりました。

みなとみらいへのアクセスを改良する計画も

また、東口ではもうひとつ、そごう横浜店東側の出島地区とみなとみらい大橋との道路接続(栄本町線支線1号)の整備も検討されています。

みなとみらい
横浜駅周辺からみなとみらいをつなぐペデストリアンデッキ、はまみらいウォーク。日産本社ビルと繋がっています(筆者撮影)

現在、横浜駅周辺とみなとみらいとは、はまみらいウォークで繋がれていますが、もう1ヶ所アクセスできるルートを整備することで駅周辺とみなとみらいがより便利に回遊できるようになることを目指しているのです。

Kアリーナ横浜
帷子川の対岸で建設が進んでいるKアリーナ横浜(写真中央より左側の低層の建物)。手前のみなとみらい大橋とアクセスできるようになれば便利です(筆者撮影)

計画されているルートの先には2023年秋の完成を目指して世界最大級の音楽に特化したアリーナ「Kアリーナ横浜」の建設が進められています。ホテル、オフィス棟も同時に造られる予定です。

以上、「エキサイトよこはま22」の全体像、現在進んでいる開発、これからの開発について紹介しました。今回紹介した建物の新築、改装、動線改良以外にも防災、治水、駐車場その他の観点での施策も同時に行われており、プロジェクト進行で横浜駅周辺は便利、安全、快適になってきました。その歩みは今後も続く予定であり、横浜駅周辺の魅力はさらに磨かれていくはずです。

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(最終更新日:2024.04.19)
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