土地価格の上昇に加えて建築費の高騰もあり、住宅価格が上がり続けています。地価の上昇は住宅価格に大きな影響を与えますが、その上がり方は一様ではありません。エリアによって上昇率が大きく異なっているので、地域選びから始める場合には、その場所に関してピンポイントで調査してから進めるようにしたほうがよさそうです。

地価動向はコロナの影響から脱しつつある

2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2021年には土地価格が下落しましたが、2022年には早くも上昇に転じています。図表1にあるように、国土交通省の「令和4年地価公示」における全国の住宅地の変動率の平均は、2020年の0.8%の上昇から2021年にはマイナス0.4%の下落に転じたものの、2022年には0.5%の上昇に回復しました。商業地は住宅地に比べて上下動の変化が大きいのですが、2022年には住宅地と同様に0.4%の上昇になりました。

都道府県では毎年7月1日時点の標準価格を判定し、国土交通省がそれをまとめて「基準地価」として例年9月中旬~下旬頃に公表、国交省では1月1日時点の正常な価格として「地価公示」の公表を例年3月中旬頃に行っています。両者の調査には半年のズレがあり、同地点での両者の上昇率を比較すると、全国の住宅地では2021年前半の上昇率は0.4%、後半は0.6%となり、1年間で1.0%の上昇という結果になっています。つまり、前半に比べて後半の上昇率が高くなっていて、地価上昇が加速しつつあることがわかります。

公示地価の地価変動率の推移
出典:国土交通省「令和4年地価公示

民間調査では2020年から上昇が始まっている?

「地価公示」や「基準地価」は国土交通省や都道府県による公的な調査であり、膨大な調査地点が対象のため、結果が出るまでに時間がかかります。加えて公的指標として慎重な判断が加わるため、市場の実勢に対しては半年から1年ほど遅れ、上昇や下落幅も控え目になる傾向が強いと言われています。逆に言えば、実勢価格はこの公的指標よりかなり早く、かつ振り幅が大きく変化している可能性が高いわけです。

実際、民間調査のなかには新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた2020年の後半から地価の上昇が始まっているとする結果が少なくありません。そこまでいかなくても、2021年には上昇に転じているとする調査が多くなっています。

2020年7月を底に右肩上がりのトレンド

野村不動産ソリューションズの「野村不動産ソリューションズ実勢調査」の結果もそうです。

これは野村不動産の仲介店舗である「野村の仲介+(PLUS)」の各店舗の営業エリアにおいて調査地点を選択し、通常取引を想定して実勢価格を査定した結果を集約しています。仲介店舗のある比較的土地の流動性の高いエリアが中心なので、公的調査などに比べてよりリアルタイムに、実勢に近い動きを示す傾向が強いと言っていいでしょう。

それによると、図表2にあるように2020年4月調査、7月調査ではコロナ禍で地価が下落しましたが、10月調査では早くも回復。2022年4月調査までジワジワとした上昇が続いています。エリアや時期によって多少のバラツキはありますが、基本的に2020年7月を底に、右肩上がりのトレンドにあることがわかります。

住宅地価格変動率の地域平均推移
出典:野村不動産ソリューションズ「2022年4月1日時点首都圏「住宅地価格」の動向

首都圏でも都県によって上昇率が違っている

ただ、この地価上昇傾向、全国一律の動きではありません。エリアによって動きは大きく異なっているのです。

全国レベルで見れば、2022年の「地価公示」でも住宅地の変動率は全国平均では0.5%の上昇ですが、三大都市圏でも東京圏は0.6%、大阪圏は0.1%、名古屋圏は1.0%と上昇率が異なっています。三大都市圏以外の地方圏平均は0.5%の上昇ですが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市は5.8%と大きくアップ。対して、地方四市以外の地方圏はマイナス0.1%の下落でした。

全国レベルの違いだけではありません。東京圏でもエリアによって住宅地地価(土地価格)の変動率は大きく異なっています。野村不動産ソリューションズの2022年4月調査では、埼玉県は2.6%の上昇に対して、千葉県は2.1%、東京都区部、東京都下、神奈川県は1%台の上昇にとどまっています。

年率20%以上の上昇率になっている調査地点も

この変動率を年率換算でみると、埼玉県は12.0%の上昇になります。埼玉県以外は一桁台の上昇率で、最も上昇率の低い神奈川県は3.9%、千葉県も4.9%の上昇にとどまっているのです。

しかし、埼玉県では市区によって上昇率が大きく異なっています。野村不動産ソリューションズの調査では、埼玉県には13の調査地点が設定されていますが、調査地点ごとの年間変動率をみると、20%台の上昇率のところもあれば、0.0%と横ばいのエリアもあります。

上昇率の高いエリアほど将来の資産価値の高まりが期待できるため、これから住まい選びを考えている人は、地価上昇率の高いエリアに注目しておく必要があります。埼玉県の調査地点で年間上昇率が高いエリアは図表3にある通りです。

埼玉県 住宅地地価の年間上昇率が高い地点
出典:野村不動産ソリューションズ「2022年4月1日時点首都圏「住宅地価格」の動向

浦和の住宅街に比べると割安感があるエリア

年間変動率が22.4%と最も高いさいたま市浦和区上木崎4丁目は、浦和区でありながら、最寄り駅はJR京浜東北線の与野駅。周辺には与野と名のつく店舗なども多いエリアです。与野駅の西口は駅前ロータリーをはじめ周辺の再開発が進んでおり、大規模商業施設や行政機関、金融機関などの生活利便施設がそろっています。

東口の開発はまだまだこれからですが、駅前エリアでは大規模マンションや商業施設の開発が期待されます。駅前エリアを抜けて少し東に進むと産業道路が南北に走り、そこを過ぎると計画的に開発されたであろう戸建ての街並みが続き、閑静な住宅街が形成されています。

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JR京浜東北線浦和駅周辺の住宅地の坪単価(3.3平方メートル当たり)は180万円からそれ以上するのに対して、上木崎4丁目は120万円前後で割安感があります。そのぶん、将来の値上がりが期待できるわけで、今後、マイホームのエリア選びにおいて注目度が高まるのではないでしょうか。

同じようなことは、年間変動率の3位以下の浦和区や南区の調査地点にもあてはまります。

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浦和駅
武蔵浦和駅
南浦和駅

子育て世帯を中心に人口増加が続くエリア

年間変動率2位の戸田市本町5丁目は、JR埼京線戸田公園駅から少し南の、1964年の東京オリンピックの会場にもなった戸田漕艇場の近くに位置します。水と緑に囲まれた、都心から程近いにも関わらず自然に恵まれた場所と言っていいでしょう。

JR埼京線の快速停車駅で、池袋駅までは直通で約14分、新宿駅まで約20分、渋谷駅まで約26分など、副都心方面へのアクセスに優れています。また、途中で地下鉄やJRに乗り継げば、都心のさまざまな場所に1時間以内で通勤できます。駅ビルには商業施設が入り、周辺にはドラッグストアや飲食店などが充実しています。

戸田市は子育て世帯への支援先に力を入れており、子育て世帯が増えています。2022年5月1日現在の人口は14万1363人で、10年前に比べると1割ほど人口が増加。駅前を中心にマンションの建設も増えており、今後も着実に人口増加が見込まれ、それに応じて地価や住宅価格の上昇が期待されます。

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このように、周辺に比べて地価や住宅価格上昇率が高いのには理由があります。マイホーム購入にあたって場所選びから始めようと考えている人は、そうした点をしっかりと見極めて、ピンポイントでエリア選びを行うようにしたいところです。

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