たびたびニュースで取り上げられているヒアリ。今年、2022年5月25日にも、東京港青海ふ頭内でヒアリが確認されたという報道がありました。「たかがアリなのに、なぜそんなに騒がれているのか」と不思議に思う人もいるかもしれません。ヒアリとはどんな昆虫で、どの程度危険なのでしょうか。ヒアリの生態や刺されたときの対処法などを解説します。

ヒアリとはどんな蟻か

ヒアリはほかのアリとは違って危険な昆虫の一種です。そもそもヒアリとはどんな蟻なのか、特徴についてみていきましょう。

ヒアリの特徴

ヒアリは南米が原産地だが、米国、カリブ諸島、ニュージーランド、オーストラリア、中国、台湾でも発見されている

ヒアリとは和名で、学術名は「Solenopsis invicta」といいます。体長は2~6mm、体は赤褐色で、腹部が暗色なのが特徴です。色や大きさが特徴的なので、日本でよく見かける黒いアリや体長2mm未満の小さなアリは、ヒアリではない可能性が高いといえるでしょう。

ただし、海外には黒いヒアリ類もいるため色だけでは一概に判断できません。ヒアリは公園や農耕地などにも巣を作り、性格は攻撃的です。人間を刺すことがあるため、ヒアリを発見しても素手でさわらないようにしましょう。

ヒアリは南アメリカが原産地で、特定外来生物に指定されています。元々ヒアリは日本にいない生物でしたが、2017年に兵庫県で初確認されて以来、愛知県や大阪府、東京都など国内での目撃情報が相次いでいます。

ヒアリは、船や飛行機に積まれたコンテナ・貨物にまぎれ込んで国内に持ち込まれていて、アメリカ合衆国やカリブ諸島、ニュージーランド、オーストラリア、そして中国や台湾でも発見されるようになりました。

参考元:東京都環境局 自然環境部計画課「危険な外来生物」

特定外来生物とは

特定外来生物とは、外来生物法に基づき国が指定した生物のことです。外来生物のうち、生態系や人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼしたり、及ぼす危険性があったりする生物が含まれます。人々の生活や健康を損なう可能性がある特定外来生物は、飼養や運搬、保管、輸入、譲渡、放出などが規制されています。そのため、ヒアリが発見された際には必要に応じて防除を行い、国内での繁殖や定着を防ぐことが重要です。

ヒアリに刺されるとどうなるか

ヒアリは非常に攻撃的で、集団で小型哺乳類を攻撃することもわかっています。もし、ヒアリに遭遇して刺されてしまったらどうなるのか、その症状について環境省が公表している情報を基に解説します。

参考元:環境省「ヒアリの基礎情報」

焼けるような痛み、かゆみ、膿

刺された部分は赤くなる

ヒアリに刺さると多くの場合、刺された瞬間に「熱い」と感じるような激しい痛みがあります。刺された部分には赤く小さな腫れができて、次の日にはその中央に膿がたまります。かゆくなることもありますが、その後は症状が改善していくことがほとんどです。

ところが、ヒアリに刺されたときの反応は人によって異なり、ヒアリの毒にアレルギーを持っている人はさらに重篤な症状が出ることもあります。

じんましん

ヒアリの毒にアレルギーのある体質の人が刺された場合、じんましんが現れることがあります。刺されてすぐに赤く腫れたり、かゆみが全身に広がって赤斑やミミズ腫れが出たりすることもあるので、注意が必要です。

ヒアリかどうかわからないけれども、虫に刺されて激しい痛みを感じた直後にじんましんが出るなど体調に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

呼吸困難・血圧低下・意識障害など

ヒアリで最も恐ろしい症状が「アナフィラキシーショック」です。ヒアリの毒にアレルギーのある体質の人がヒアリに刺されると、20~30分以内に症状が現れます。息苦しさや声枯れ、激しい動悸、めまい、腹痛などを引き起こしたり、進行すると血圧が急激に低下して意識を失ってしまったりすることもあります。

アナフィラキシーショックは、通常2回目に刺されると発症しますが、過去にヒアリに刺された経験がなければ大丈夫というわけではありません。ヒアリはハチ目に属しており、過去にハチに刺された経験があると2回目ということになり、アナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があるのです。

アナフィラキシーショックは死に至る危険性もあるため、このような強いアレルギー症状が出たらすぐ医療機関を受診するか、症状が重い場合は救急車を呼びましょう。

ヒアリに刺された場合の対処法

ヒアリは小さいため、近くにいることに気がつかずに刺されてしまう可能性も十分考えられます。もし、ヒアリに刺されてしまった場合はどうすればいいのか、対処法について解説します。

刺された直後の対処

ヒアリに刺されると「もしかしたらアナフィラキシーショックを起こすかもしれない」と不安になってしまう人も多いでしょう。ですが、刺された直後はむやみに動かず、20〜30分程度安静にしましょう。その間、体調に変化がないか注意深く観察します。

そして、患部を冷たいタオルや保冷剤などで冷やします。しばらく安静にしていて症状が悪化する気配がなければ、あわてる必要はありません。その後、落ち着いて医療機関を受診しましょう。

症状が悪化している場合

刺された直後から、じんましんや激しい動悸、めまいなどの症状が現れたら、早急に救急車を呼び、一番近い医療機関を受診しましょう。可能であれば、救急受け入れのある病院が望ましいです。そして、医療機関にかかるときには「アリに刺されたこと」や「アナフィラキシーショックの可能性があること」を伝えて、一刻も早く治療してもらいましょう。

ヒアリを発見したときは

2017年に国内で初めてヒアリが確認されてから、国内でのヒアリの定着が危惧されています。そのため、家の近くでヒアリを発見する可能性もゼロではありません。もし、家の中などでヒアリに遭遇してしまったときはどうすればいいのでしょうか。ヒアリを発見したときの対処法について解説します。

行政機関へ連絡する

ヒアリを発見したり、もしくはヒアリではないかと疑われたりする場合は、地元の市区町村、または環境省が管轄する地方環境事務所へ連絡しましょう。「環境省ヒアリ相談ダイヤル」へ電話をすれば、適切な指示を受けられます。

ヒアリを見つけたからといって安易に捕まえたりせず、まずは自治体や環境事務所の指示を仰ぐことが大切です。

数が少ない場合

ヒアリの数が少ない場合は市販のスプレー式殺虫剤で殺虫

ヒアリらしきアリを発見したら、専門機関にヒアリかどうか確認を依頼することになります。ヒアリの数が少ない場合は、刺されないように注意して殺虫しましょう。熱湯や市販のスプレー式殺虫剤を吹きかければ殺虫できます。

このとき、ヒアリが動いていないか注意深く観察し、確実に死んだかどうか確認しましょう。そして、ヒアリは死んでいても毒針が出ていることがあるため、決して素手でさわってはいけません。

集団や巣をみつけた場合

万が一、ヒアリの集団や巣を見つけた場合は、速やかに自治体や地方環境事務所へ連絡しましょう。巣をつついたり踏んだりしてしまうと、ヒアリが攻撃してくる危険性があります。また、大量のヒアリを一度に根絶するのは難しいため、巣に殺虫剤や熱湯をかけるのもやめましょう。

毒餌を撒くと、ヒアリの定着を防いでくれる在来アリも駆除してしまう可能性があります。自己判断せずに、自治体からの指示に従うようにしましょう。

生きたまま持ち運ぶことは禁止

ヒアリは、特定外来生物に指定されているので、生きたまま持ち運んだり、飼育したりすることは禁止されています。家の中や近所で見かけたからといって、生きたまま別の場所に移したり追い払ったりするのはやめましょう。必ず、熱湯や殺虫剤を吹きつけて、死んだことを確認する必要があります。

まとめ

ヒアリに出会わないことが一番ですが、家の近所で遭遇してしまう可能性もあります。万が一ヒアリに遭遇したら、まず地元の市区町村や環境事務所に連絡して指示を仰ぎましょう。ヒアリを持ち運んだり、飼育したりすることは法令違反ですし、それ以上に危険が伴います。

もし、ヒアリに刺されてしまった場合は、症状に応じて適切に病院を受診するなどして冷静に対処しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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