JR中央・総武線の各駅停車駅・小岩は、明治32(1899)年に開業した歴史ある駅です。駅南北に複数の商店街が広がり、買い物、飲食に便利な街ですが、高齢化で販売額が年々減少。防災上の問題も指摘されており、これらの問題を一気に解消しようと駅南北で大規模な開発が進行しています。

小岩駅南口
小岩駅南口。今後、駅前の交通広場も含め、再開発の予定があり、駅前の風景は大きく変わることになりそうです(筆者撮影)

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都心に加え、千葉方面へのアクセスも良好

JR中央・総武線の各駅停車駅・小岩は、秋葉原駅まで約17分、御茶ノ水駅まで約20分、新宿駅まで約33分という都心へのアクセスに加え、船橋駅まで約15分などと千葉方面へのアクセスも良い場所にあります。

成田、羽田の両空港行
成田、羽田の両空港行き、「東京ディズニーリゾート®」行きと多方面へバスを利用できます(筆者撮影)

駅南口からは成田空港や羽田空港行きに加え、葛西臨海公園駅、「東京ディズニーリゾート®」、江戸川スポーツランド行きなどのバスも出ており、仕事に遊びにバスも活用できる立地です。また、駅北側に蔵前橋通り、南側に千葉街道が走っており、車でも移動しやすいでしょう。

小岩駅北側には京成線の京成小岩駅がありますが、歩くと20分以上はかかるため、駅北口から出ている京成バスを利用するのが便利です。

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駅の南北に複数の商店街が広がる便利な街

フラワーロード
アーケードが続くフラワーロード。千葉街道まで約200店が続く長い商店街で、さまざまな店舗が並んでいます(筆者撮影)
昭和通り商店街
昭和通り商店街。遠くからでも人通りが多い、にぎやかな通りであることが分かります(筆者撮影)

鉄道やバス、車など足回りの利便性に加え、小岩の住みやすさを象徴するのが商店街です。たとえば駅南口ロータリーに立つと、右側にフラワーロード(正式名称は小岩駅前通り美観商店街)、正面に昭和通り商店街、左側にサンロードと3本の商店街のゲートが見えます。1本の通りに複数の商店街があることもあって、駅の最寄りだけに限定しても、商店街数にするとなんと9つもの商店街があります。

北口には駅前にイトーヨーカドーがあり、それ以外にもやはり多数の商店街があります。小岩駅寄りに4つの商店街があり、なかには飲食店中心のところも。大型店から個人商店まで実にさまざまなサイズの店があるのです。

シャポー小岩
駅ビル内にはシャポー小岩という商業施設があり、エキナカだけでも買い物ができます(筆者撮影)

駅構内にはシャポー小岩という80店舗以上が入った商業施設もあります(2022年7月時点で改装中)。買い物をする、飲食を楽しむという観点から見ると、小岩は誰にとっても便利です。

業種の豊富さ、価格のお手頃さも商店街の魅力
最も店舗数の多いフラワーロードで会員数170店、飲食店の多い小岩地蔵中央通り会で129店舗(いずれも江戸川区商店街連合会ホームページより)となっており、店の数が多いことに加え、歩いて分かるのは業種の豊富さ。店舗間で競争があるのでしょう、商品の価格も都心部に比べるとお手頃です。

小岩の特徴
気取りのない雰囲気、お手頃な価格が小岩の特徴です(筆者撮影)

値上げのニュースが相次ぐ昨今にあっては、食料品など生活必需品が安いのはうれしいこと。外食がちな人にとっては、気軽に食べられる飲食店が多いのはありがたいでしょう。漬物や味噌など今ではめずらしくなってしまった専門店やエスニック料理店も多くあるので、食べ物にこだわりのある人には探訪しがいもありそうです。

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古い街ならではのいくつかの課題も

一方で気になる点もあります。気取りのない、庶民的な雰囲気が魅力でいまだに活気のある商店街ではありますが、駅から少し離れるとシャッターが下りたままの店舗もありますし、営業しているかどうか分からないような開店休業のような店舗も。商店主の高齢化、跡継ぎの不在で存亡の危機に瀕している店舗が出てきているのです。

商店街の売り上げが半減
その結果、商店街全体の売り上げも落ちてきています。平成初期からの25年余りでおよそ半減(約360億円減)となっていると、2019年に出された江戸川区の「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019」(以下まちづくり基本計画)は解説しています。

細街路が多く、防災面に懸念
「また、古くからある街並みのため、道幅の狭い道路が多く、老朽化した木造住宅が密集し、災害時の危険性が高い状況にあります」とも書かれています。たしかに駅前から商店街、そこからさらに入った路地を見ると、どこも道幅は狭く、場所によっては車と人のすれ違いのためには人が道の脇に寄らなくてはいけないことも。車にも、人にも危険です。

高齢化が進んでおり、地域を盛り上げ、コミュニティーを維持するための若い世代が減少していることも課題とされています。

JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019
JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019」が想定する駅周辺の開発予定区域。南北ともに広大な地域であることが分かります

そこで江戸川区が作成したのが前述のまちづくり基本計画。同計画では「100年栄えるまちづくり」を目標に掲げ、駅の南北での再開発が動き始めています。       

北口では交通広場、タワーマンションが建設予定

JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業
JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業のホームページより、計画地全体の図
小岩駅北口
小岩駅北口を出たところ。広場というほどの空間はなく、バス、タクシーの乗り場も設置できません(筆者撮影)

まずは北口側での計画を見ていきましょう。こちらは駅前の、現在イトーヨーカドーがあるところから北側を走る蔵前橋通りまでの大きな区画になります。

イトーヨーカドーより北側
イトーヨーカドーより北側ではすでに既存建物の取り壊しが始まっている区画も多く、暫定的に駐車場になっているところもありました(筆者撮影)

現在は建物の解体が進んでいる区画、営業が続いている区画が混在していますが、いずれはすべてを解体。そこに交通広場と保育所、コミュニティルーム、防災広場などを備えた住宅、商業施設などからなる建物が建つことになっています。

バス、タクシー乗り場に地下駐輪場が作られる
現状では駅の前の小さな広場を挟んでイトーヨーカドーがあり、駅前にはバスが乗り入れたり、タクシー乗り場を造ったりする余地はありません。

小岩駅北口通りのタクシー乗り場
小岩駅北口通りのタクシー乗り場。タクシーが停車しているとほかの車が通行しにくく、渋滞の原因に。この通りは倍に拡幅される計画です(筆者撮影)

現在のタクシー乗り場は小岩駅北口通りに設置されていますが、タクシーが止まっているとほかの車が通りにくく、実に不便。そこで約6,100平方メートル(自転車駐輪場、立体歩行者通路含む)の交通広場を造り、駅前に新しい道路を設けることでバス、タクシーの行き来をスムーズにするというわけです。

地下には約3,500台分の公共自転車駐輪場も整備される計画です。このエリアは平坦で自転車利用には便利な場所ですから、駐輪場ができれば自転車がより利用されやすくなるはずです。

周辺道路の拡幅で歩くのが楽しい街へ
敷地の西側にある小岩駅北口通りは9メートルから18メートルに拡幅されることになっており、歩道、植栽も整備される計画。歩いて楽しい道になることでしょう。道路では敷地東側の小岩北口仲通りを幅員6メートルに、JRの高架に沿った北側側道の幅員を11~14.5メートルへ拡幅する計画もあり、駅周辺の道路はゆったりとした安全な道に変わる計画です。

保育所や防災広場で住みやすく、安全な街へ
建物は最高110メートル(地下1階、地上30階)の高層棟、中層棟、低層棟からなるものが予定されており、供給される住宅の戸数は約730戸とのこと。それ以外では敷地の3つの角に広場、蔵前橋通りに近い一画に防災広場、建物内には保育所、コミュニティルーム、低層棟には商業施設が入る計画となっています。低層棟に造られる屋上広場も特徴的です。

ペデストリアンデッキの完成予想図。
北口駅前の交通広場、ペデストリアンデッキの完成予想図。現在の手狭な姿からすると大幅な変貌です(JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業ホームページより)

建物と駅を繋ぐペデストリアンデッキも予定されており、これらが完成すると小岩駅前の風景は大きく変わるでしょう。施設建物の竣工は2027年1月の予定で、駅前の広場や地下駐輪場、歩行者デッキなどが完成するのは2031年度とされています。

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南口側でも複数の計画が同時進行

南口側でも複数の開発が計画されています。うち、南小岩七丁目西地区ではすでに29階建て、全177戸のタワーマンションが2015年に完成しています。

南小岩六丁目地区は3つの区画で開発進行中
現在、工事が進んでいるのは、より駅に近い南小岩六丁目地区です。ここは3つの区画に分けて開発が進められており、駅前のⅠ街区では2020年に地上10階建ての商業ビルFIRSTAⅠ(ファスタⅠ)が竣工、2021年7月には全館開業しています。ここには飲食店、フィットネスクラブ、証券会社などが入っています。

イメージパース
南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業の建物イメージパース。現在は右側、中央の2棟が完成しており、一番左の建物が今後建設されます。駅は右手にあります
南小岩七丁目西地区
写真右側がⅠ街区、中央がⅡ街区で、今後、その奥のⅢ街区にタワーマンションが建設される予定。左手に見えているのは南小岩七丁目西地区の29階建てのタワーマンションです(筆者撮影)

道を隔てて隣接するⅡ街区には、22階建て・全233戸のタワーマンションが2022年3月に竣工しています。こちらも商業施設、オフィスなどが一部に入る予定です。さらにその奥のⅢ街区では、これまでよりも高い33階建てのタワーマンションが建設予定で、2026年1月に竣工する予定です。戸数はこの街区全体で601戸が予定されており、すでに233戸が分譲されていることから、残りは368戸ほどという計算になります。

南小岩七丁目では再開発、土地区画整理事業が施行予定
かなり姿が見えつつある南小岩六丁目地区に比べると、まだまだ姿までは見えていないのが南小岩七丁目地区。すでにタワーマンションが建設された南小岩七丁目西地区の東側にあたる広大なエリアで、土地区画整理事業、市街地再開発事業が行われる計画となっています。市街地再開発については準備組合が設立されています。

リングロード
以下で紹介するリングロードとして整備される予定の路地。曲がりくねった道でもあり、車と人、自転車などのすれ違いには危険が(筆者撮影)

実際に歩いてみると細い街路が多く、整備が必要なことを実感します。詳細はこれからですが、どのような姿になるか、注目しておきたいものです。

道路の整備、拡幅も計画されている

リングロード
リングロードについて説明する掲示。商店街を繋いで回遊できる道になる予定です(筆者撮影)

また、現在姿を現しつつある南小岩六丁目地区から南小岩七丁目地区をぐるりと円を描くように貫き、小岩中央通りに至るリングロードという構想もあります。商店街や新たな市街地をつなぐことで回遊性のある街、散歩の楽しい街にしようということでしょう。

サンロードから駅方面を見たところ
サンロードから駅方面を見たところ。飲食店が多い通りで、現在の歩道は人のすれ違いが難しいような幅です(筆者撮影)

道路ではもうひとつ、南口から延びる商店街のうち、もっとも北側にあるサンロードの拡幅計画もあります。道路幅員を9メートルから18メートルと倍に広げようというものです。現在は窮屈な細い歩道な上バスも通る道ですが、そこを歩いて楽しめる歩道を整備、街並みの景観を統一するという計画です。

南口駅前の交通広場
北口に比べれば広くはあるものの、とても十分とは言えない南口駅前の交通広場。こちらも今後広く、安全なものに変わっていくはずです(筆者撮影)

もちろん、南口駅前の交通広場の整備も予定されています。交通広場自体は約5400平方メートルとされており、バス、タクシーの利用に便利で、かつ駅前の顔となる空間づくりが模索されています。現在の北口側に比べると多少はゆとりのある南口側ですが、それでも交通量、人出を考えるとまだまだ。より使いやすくなる日を期待したいものです。

エリアマネジメント団体KOITTO(コイット)も誕生

ちなみに小岩駅周辺の開発で興味深いのは北口側、南口側がそれぞれで独自に計画が進展しているのではないこと。江戸川区の全体構想に基づいて行われており、再開発で生まれる新しい小岩を盛り上げるためにエリアマネジメント団体が作られています。

KOITTO
江戸川区、各市街地再開発組合、準備組合に加え、現在小岩の開発に関わっている事業者なども関わって地域を盛り上げていく計画とか(一般社団法人小岩駅周辺地区エリアマネジメント愛称:KOITTO

それがKOITTO(一般社団法人小岩駅周辺地区エリアマネジメント)。現在進んでいる3つの再開発組合、準備組合と、江戸川区、再開発事業者が協力して立ち上げたエリアマネジメント団体です。オール小岩で魅力あるエリアづくりを進めていくとしており、FIRSTAⅠの1階や建物前の屋外スペースを利用してマルシェや地元の飲食店を盛り上げるための弁当販売を行うなど、すでに活動を開始しています。

拠点施設でイベント開催など多彩な活動

KOITTO TERRACE
KOITTO TERRACE。利用状況に合わせてドトールコーヒーとスペースを按分するそうで、これによって駅前の一等地を地域の人たちが利用しやすくなります(筆者撮影)

拠点となっているのはFIRSTAⅠの1階にあるKOITTO TERRACE(コイットテラス)。ドトールコーヒーと一緒に運営している空間で、レンタルスペース、レンタルシート、レンタルラックがあります。街でイベントを開催する際の舞台になったり、誰かと打ち合わせする際の会議室代わりになったりと、さまざまな形で使えるのだとか。取材時には子どもたちがモノ作りに取り組んでいました。

商店街
商店街では地域の人たちが熱心に歩道の花壇の手入れをしている様子が印象的でした。地元を大事にしようという人がたくさんいる街ということでしょう(筆者撮影)

複数の開発が行われているだけでなく、それぞれの開発がこの街を良くしようという目標に向かって進んでいる街、小岩。これからの変貌が住みやすさに繋がることが期待できそうです。

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