セカンドハウスにも住民税や固定資産税はかかる? 知っておくべき税の優遇措置とは

毎月必ず訪れるような場所がある場合、セカンドハウスがあると便利です。また、テレワークで働く場所を選ばない人は、セカンドハウスで働く環境を変えるとリフレッシュ効果も得られるでしょう。

別荘と違い、セカンドハウスには税制上の優遇措置が設けられています。そこで今回は、セカンドハウスにかかる税金と受けられる優遇制度について解説します。

税制上のセカンドハウスの要件

セカンドハウスとは、自宅とは別に毎週末を過ごす家、遠距離通勤者が平日を過ごす職場近くの家などのことです。文字どおり「第二の自宅」を意味します。

次の要件を満たし、セカンドハウスとして認められると、マイホームと同じように税制面の優遇措置が受けられます。

・居住用の家屋であること
・特定の人の利用であること
・年間を通じて毎月1泊2日以上の利用があること

なお、優遇措置を受けるには以下のような手続きが必要です。

・取得後60日以内に所在地の都道府県税事務所へ申請する
・毎月1泊2日以上の滞在を市区町村役場に提出する

申請方法や必要書類などは自治体によって異なるため、セカンドハウス購入の前に確認するようにしてください。

セカンドハウスと別荘の違い
地方税法施行令第36条では、別荘について次のように定義しています。

「日常生活の用に供しないものとして総務省令で定める家屋又はその部分のうち専ら保養の用に供するもの」

出典:地方税法施行令|e-Gov

セカンドハウスが「生活に必要な住居」と位置付けられるのに対し、別荘の位置付けはあくまで「保養」を目的とする建物です。つまり、別荘は贅沢品とみなされるため、税制上の優遇措置は適用されません。

セカンドハウスは税金の優遇措置がある

セカンドハウスと認められた場合、「住宅用地に係る特例」により固定資産税・都市計画税が、「住宅・住宅用地の特例」により不動産取得税が軽減される可能性があります。それぞれどのくらい軽減されるのか解説します。

固定資産税
固定資産税は土地・家屋や償却資産にかかる地方税で、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。固定資産税の計算方法は以下のとおりです。

「固定資産税=(土地は課税標準、家屋は課税台帳に登録されている価格)×1.4%(標準税率)」

土地の課税標準額は売買実例価格などを基に算出されますが、宅地については地価公示価格などの7割が目安です。「住宅用地に係る特例」が適用されると、次のとおり課税標準額がさらに減額されます。

・小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):課税標準額×1/6
・一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):課税標準額×1/3

なお、地方税のため、自治体によっては異なる税率が適用されることがあります。正確に知りたい場合は、セカンドハウスを建設した場所の自治体に確認してみてください。

参考:固定資産税の概要|総務省

都市計画税
市街化区域内の土地・家屋には、固定資産税にあわせて以下のような都市計画税が課税されます。

「都市計画税:課税標準×最高0.3%(制限税率)」

特例適用後の課税標準額の減額割合は次のとおりです。

・小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):課税標準額×1/3
・一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):課税標準額×2/3

固定資産税と同じく課税主体は自治体で、市町村によって税率が異なります。ただし、制限税率のため上限の0.3%を超えることはありません。

参考:都市計画税|総務省

不動産取得税
不動産取得税は、売買や贈与、新築や増築などで発生します。固定資産税や土地計画税のように毎年課税されるものではなく、取得後半年から1年半の間に都道府県から課税される地方税です。

「不動産取得税:固定資産の評価額(課税標準税額)×4%(標準税率)」

「住宅・住宅用地の特例」が適用されると、土地・建物それぞれに次のとおり減額されます。

【土地】
下記のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額
・150万円
・床面積の2倍の面積(200平方メートルまで)に相当する土地の価格
【建物】
・新築:固定資産税評価額から1,200万円を控除
・中古:住宅の新築時期により固定資産税評価額から最高1,200万円を控除

なお、2024(令和6)年3月31日までに取得した不動産に関しては、さらに次のような軽減措置が適用される可能性があります。要件などはセカンドハウスがある都道府県に確認してください。

・不動産取得税の税率の特例:4%→3%に軽減
・住宅用地・商業地等の特例:固定資産税評価額(課税標準税額)を1/2に圧縮

参考:不動産取得税|総務省
参考:不動産取得税に係る特例措置|国土交通省

セカンドハウスにも住民税はかかる

自宅と同様に、セカンドハウスにも個人住民税の納税義務が発生します。個人住民税は、消防・救急・福祉・環境など地域社会を支えるために必要な費用を住民が負担する、いわばその地域に住むための会費のようなものです。毎月1泊2日以上を過ごすセカンドハウスにも、立地の自治体から課税されます。

個人住民税の内訳は次のとおりで、セカンドハウスは均等割のみ課税対象です。

なお、上記の税率は標準税率で、環境保護などを目的とした超過課税を設けている自治体もあります。

参考:個人住民税|総務省

セカンドハウスと住宅ローン

ここからは、セカンドハウスの購入にローンを検討する場合の注意点を解説します。

基本的に住宅ローンは組めない
住宅ローンは自らが居住することを条件としているため、セカンドハウスの購入には利用できません。そのため、基本的にセカンドハウスの購入には専用のローンに申し込む必要があります。

注意したい点は、セカンドハウスローンは一般的な住宅ローンに比べて審査が厳しいことでしょう。特に返済能力に対するチェックは厳しく、申し込み時の年収基準を500万円とする金融機関も多くあります。

金利も住宅ローンに比べると比較的高めです。そもそも、セカンドハウス専用ローンを取り扱う金融機関は、それほど多くありません。商品の選択肢が少ない点にも注意してください。

フラット35であれば利用可能
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関と連携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。公的機関が提供しているという安心感があり、マイホーム購入に利用した・利用しているという人は少なくないでしょう。

2006(平成18)年1月からは、セカンドハウス購入にもフラット35を利用できるようになりました。金利や融資条件などは通常の住宅ローンと同じです。ただし、マイホーム購入にフラット35を利用して返済中という場合は、フラット35の二重借り入れはできません。詳しくは下記リンクよりご確認ください。

参考記事:【フラット35】利用ケース セカンドハウス|ARUHI住宅ローン

住宅ローン控除は受けられない
セカンドハウスローンは住宅ローン控除の対象外です。住宅ローン控除申請には住民票を提出するため、所有者と居住者が一致しなければ控除対象にはなりません。

ただし、メインの自宅で住宅ローン控除の適用期間が終了している場合、セカンドハウスに住民票を移せば控除を受けられる可能性があります。とはいえ、そのためだけに住民票を移すのは現実的ではないでしょう。それよりも、前述のとおり固定資産税・都市計画税などの軽減が受けられるよう、手続きを忘れずに行うことをおすすめします。

まとめ

マイホームと同じく、セカンドハウスにも固定資産税や住民税などの支払い義務が発生します。ただし、セカンドハウスの認定を受けた場合には特例が受けられ、納税額の負担軽減が可能です。セカンドハウス認定の条件は自治体ごとに異なります。事前に内容を確認し、忘れずに手続きを行うようにしてください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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