年収400万円というと、2022年現在の日本人における年収の中央値とほぼ同じであり、平均的な年収と考えられます。そんな年収400万円の人が、無理なく返済できる住宅ローンの借入額はいくらぐらいなのでしょうか。

この記事では、年収400万円の人にとって適正な住宅ローンの借入額と、その理由について解説。また、住宅ローンを組むにあたって知っておきたい頭金についてのポイントも紹介していきます。

年収400万円で住宅ローンはいくらまで借りられるのか?

まず、年収400万円の人が住宅ローンを借り入れる場合、いくらまで借りられるのか見ていきましょう。

通常「返済比率(返済負担率)30〜35%まで」を借入金額の上限としている金融機関が多く、返済比率は高くても40%以下に抑えるというのが一般的です。このことから、年収の10倍程度までの住宅ローンが組めるという金融機関もあります。

返済比率とは、年収に対する年間のローン返済額の割合を指します。たとえば、年収400万円の人が年間返済額120万円の住宅ローンを組む場合、返済比率は120万円÷400万円×100=30%となります。

基本的に返済比率が低いほどゆとりのある返済が可能であり、上限いっぱいまで借り入れるのは危険です。なぜ危険なのかという理由については、この後詳しく解説していきます。

なぜ年収の10倍の住宅ローンを組んではいけないのか?

金融機関によっては年収の10倍程度までの住宅ローンが組めると紹介しましたが、無理なく返済できるローンの金額は年収の5倍程度までと言われています。

なぜ、上限の10倍程度まで借り入れるのは危険なのでしょうか。具体的な数値を用いながら、その理由について詳しく解説していきます。

住宅ローン以外の支払いもあるから
「従来住んでいた賃貸物件の月あたりの家賃=住宅ローンの月々返済額」であれば返済できると考える人もいるかもしれませんが、住宅を購入すると支払わなければならないコストは、住宅ローンの返済だけではありません。

持ち家は賃貸と異なり、税金などさまざまな支払いが必要になるため、住宅ローンを上限いっぱいで借り入れるのは危険と考えられるのです。住宅を購入した場合に想定される費用について、具体的に見ていきましょう。

物件購入時には頭金のほか、不動産取得税・登録免許税といった税金がかかります。また、不動産登記を依頼する司法書士への報酬、住宅ローンを借り入れる際に金融機関へ支払うローン事務手数料、保証会社に支払う保証料なども見込まなくてはなりません。

こうした購入時の諸費用は新築物件で物件価格の3〜7%、中古物件で6〜13%とも言われ、購入費用とは別にまとまった費用を用意しなくてはならないのです。

また、固定資産税などの税金、火災・地震保険料、積立分を含む修繕費など、マイホームの維持のためにかかる費用も忘れてはいけません。一戸建ての維持費は年間30〜40万円とも言われ、これも加味して住宅ローンの返済を考えなければ、将来返済不能に陥るリスクもあります。

手取り月収に占める住宅関連費の割合が高くなりすぎるから
上限ギリギリまで住宅ローンを借り入れると危険な理由としてもう1つ挙げられるのが、手取り月収に対する住宅関連費の割合が高くなりすぎ、生活に無理が生じる可能性があるためです。

一例として、月収33万4,000円・ボーナスなし(年収約400万円)の35歳男性(都内企業勤務・扶養家族なし)が住宅ローンを借り入れるケースを見ていきましょう。

借り入れる住宅ローンは、ARUHIフラット35(9割以下)とします。この際の借入条件は、借入金利1.49%(2022年6月の実行金利)、元利均等返済、新機構団信あり、ボーナス払いなしとします。2,000万円、3,000万円、4,000万円を借り入れた場合の毎月の返済額と総返済額は次のとおりです。

続いて、先ほどの男性の手取り月収額を計算すると約277,400円。仮に年収の10倍にあたる4,000万円の住宅ローンを借りてしまうと、先ほど紹介した税金の支払いなどを含めると、手取りの半分近くを住宅に関する費用支払いが占めることになります。

このように上限ギリギリまで住宅ローンを借り入れると、日々の生活に無理が生じかねないのです。

(参考)ARUHI住宅ローン「借入希望金額から試算|住宅ローンシミュレーション」
(参考)ファンジョブ「月収と年収の手取り計算|給与シミュレーション」

年収400万円の人が無理なく返済できる住宅ローンの上限はいくら?

年収400万円の人が普通の生活を送りながら、無理なく返済できる住宅ローンの借入額とはいくらなのでしょうか。

年収400万円と一口に言っても、一人暮らしの人と子どもがいる人では家計の状況が大きく異なります。また、自動車ローンやカードローン、教育ローン、奨学金といった住宅ローン以外の借り入れがある場合、それらの月々の返済も見込む必要があります。

こうした状況を考慮したうえで、住宅ローンの返済額は手取り月収の25%までに抑えたほうがいいとされます。

前段落で例として取り上げた男性のケースで考えると、手取り月収約277,400円×25%=69,350円。住宅ローンの借入額2,000万円で毎月の返済額が約61,100円であることを踏まえると、年収400万円の人であれば2,000〜2,200万円程度が住宅ローンの上限と考えられるでしょう。

年収400万円で住宅ローンを組むなら頭金をどの程度入れるべき?

頭金をほとんど入れない、あるいはゼロでも住宅ローンを組める金融機関はあります。しかし、都市部となると年収400万円で無理なく返済できる2,000万円程度では、物件が見つからない場合も多いでしょう。

そのため、年収400万円で無理のない返済計画を立てようとすると、ある程度まとまった頭金を用意しておく必要があると考えられます。ここからは、年収400万円の人が住宅ローンを組むにあたって理解しておきたい、頭金の考え方を紹介します。

無理なく支払える返済額から逆算して頭金を入れよう
これまで紹介してきた、年収400万円の人が無理なく返済できる適正額2,000〜2,200万円以上の物件を購入したいと考えている場合、超える分程度は頭金を準備しておくのが理想です。

適正額については、住宅ローンを借り入れる人の状況によって異なります。たとえば、小さな子どもがいる家庭であれば、今後教育資金がかかることが予想されるため、通常の適正額よりも借り入れを抑えたほうが安心です。自動車ローンや奨学金などほかの借り入れがある人も、住宅ローンによる借り入れはできる限り抑えたいところ。

適正額はあくまでも目安として、個々の状況に応じた無理なく支払える返済額を検討するのが大切です。そこから逆算して、ローン借入額を超える分の頭金を用意するとよいでしょう。

ローン期間と金利負担の関係性を理解しておこう
住宅ローンの借入期間が長くなれば、その分月々の返済額は減ります。一方で、支払わなければならない金利は増えるため、短期間で借りるより総返済額が高くなる点は要注意。また、返済期間が長くなると完済へ近づくにつれて収入が減少し、返済負担が大きくなる可能性もあります。

よって、リタイアする年齢までに完済できるよう返済期間を設定したいところ。もしリタイア以降も返済が続くようであれば、繰り上げ返済も含めた返済計画を立てておくのが大切です。頭金を1〜3割程度入れると金利が下がる金融機関もあり、一定の頭金を用意することで総返済額の低減が期待できます。

半年分程度の生活費を手元に残しておこう
頭金をたくさん入れて借入金額を減らせば、金利負担が少なくなり、総返済額を抑えられます。ただ、将来的に失業や病気などによって収入が減ってしまったり、住まいの急な修繕が必要になったりといったアクシデントも考えられます。

頭金を増やしたばかりに、こうしたアクシデントに対応できなくなるようでは問題です。万が一の事態に備え、常に半年分の生活費を賄える程度の資金は手元に残しておいたほうが安全です。加えて、子どもの進学費用など、近々まとまった費用がかかる予定があるなら、その分は別で確保しておきましょう。

まとめ

年収の10倍程度まで住宅ローンを借りられる金融機関もありますが、住宅を購入するとローン返済以外にも多くのコストがかかるため、上限いっぱいで借り入れるのはリスクが高いと言えます。年収400万円の人が無理なく返済するには、2,000〜2,200万円程度を借入額の目安と考えましょう。

ただ、同じ年収400万円でも、世帯構成やほかの借り入れの有無などによって状況は異なります。住宅ローンを借り入れる際には、限度額ではなく、自身が無理なく返済できる金額だけ借りることが大切です。

(最終更新日:2022.08.08)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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