プレハブは住宅の増築にメリットあり? コストを抑えて家を広くする方法

子どもが大きくなったり家族構成が変化したりすると、家が手狭に感じてしまうことがあります。建て替えを考える人もいるかもしれませんが、建て替え費用は高額で、何より愛着のある自宅を壊すのに抵抗がある人もいるでしょう。

そういった人には、今の自宅スペースを広げる増築(建て増し)がおすすめです。さらに、プレハブで増築すれば費用もかなり抑えられます。今回はプレハブの増築についてメリットや注意点を解説します。

増築とは? 改築とどう違うのか

増築と似た言葉に「改築」があります。どちらも今の住まいの形を変化させるということに変わりありませんが、変化のさせ方に大きな違いがあります。

増築とは、今ある建物を壊すことなく階数を増やしたり、敷地内に新たな建物を建てたりして建物の延床面積を増やすことです。2階建ての建物を3階建てにする場合も増築になり、敷地内に小屋を建てる場合も増築に該当します。

床面積を広げることを増築というのに対し、床面積を変えずに間取りの変更をするなど構造部分にも工事範囲が及ぶものが改築です。二世帯住宅にリフォームしたり、中古物件を購入したりした場合に改築することが多く見られます。ちなみに、ケースとしては稀ですが、床面積を減少させるものを減築とよびます。

増築のメリット

増築にはさまざまなメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

居住スペースが増える

増築による一番のメリットは、居住スペースが広くなることです。先ほど説明したように、延床面積が増えるのが増築なので、居住スペースが増えて広く使うことができます。増えた部分は仕事部屋や趣味の部屋にするなど、幅広い使い方が可能です。収納を増やして片づけやすくし、今ある部屋をスッキリとさせるのもいいかもしれません。

建て替えに比べて費用が安い

建て替えは解体工事もあり、どうしても費用がかさむ

建て替えた場合に比べると、増築のほうが工事費は安くなるのが一般的です。建て替えることになると、家1軒を建築する費用がかかるのはもちろんのこと、今ある住宅の解体費用もかかります。増築では、老朽化した部分を撤去する場合であっても、基礎や梁・柱などは残すことができるので、建て替えに比べると費用がかかりません。

引っ越しの必要がない

建て替えをすると、工事中は自宅に住めないため、一時的に仮住まいで暮らす必要があります。賃貸マンションを借りるにしても、一軒家の家財道具一式や荷物は多いため、それなりに広い物件を借りなければなりません。

しかし、増築であれば引っ越す必要のないケースがほとんどです。部屋を増やす間は工事の音がするものの、工事に関係のない部屋はいつもどおり使うことができます。生活に大きな支障をきたさないのも増築の大きなメリットです。

プレハブを活用して増築

増築は建て替えと比べると工事費が安く済みますが、増築であってもそれなりの費用がかかります。できるだけ費用を抑えるための方法の一つに、プレハブで増築するという方法があります。

プレハブとは

プレハブは、プレファブリケーション(prefabrication)を略した言葉です。材質の種類だと思われることも多いですが、正しくは建築工法の一つとしてプレハブがあります。どういった工法かというと、あらかじめ部材を工場で作っておき、現場でそれを組み立てるものです。設置に時間がかからず、費用も比較的安くできるのが大きな特徴になっています。

種類が豊富

プレハブ工法には大きく分けて、鉄骨系、木質系、コンクリート系、ユニット系の4種類の工法があります。違いは主要構造部に使われる素材です。

ユニット系プレハブとは、工場で箱型ユニットを組み立てて現場で設置する方法です。工場で生産するので現場の職人の腕に左右されない安定した品質が魅力で、ハウスメーカーでも取り入れられています。住宅以外にも、物置や仮設事務所などいろいろな用途に使えます。

プレハブ増築のいくつかのパターン

プレハブで増築するとどんなスペースが作れるのでしょうか。プレハブ増築の例をご紹介します。

物置

子どもの公園遊び用のおもちゃ、ガーデニング用品などの収納場所がなく、玄関スペースを圧迫している人も多いのではないでしょうか。物置を庭の一角に設置すると、家の中に収まらないものを保管できて便利です。大きな物置を設置すれば、冬用タイヤやキャンプ用品、一輪車など置き場に困ってしまう物もスッキリと収納できます。

サンルーム

サンルームとは、日光を採り入れるために大きな開口部を設け、屋根などをガラス張りにしした部屋のことです。サンルームがあることで、天候に左右されることなく洗濯物を干せて、ペットや子どもの遊び場としても重宝します。一般的には、庭の一部を使ってリビングを拡大する形で増築します。

ガレージ

プレハブでガレージを増築

車やバイクを駐車するガレージもプレハブで建てることができます。さらに、ガレージの上に部屋を設けて2階部分を居住スペースにすることも可能です。増築するには相応の広さの土地がなければ実現しませんが、今ある駐車場をガレージにして2階部分に部屋を設ければデッドスペースの活用となり、土地が狭くても居住スペースを広げることができます。

離れ

伝統的な日本家屋にもあり、日本人に馴染みの深い「離れ」。現在は、リモートワークなどで仕事部屋としての需要も高くなっています。単純に建物が増えるので、部屋不足の解消になるのはもちろんのこと、母屋から離れた場所にあるので集中したいときにこもる部屋としても適しています。

ただし、離れの定義は「住宅の機能の一部が備わっておらず、その建物のみでは住宅としては機能しないもの」とされています。自治体によって判断が異なりますが、居室に加えてキッチン・トイレ・浴室があると一つの戸建ての住宅とみなされることが多いため注意が必要です。

建築基準法には「一敷地一建物の原則」の原則があるため、離れが一つの戸建て住宅とみなされると建築が認められません。

プレハブで増築するときの注意点

プレハブで増築するときにはいくつかの注意点があります。後悔することのないよう事前に確認しておきましょう。

建築確認が必要になる場合がある

敷地内なら自由に増築していいのかというと、そうではありません。増築するときには法規制をクリアして建てる必要があり、物置やガレージ、離れも例外ではないのです。

建築物として認められれば建築確認が必要になります。都市計画区域内では10平方メートル超の建築物は建築確認が必要です。10平方メートル以下の建築物は増築であれば建築確認は不要ですが、防火地域・準防火地域の場合は10平方メートル以下でも建築確認が必要なので注意しましょう。

建ぺい率や容積率の制限を受ける

建ぺい率とは敷地面積に対する建物面積の割合のことです。建物面積は建物を真上から見たときの面積と考えると想像しやすいでしょう。そして、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合をいいます。

新築するときは当然建ぺい率や容積率を考慮して建築しますが、増築分もこれらの制限を受けるので注意が必要です。あとから物置を増築したら建ぺい率や容積率をオーバーしてしまった…ということにならないようにしましょう。

固定資産税が上がる

コンクリートブロックに乗せただけなら固定資産税がかからない

増築は延床面積が増えるので、固定資産税も増えることになります。増築したのが母家とひと続きではない物置や離れの場合であっても、建物とみなされれば固定資産税の課税対象になります。

「3方向以上が壁などで囲われていて屋根があること」「土地に固定されていること」「居住や作業、貯蔵などに使用できること」の3つの条件すベてが満たされていると建物と認められます。

つまり、プレハブ物置であっても土地に固定されているものなら固定資産税がかかり、コンクリートブロックに乗せただけなら固定資産税がかからないのです。固定資産税が増える増築、増えない増築があることを覚えておきましょう。

まとめ

新築してしばらく経つと、「部屋が足りなかった」「趣味の部屋が欲しい」などいろいろと家族の希望が出てくることがあるでしょう。敷地面積に余裕があれば、増築することでクオリティオブライフ(QOL)を向上させることができます。増築には費用を抑えることができるプレバブ工法を検討してみてはいかがでしょうか。

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