在宅勤務の有無で異なる住宅購入の状況。「あり」層は約3割が【フラット35】を利用 |ARUHI「住宅購入に関する調査2022」

コロナ禍の暮らしを経て、在宅勤務という働き方が定着しつつあります。在宅勤務をしている人としていない人では、住宅購入の理由や購入時に重視することに違いがあるのでしょうか。ARUHIマガジンによる「住宅購入に関する調査2022」の結果から紹介します。

在宅勤務をしている人は、より情報収集に積極的?

【在宅勤務状況別】経済面に関する住宅購入理由

在宅勤務状況別経済面に関する住宅購入理由
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者に経済面の観点から住宅購入の理由を聞いたところ、在宅勤務の有無に関わらず「家賃がもったいない」の割合が半数近くを占めています。一方、在宅勤務ありの人は「住宅ローン金利が低い」ことを理由としている人が20.3%と、在宅勤務なしの人の9.9%に対して10ポイント以上高い結果に。住宅ローンの金利動向に目を配っている人が多いことが分かります。

【在宅勤務状況別】金融機関を選んだ理由(住宅購入者)

在宅勤務状況別金融機関を選んだ理由
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入者が住宅ローンを契約した金融機関を選んだ理由について在宅勤務状況別に見ても、在宅勤務ありの人は「一番金利が低かったから」が最も多く35.8%、「紹介を受けたから」が20.8%、「メインバンクであるから」「最初に審査が通ったから」がともに17.0%でした。それに対し、在宅勤務なしの人は「紹介を受けたから」が最多で27.6%、「一番金利が低かったから」は16.2%にとどまる結果に。在宅勤務ありの人は住宅ローン金利をよく比較し、自分にとって有利な条件の金融機関を調べて選ぶ傾向があるようです。

【在宅勤務状況別】住宅ローン金利タイプ(住宅購入者)

在宅勤務状況別住宅ローン金利タイプ
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

それでは、在宅勤務の有無により、選ぶ金利タイプは変わるのでしょうか。在宅勤務ありの住宅購入者が選んでいる住宅ローンの金利タイプは「変動金利タイプ」が62.5%(在宅勤務なしの人は58.5%)、「全期間固定金利タイプ(【フラット35】)」が29.1%(同 19.1%)、「全期間固定金利タイプ(民間金融機関)」が3.2%(同 12.0%)、「当初固定金利タイプ」が7.6%(同10.4%)でした。在宅勤務ありの人はなしの人と比べ、金利が低く設定されている変動金利タイプを選んでおり、完済時まで金利が一定の全期間固定金利タイプ(【フラット35】)に関しても、在宅勤務なしの人と比べて10ポイント高くなっています。

【在宅勤務状況別】住宅購入時の金利(住宅購入者)

在宅勤務状況別住宅購入時の金利
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

それでは、在宅勤務ありの人は実際にどのくらいの金利で住宅ローンの借り入れをしているのでしょうか。住宅購入者を対象に聞いたところ、在宅勤務ありの人は「0%~0.5%未満」が30.2%と、在宅勤務なしの人の21.0%と比較して10ポイント近く高い結果に。在宅勤務ありの人のほうが変動金利タイプを利用している人が多いことから、より低い金利で借り入れをしている人の割合も高い結果となっています。

【在宅勤務状況別】住宅購入金額とローンの平均値と中央値(住宅購入者)

在宅勤務状況別住宅購入金額とローンの平均値と中央値
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

それでは、在宅勤務ありの人となしの人で、住宅購入金額にも違いはあるのでしょうか。在宅勤務ありの住宅購入者の住宅購入金額は平均4,235万8,000円(中央値4,000万円)、うち借入金額は平均2,075万1,000円(中央値1,500万円)でした。住宅ローンの借入期間は平均26.0年(中央値30年)となっています。

一方、在宅勤務なしの住宅購入者の住宅購入金額は平均3,016万8,000円(中央値3,000万円)、うち借入金額は平均1,666万6,000円(中央値1,350万円)で、住宅ローンの借入期間は平均27.6年(中央値30年)。在宅勤務ありの人のほうが、住宅購入金額の中央値は1,000万円高いものの、住宅ローンの借入金額の中央値はそこまで差はなく、借入期間の中央値はいずれも30年という結果となりました。

在宅勤務ありの人は、住む街の情報もしっかりと集めている?

【在宅勤務状況別】住む街を選ぶ際の情報収集方法

在宅勤務状況別住む街を選ぶ際の情報収集方法
ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

ちなみに、住宅購入者と住宅購入検討者が住む街を選ぶ際の情報収集方法を在宅勤務状況別で見ると、在宅勤務ありの人は「地図で周辺施設・店舗を確認した・確認する」が44.4%(在宅勤務なしの人は28.7%)、「街の口コミや評判などを検索した・検索する」が40.1%(同 29.0%)、「不動産業者などに話を聞いた・聞く」が38.8%(同 27.6%)、「実際にその街に行ってみた・行く」が37.9%(同 36.4%)、「市区町村のホームページを見た・見る」が32.3%(同 18.0%)、「その街に詳しい友人・知人に話を聞いた・聞く」が22.4%(同 18.4%)と、いずれも在宅勤務ありの人のほうがアクションを起こしていることが分かりました。

「特に何もしていない・しない」人は、在宅勤務ありの人が13.8%なのに対し、在宅勤務なしの人は23.9%と10ポイント以上高く、在宅勤務ありの人が街に関する情報収集に積極的であることがうかがえます。

まとめ

今回の調査結果では、在宅勤務をしている人が住宅ローンも街探しも積極的に情報収集をしている傾向が明らかになりました。在宅勤務という働き方を取り入れることにより、満員電車に揺られて通勤するストレスから解放されて業務効率が上がった人や通勤時間がなくなり時間を有効に使えるようになった人は少なくないでしょう。そうした仕事環境の変化で生まれた心身の余裕が、住宅購入時の情報収集につながったのかもしれませんね。

【調査概要】
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2022年2月25日~3月2日
有効回答数:600サンプル
調査手法:クロス・マーケティングモニターへのインターネット定量調査
調査機関:株式会社クロス・マーケティング

(最終更新日:2022.09.01)
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