家計再生コンサルタントとして多くの家庭の家計を再生してきた横山光昭さんに、コロナ禍で影響を受けた家計再生をお願いしました。家計管理の考え方、具体的なメソッドをレクチャーしていただく連載です。
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有事に備えてキャッシュの割合を多めに

前回の「投資のキーワードは『長期積立・分散・低コスト』投資目的に合った適切なスタイルで取り組もう」では、実際に投資を始める準備と、どのようなことに気をつけて取り組めばいいのかを説明しました。投資の目的を明確にして、あくまで長期視点でより安全なスタイルを実践していくことを推奨しています。

私たちは、新型コロナウイルス感染症拡大という大きな出来事を経験しました。長い人生においては、良いときもあれば悪いときもあるものです。こうした荒波を越えつつ、将来に備えていかなくてはなりません。

今回のコロナ禍を経験して感じた人も多いかもしれませんが、収入が減ってしまったり、先の見通しが不透明になったりしたときには、現金預金があることが安心につながります。

筆者は、一般的に少なくとも毎月の生活費の7.5か月分は預貯金で保有しておくことを勧めていますが、こうした有事に備える場合には生活費の1年分のキャッシュがあると安心です。

貯蓄をどのような形で保有していくかは、自分が安心感の持てる割合にしていくといいでしょう。

働き方を見直す

収入を増やすために頑張るビジネスマンイメージ
家計を改善させるには、出るお金を減らすだけでなく入るお金を増やすという方法も

私は家計再生コンサルタントとして、多くの方の家計を改善するアドバイスをしてきました。

支出の無駄を省くアイデアはたくさんありますが、家計の節約には限界があります。無理な節約は続かないので、家計を健全化する根本的な解決にはつながりにくいのです。

どうしても貯蓄がうまくできない場合には、出ていくお金だけでなく、入るお金=収入(働き方)を見直すべきかもしれません。

コロナ禍でリモートワークが普及したり、自粛が続いて外食や外で飲酒する機会が減ったりして、生活習慣も変化してきています。
また、副業を認める企業も多くなっていますから、私たちも働き方を見直す時期が来ているのかもしれません。

家計を改善させるには、出るお金を減らすだけでなく入るお金を増やすという方法もありますので、時代に合わせて考えていきましょう。

コロナ相場を過信しない

日経平均株価の動きを見てみると、新型コロナウイルス感染が拡大し始めた2020年3月に大きく下落しているのですが、その後は持ち直しています。2021年2月には一時30,000円を突破するなど、社会の混乱をよそに株価は悪い動きをしてきませんでした。

この時期に株で儲けたという人もいたようですが、こうした動きを鵜呑みにしてはいけません。

コロナ禍で景気が悪化することへの対策として、世界的な「金融緩和」が行われました。
つまり、世界各国で、市場に大量に資金を供給することで景気を良くしよう、という政策が実行されたのです。日本でも同様で、そのおかげで株価も上昇を続けてきたわけです。

短期的な株の売買で儲けるには、こうした経済の動きを読んで頻繁に取引を繰り返していくわけですが、素人が付け焼き刃で戦える戦場ではありません。

表面的な情報に踊らされないように十分気をつけましょう。

投資の目的をいつでも忘れない

投資に慣れてくると、いろんなものに興味が湧いてきます。

今まで気にもしていなかった情報に目が留まることもあるでしょう。“儲けよう”という気持ちが強くなると、「必ず値上がりする株がある」「今後、株価は上がっていくらしい」など、根拠の乏しい情報に踊らされてしまう危険性もあります。

しかし、火遊びは大ケガの元です。最初に確認した投資目的に合ったスタイルを守りましょう。
投資は、あくまで長期視点(10年、20年、30年など)で取り組んでいくべきです。

老後資金を作るためにお得なiDeCo

【複利】積み立て投資 つみたてNISA
老後資金を作るために投資する場合は、iDeCoを活用してみてもよし

老後資金を作るためにオススメの制度が、「iDeCo(イデコ)」という愛称で呼ばれる「個人型確定拠出年金」です。

日本の年金制度は、建物にたとえて説明できます。

1階部分にあたる「国民年金」は20歳以上の全国民が加入するもので、2階部分は民間企業の社員や公務員が加入する「厚生年金」です。この2つは、国が運営する「公的年金」です。

さらに、3階部分には一部の企業で導入されている「企業年金」、公務員に対する「退職等年金給付」があります。

これらの年金に加えて、2001年から導入されたのが「確定拠出年金」です。

企業や個人が自分で出した(拠出した)掛け金を自分で運用して老後のための資金を作る仕組みで、個人で行うのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。

iDeCoは会社員にとっては3階部分(企業年金がある場合は4階)、公務員は4階部分にあたります。自営業者やフリーランスの場合は、他に加入している年金によって2~4階部分のいずれかに当たります。

iDeCoでは、毎月一定の掛け金を積み立て、定期預金や保険、投資信託などの運用商品から好きなものに投資して運用します。通常、投資で得た利益には税金がかかりますが、iDeCoで運用した場合には非課税になります。また、掛け金は全額、所得控除になります。

受け取るときにも税制優遇がありますが、老後年金を目的にしているので60歳までは引き出すことができません。さらに、10年以上加入しているというのも条件になります。60歳になっても加入期間が10年未満であれば、最高65歳まで引き出しが延長されます。なお、2022年4月には引き出し可能年齢が、5月以降は加入年齢が5年間延長されます。

老後資金を作るために投資する場合は、iDeCoを活用してみてもいいでしょう。

子供と一緒に「お金の勉強」をしていこう

2022年4月から学習指導要綱が改訂され、高校でも金融商品による資産形成を学ぶようになります。

同じく4月からは成人年齢が18歳となって、高校生や大学生が自分の判断だけでローン契約や賃貸契約ができるようになるため、若いうちからの実践的なお金に関する教育の必要性が高まっています。

今回改訂される学習指導要領では、高等学校の家庭科や公民科で「資産形成」「資産運用」などの視点が織り込まれ、「リスク」や「リターン」といった用語を使いながら、金融や経済の仕組みを学んでいきます。

前回の「投資のキーワードは『長期積立・分散・低コスト』投資目的に合った適切なスタイルで取り組もう」では、長期的視点でコツコツと積み立てる投資スタイルを提唱しましたが、長い時間で投資の効果をよりアップさせていくこの投資法では、「時間が味方」となります。

若い頃から投資に関する知識を学んでいれば、自分の人生設計とともに効率的に資産形成に取り組んでいけます。

ここでは小学生や中学生に向けた、資産形成の学びについての提案をしたいと思います。

大人でも、投資をすることで社会の動きに敏感になったり、経済ニュースに関心が湧くようになったりしますよね。
これは子供も同じで、いくら机に向かって勉強をしても実感がなければ金融の仕組みなどには興味が起きにくいと思います。

そこで、子供のお小遣いやお年玉から、ほんのわずか(数100円程度でOK)でもいいので、実際に投資してみて、その値動きをチェックしてみてはどうでしょうか。

投資するのは投資信託がいいでしょう。投資信託は100円から始められます。

大人向けと同じで、インデックスファンドの株式で全世界、米国、先進国、新興国、日本などの中からいくつかの地域区分で組み合わせてみましょう。チェックはあまりに頻繁だと、大きな値動きもなく負担も多いので、短くとも1か月ごととか、あるいは半年ごとなどスパンを決めて確認してみましょう。

子供も、自分のお金なので真剣に取り組むはずです。

「どうして値上がりしたのか?値下がりしたのか?」と一緒に考えていくことで、子供と一緒に金融や経済のことを学んでいけるでしょう。

また、銀行や郵便局に預けていたお金と、投資したお金がどのような差が出てきたのかを比較してみるのもいいかもしれません。

こうした“生きた”学びを通して、子供たちにお金の大切さや怖さ、将来に対して備える重要さを知ってもらえると思います。

まとめ

お金に関する知識や常識は、時代とともにアップデートさせていく必要があります。新しい制度もできているので、最新の情報を確認していきましょう。時代の流れとしては、国や行政に頼るのではなく、自分たちで将来の資産形成をしていこうということになっているので、子供たちと一緒に、お金について意識を高めていきましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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