地方公務員の年収とボーナスはいくら? 年代別・学歴別・職種別給与を調査!

地方公務員と聞いても、どのような職業なのか、どこまでの人を指すのかなど具体的なイメージは湧きにくいかもしれません。そこでこの記事では、地方公務員とはどのような職業の人で、どれくらいの給与やボーナスをもらっているのかを調べました。地方公務員の年代別、学歴別、職種別に見た平均給与についても解説していきます。

地方公務員とは?

公務員には、国の機関などで業務にあたる国家公務員のほか、全国の自治体に勤める地方公務員がいます。地方公務員は全国で約280万人(令和3年4月1日時点)おり、公務員全体の約8割を占めています。つまり、公務員と言われる人の大半が地方公務員なのです。

地方公務員の代表例は、県庁や市役所で働く職員です。そのほか、警察官や消防官、公立学校の先生なども地方公務員に含まれます。ただし、教育部門・警察部門・消防部門の地方公務員は国の法令などによって人員配置基準等が定められており、地方公務員の中でも特殊な公務員といえるでしょう。部門別に見ると、上記、教育部門、警察部門、消防部門に福祉関係を加えた職員数が地方公務員全体の約2/3(67.7%)を占めています。

出典:総務省「地方公務員数の状況」

地方公務員の平均年収とボーナス事情

地方公務員と一口に言っても種類は幅広く、職種や学歴、年齢によって給与や手当の額に差があります。

総務省のデータによると、全国の地方公共団体における一般行政職の平均給与月額は31万6,993円、小・中学校(幼稚園)教育職は35万3,398円、警察職が32万3,548円であり、職種によって異なっていることがわかります。また、同じ一般行政職でも都道府県の公務員だと32万4,055円であるのに対し、市では31万6,209円となっており、所属する公共団体の種類や規模によっても給与事情に差があるのです。

地方公務員でも、期末・勤勉手当という民間企業におけるボーナスにあたる手当が支給されます。一般的で1年あたり給与4ヶ月分強の手当が出るといわれ、地方公務員の場合、国家公務員の手当額に準じた形で決定される仕組みです。なお、令和3年度の国家公務員手当は、国会で4.30ヶ月分と定められています。

具体的な年間の期末・勤勉手当額を見ると、一般行政職で163万926円、小・中学校(幼稚園)教育職で178万3,762円、警察職で169万2,022円などとなっています。こうした各種手当を含む地方公務員の平均年収はおおむね600万円台後半であり、会社員の平均年収とされる400万円台前半と比べて大幅に高いのが実態です。

出典:総務省「令和2年 地方公務員給与の実態」

【年代別】地方公務員の平均給与はいくら?

平均年収でみると会社員より大幅に高いと考えられる地方公務員の給与ですが、年代別の平均給与はどれくらいなのでしょうか。こちらも総務省のデータより、年代別の平均給与月額を紹介していきます。

全地方公共団体 一般行政職
● 24〜27歳:26万7,525円
● 32〜35歳:34万3,062円
● 40〜43歳:42万9,079円
● 48〜51歳:47万8,999円
● 56〜59歳:50万4,971円
● 60〜63歳:31万880円

全地方公共団体 技能労務職
● 24〜27歳:23万4,414円
● 32〜35歳:28万3,844円
● 40〜43歳:35万6,197円
● 48〜51歳:40万3,420円
● 56〜59歳:40万4,346円
● 60〜63歳:27万9,820円

いずれの職種においても、59歳までは年齢(経験年数)が高くなるにつれて、給与も高くなっており、年功序列の賃金体系であることが確認できます。今後定年が引き上げられる予定となっていますが、現状は60歳が定年となっているため、60歳以上では平均給与が下がる傾向にあります。

【学歴別】地方公務員の平均給与はいくら?

学歴も、地方公務員の平均給与を決定づける要素の一つ。民間企業と同様、中学卒<高校卒<大学卒の順に平均給与月額が高くなっています。全地方公共団体の一般行政職における学歴別の平均給与月額を確認すると次のとおりです。

24~27歳における学歴別平均給与月額
● 大学卒:27万916円
● 短大卒:25万1,599円
● 高校卒:25万3,486円
● 中学卒:25万3,800円

24~27歳の時点では、経験年数の差や母数などが影響し、短大卒や高校卒よりも中学卒のほうが、平均給与が高くなっています。しかし、年齢が上がるにつれて、平均給与は中学卒<高校卒<大学卒の順に高くなっていきます。

56〜59歳における学歴別平均給与月額
● 大学卒:52万6,438円
● 短大卒:47万5,887円
● 高校卒:48万2,992円
● 中学卒:45万333円

給与月額の平均値が最も高い56〜59歳の時点で比較すると、大学卒は高校卒や中学卒に比べて5~7万円ほど給与月額が高くなっていることがわかります。このように地方公務員においても、最終学歴によって給与水準に差があるのです。

【職種別】地方公務員の平均給与はいくら?

繰り返しになりますが、地方公務員と一口に言っても職種は多岐に渡ります。都道府県庁や市町村役場の窓口などで対応してくれる一般行政職のイメージが強いかもしれませんが、より専門性の高い技能労務職として職務にあたる公務員もいます。また、公立の高校・小中学校・幼稚園の先生や、警察・消防といった地域の安全を守る職種の人たち、公立病院に勤める医師・看護師なども地方公務員の一種です。

同じ地方公務員であってもこれだけ働き方が違えば、職種によって給与水準が異なるのも当然と言えます。続いては、こうした職種別に見た地方公務員の給料月額を紹介していきましょう。

主な職種別の給料月額
● 一般行政職:31万6,993円
● 医師・歯科医師職:49万6,013円
● 福祉職:28万4,042円
● 消防職:30万514円
● 技能労務職:31万3,801円
● 高等(特別支援・専修・各種)学校教育職:37万2,405円
● 小・中学校(幼稚園)教育職:35万3,398円
● 警察職:32万3,548円

一般的に給与水準が高いとされる医師・歯科医師職は、地方公務員であっても
給与水準が高い点は特徴的です。

主な職種別のボーナス額(期末・勤勉手当額)
● 一般行政職:163万926円
● 医師・歯科医師職:275万2,111円
● 福祉職:141万9,449円
● 消防職:156万3,678円
● 技能労務職:160万9,841円
● 高等(特別支援・専修・各種)学校教育職:186万9,293円
● 小・中学校(幼稚園)教育職:178万3,762円
● 警察職:169万2,022円

職種別のボーナスについても見てみると、先ほど紹介した給与水準におおむね比例していることがわかります。

まとめ

地方公務員は全国に約280万人おり、公務員全体の約8割を占めています。県庁や市役所で働く一般職員だけでなく、公立学校の先生や地域の警察官・消防官、公立病院の医師・看護師なども地方公務員に含まれます。それだけに、地方公務員の平均年収やボーナスは学歴や年齢だけでなく、職種によっても大きな幅があります。

地方公務員全体でならして考えた場合、各種手当を含む平均年収は600万円台後半。会社員の平均年収である400万円台前半に比べ、大幅に高いことがわかります。また、職種によってはさらに給与水準が高いケースもあるでしょう。

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