放っておくと危険? 梅雨に広がるカビ…しっかりやろう湿気・カビ対策

一年のなかで、最も雨が多い梅雨。ムシムシ・ジメジメとした空気で、「なんだかすっきりしない」という人も多くなる季節です。また、高温多湿な環境は不快感を生むだけではありません。カビやダニなどが繁殖しやすくなり、場合によっては健康を害する恐れもあります。

今回は、梅雨の湿気対策やカビ対策について詳しく解説します。ポイントをおさえて、梅雨の時期の生活環境を快適に整えましょう。

梅雨の高温多湿がもたらすもの

雨の日が続く梅雨の季節は、屋内も高温多湿になります。具体的にはどのような影響があるのか、詳しく見ていきましょう。

カビ・ダニが繁殖

梅雨の時期に増えるカビ。放っておくと大変なことに

梅雨の高温多湿がもたらすものとしてまず挙げられるのが、カビ・ダニの繁殖です。

カビは食品をはじめとする有機物全般が栄養源です。また、ダニは人のフケなどタンパク質を好むため、寝具やソファー、カーペットなどに多く潜んでいます。

カビが好む環境は、温度20~30℃、湿度80%以上。ダニが好む環境は、温度20~30℃、湿度60~80%です。気温・湿度ともに、梅雨はカビやダニの活性化に最適な季節なのです。

カビを餌とする虫の発生

カビはコナダニ、チャタテムシといった害虫の餌にもなります。カビが増えることで、こうした虫も繁殖しやすくなります。

コナダニは、ホットケーキミックスやお好み焼き粉などに繁殖しやすい虫です。人を刺すことはありませんが、食品と一緒に食べてしまうことでアレルギーを引き起こす可能性があります。

チャタテムシはお米や乾麺のうどん、そうめんなど、乾燥食品によく湧くことでも知られています。こちらも人を刺しませんが、コナダニと同じくアレルギー源になり得るので注意が必要です。

嫌な臭いが充満

カビの発する独特な“カビ臭”もまた、梅雨の高温多湿がもたらす嫌な要素の一つです。わずかな臭いでも人に不快感を与え、生活空間を居心地の悪いものにしてしまいます。

さらに、湿度の高い環境では、洗濯物や靴などにも嫌な臭いがつきがちです。これらの悪臭の原因は、モラクセラ菌などの雑菌。洗濯物の室内干しなど、高温多湿な環境が繁殖を助けるとされています。

梅雨の湿気がもたらす健康被害

ここからは、梅雨の湿気がもたらす健康被害についておさえていきましょう。

夏型過敏性肺炎

梅雨の時期に発生しがちなカビは「夏型過敏性肺炎」という病気の原因になることがあるため、専門家も注意を呼び掛けています。

「原因となるトリコスポロンという真菌は6~10月にかけて高温多湿な古い家屋などに生育します。住人がトリコスポロンの真菌胞子を繰り返し吸入することによって発熱、せき、喀痰などの症状が発症します」(山口県済生会下関総合病院・呼吸器科長 小畑秀登)

出典:社会福祉法人恩賜財団済生会 「過敏性肺炎」

「夏型過敏性肺炎」は夏風邪と間違われやすく、重篤化するまで医師の診察を受けない人も少なくありません。この時期に咳が長引く場合は注意しましょう。

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部 「梅雨の時期はカビ対策を万全に。実は怖いカビの健康被害」

ダニによるアレルギー症状

そのアレルギー症状、もしかしたらダニのせいかも

高温多湿な梅雨は、寝具やソファーに潜むダニが活性化します。繁殖したダニによって引き起こされるアレルギー症状も、梅雨の湿度がもたらす健康被害の一つです。

アレルギーの原因でよく知られるのはハウスダストですが、なかでもダニが主要なアレルゲンであることがわかっています。アトピー性皮膚炎や気管支喘息、結膜炎、鼻炎、じんましんなどのアレルギー症状の多くは、ダニの糞や死骸によるものだとされています。

出典:同友会グループ 「梅雨に向けてダニ対策を!」

熱中症

意外に思う人もいるかもしれませんが、梅雨の健康被害には熱中症も挙げられます。気温が高くなると、人の体は汗をかいて体温調節を行います。水分(汗)が蒸発するときに周囲の熱をうばう「気化熱」の原理で体温が下がる仕組みです。

しかし、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、気化熱による熱の放散が少なくなってしまいます。体内の熱を外に逃がすことができなくなるため、熱がこもりやすくなり、熱中症が引き起こされやすくなってしまうのです。

出典:一般財団法人日本気象協会(熱中症ゼロへ) 「湿度が高い梅雨の時期、熱中症の注意点は?」

食中毒

梅雨の季節から夏にかけては、食中毒も増加するので注意が必要です。食中毒は、ノロウイルスなどのウイルス性、サルモネラ菌などの細菌性、ふぐ毒などの自然毒によるものに分かれます。梅雨以降で特に多くなるのは、高温多湿を好む細菌が引き起こす食中毒です。

代表的なのは、カンピロバクター、ブドウ球菌、ウェルシュ菌の3種類。カンピロバクターは過熱が不十分な鶏肉など、ブドウ球菌は弁当やおにぎり、ウェルシュ菌はカレーなどタンパク質が豊富な料理で増殖します。

出典:全国健康保険協会 「梅雨の時期は食中毒に要注意!!」

梅雨の季節の湿気対策

梅雨の蒸し暑さは、生活環境から健康まで広く影響を及ぼします。少しでも快適に過ごすためには、湿気対策が欠かせません。

換気をする

湿気対策としてまず挙げられるのは、除湿の基本である換気です。雨の日が多い梅雨の季節は、窓を閉めっぱなしにしがちになります。換気の回数が少ないと、家の中に湿気がこもりやすくなるので注意が必要です。

天気の良い日や湿度の低い日には、積極的に窓を開けて換気を行いましょう。より高い効果を狙いたいなら、同時に換気扇を回すのもおすすめです。

エアコンで除湿

換気をしても家の中の湿気が取り切れない場合には、エアコンでの除湿が最も手軽な方法です。エアコンの除湿機能や冷房機能では、吸い込んだ部屋の空気を熱交換器で冷やします。この際、結露した空気中の水分はドレーンホースから排出されるため、部屋の湿度が下がります。

温度・湿度ともに下げたい日は冷房、温度は下げたくないが湿度は下げたいという日は除湿(ドライ)機能というように、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。

除湿機をかける

「エアコンがない部屋の湿度が気になる」「より効果の高い湿気対策を行いたい」という場合には、除湿機の使用もおすすめ。

浴室の脱衣所や洗面所、湿気がこもりやすい物置、部屋干しした洗濯物の近くなど、さまざまな場面で活躍します。また、エアコンとの併用でさらに除湿効果が上がります。梅雨の季節だけでなく、冬に窓の近くに置けば結露対策にも効果的です。

梅雨の前にしっかり掃除を

梅雨に繁殖しやすいカビやダニは、部屋の汚れやホコリを好むことでも知られています。梅雨が到来する前にしっかり掃除をすることで、この時期に起きやすい健康被害を予防しましょう。

浴室

カビの温床となりやすい浴室は壁もしっかり掃除

梅雨以外の季節でも湿気が多く、カビの温床となりやすいのが浴室です。発生してしまったカビは専用の薬剤で丁寧に取り除き、燻煙材などで予防を行います。

普段掃除をしない天井や窓枠、壁や換気扇なども、ホコリがたまりやすく、カビやすい場所です。梅雨前にはこうした場所も見逃さず、しっかりときれいにしておきましょう。

窓・網戸

窓も網戸なども、梅雨が来る前に掃除しておきたい場所です。春先に飛ぶ黄砂や花粉汚れなどが窓や網戸に残っていると、カビが生えやすくなります。梅雨から夏は窓を開けることが多くなり、アレルゲンやカビが風に乗って室内に入ってしまうこともあるので注意しましょう。

加えて、湿度が高くなるこの時期は汚れが浮きやすく、ホコリも舞いにくいので、掃除しやすくなるのもポイントです。

リビング・部屋

過ごす時間が長いリビングや部屋も、梅雨前にはしっかりと掃除しておきましょう。ホコリがたまりやすい家具の裏側は、カビやダニが繁殖しやすい場所。また、フローリングやカーペット、ソファーなども、目に見えないカビの胞子やダニの糞・死骸がたまりがちなので、こまめな掃除が大切です。

エアコンも、梅雨から夏にかけて稼働する日が多くなります。このタイミングでお手入れを済ませておくのがおすすめです。

まとめ

梅雨の湿気を放置していると、カビやダニの発生を助長し、時に健康を害することがあるので注意が必要です。

エアコンや除湿器を使った湿度対策を行い、こまめな掃除で住居を清潔に保つことで、梅雨特有の不快感や健康被害のリスクがおさえられます。今回紹介した対策を実践して、快適な夏を迎えてくださいね。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア