戸建て住宅に長年住み続けていると、不具合や傷みが気になってきます。気になる箇所を個別に修繕したり、リフォームしたりするよりも、いっそのこと建て替えを検討したいという人もいるでしょう。この記事では、戸建て住宅の建て替え費用やその内訳、相場や注意点について解説します。

建て替えにかかる費用の内訳

持ち家の戸建て住宅の場合、土地はすでに取得済みのため、土地の費用はかかりません。そこで、上物の建て替えにかかる費用の内訳を見ていくことにします。実際の建て替えにかかる手順や費用は、それぞれの住宅の条件によって異なるため、おおよその流れに沿って解説します。

引っ越し・仮住まい費用

建て替えには引っ越しが2回必要になる

建て替えの場合、今住んでいる家を退去して仮住まいに移り、そこから新築住宅に移ることになります。このため、引っ越し費用は2回分必要です。引っ越し代は、春や秋、年度末などの繁忙期になると、通常期の2倍近くになる場合があります。業者によっても料金は異なるため、数社から見積もりを取るとよいでしょう。

さらに、仮住まい(賃貸住宅など)の家賃も建築期間分かかります。荷物が多くて仮住まいに入りきらない場合は、トランクルームなどを利用することになりますが、この利用料も建築期間分必要です。

解体費用

古家(既存住宅)の解体費用は、木造、鉄骨、鉄筋コンクリートなど建物の構造によって、また周辺環境や業者などによっても金額に差が生じます。建築会社とは別に解体業者に発注することもできますが、建築会社に一括して依頼するケースが一般的です。

登記費用

建て替えを行う際には、既存住宅の解体をしたときに申請する「建物滅失登記」、新築した住宅がどのような建物で、所有者が誰であるかを確定する「建物表題登記」、不動産の所有権を確定する「所有権保存登記」といった一連の手続きをしなければなりません。これらの手続きには、登録免許税がかかります。また、土地家屋調査士や司法書士に手続きを依頼するのが一般的であるため、その報酬も必要です。

測量費用

家を建てる際は測量も欠かせません。家を設計するための測量は、ブロック塀や既存境界標等を基におおよその土地の状況を測る「現況測量」になります。ただし、既存建物を建てたときの現況測量図がある場合には、省略することもあります。

地盤調査・地盤改良工事費用

建て替えでも地盤調査は必要

これまで家が建っていた場所に建て替える場合であっても、地盤調査が必要です。調査の結果、地盤に問題がなければそのまま建築工事に入れますが、軟弱地盤であることが判明したら、地盤改良工事を行わなければなりません。

地盤改良の費用は工事内容によるものの、数百万円以上かかることもあります。調査をしてみないことには、工事の必要性がわからないので、当初の見積もりには計上されません。予定外の出費が発生する可能性があるので注意してください。

設計費用

戸建て住宅の建て替えはたいてい、ハウスメーカー、工務店、設計事務所のいずれかに依頼することになります。通常、ハウスメーカーや工務店に依頼した場合は、その会社の設計部や提携している設計事務所が設計を請け負うため、設計費用は見積もりに含まれます。

一方、設計事務所に依頼する際は、設計費用のみを事務所に支払い、施工およびその他の費用は施工会社に支払うケースが多くなります。

建築費用

建築費用には、住宅の本体工事や設備工事、外構工事などの作業費と材料費が含まれます。建築費は木造、鉄骨造、RC造など構造によって、また採用する建材などによっても価格が変わります。さらに、二世帯住宅の場合は、設備費などが二世帯分必要になるため費用がさらに高額になります。

地鎮祭、上棟式の費用

工事の安全を祈願する地鎮祭

新築住宅の工事着工前には、神主さんやお坊さんを呼んで安全を祈願する地鎮祭、棟上げのタイミングでは工事安全を祈願し、工事関係者などを慰労する棟上げ式(上棟式)という儀式を行う慣習があります。

不可欠というものではないため、最近では行わない場合もあります。執り行う際は、神主さんやお坊さんへの謝礼やお供え物、ご祝儀などの費用がかかります。

住宅ローン関連費用

住宅ローンを契約するのであれば、事務手数料や保証料、抵当権設定(および抹消)登記費用、印紙税、火災保険料などがかかります。事務手数料には、金融機関へ支払う融資事務手数料と、保証会社に支払う事務手数料があり、金融機関により金額が異なります。これらの費用は融資が実行される物件の引き渡し時に、支払うことになります。

各種税金

各種税金も忘れずに算段しておく必要があります。建て替えでかかる税金には、工事請負契約書に貼付する印紙税、新しい建物を取得した際の不動産取得税、先述した所有権保存登記に課される登録免許税があります。さらに、建て替え以降は固定資産税と都市計画税を、毎年納めなければなりません。

火災保険料

家の建て替え時は、それまで契約していた火災保険を変更するか、一度解約して再加入しなければなりません。建物が変わったなら契約も改めなければならないので、保険会社に連絡をしておきましょう。建て替え期間中の保険は施工会社が加入することになるものの、義務ではありません。あらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。

照明・家具などの費用

新築の家が建ったら、その家に合う照明や家具、エアコン、カーテンなどインテリアや家電をそろえたくなるものです。もちろん、それまで使っていた照明や家具を使うこともできますが、カーテンなどサイズが合わなくなるものもあります。引っ越し当日から必要な家電やカーテンなどは、あらかじめ準備しておきましょう。

建て替えにかかる費用の相場

建て替えにかかる費用は、建物の大きさや条件などによって差が生じます。ここでは、全国的な平均額を紹介します。

国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査報告書」によると、戸建て注文住宅の建て替えの全国平均額は3,055万円です。このうち、自己資金の平均額は1,715万円で、自己資金比率は56.1%となっています。ちなみに、土地購入額を除いた新築注文住宅の全国平均は3,168万円です。

また、建て替え後の延床面積の平均は115.9平方メートルで、坪数に換算すると、およそ35坪になります。平米単価は26.4万円で、坪単価は87.1万円です。

出典:国土交通省 「令和2年度住宅市場動向調査報告書」

建て替えの注意点

家を建て替えたいと思ったら、まずは建て替えが可能な土地かどうかを確認しておく必要があります。既存のまま住み続けることはできても、土地によっては建て替えができない場合があるからです。建て替えを検討する際の注意点を紹介します。

再建築不可物件

接道義務により再建築不可の場合も

今、家が建っている土地が「再建築不可物件」の場合は、家を解体して更地にしてしまうと新たな家を建てることができません。都市計画区域と準都市計画区域内の土地は、建築基準法により「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していないといけない」という接道義務が定められています。このため、旧法令では認められていた建築も、現在では基準を満たさないケースがあるのです。

ただし、再建築不可物件であっても、土地の周囲に公園や水路、遊歩道などがあれば建築が認められることもあります。また、土地に接している道路幅が4メートルに満たなくても、道路と敷地の境界線を後退(セットバック)させ、拡幅によって建て替えが認められるケースもあります。

既存不適格建築物

法令の改正により、現行の法令の下では基準に適合しない建物を「既存不適格建築物」といいます。既存不適格建築物を建て替える際は、現行の法令に従う必要があるため、面積や高さなどが制限されることがあります。現状より延床面積を増やすことは難しくなるため、建て替えの際には注意してください。

リフォームや売却も検討を

今住んでいる家が再建築不可物件や既存不適格建築物であっても、建て替えはできなくてもリフォームは可能です。ただし、建築確認申請が不要な範囲の工事でなければなりません。また、建て替えが可能な土地であっても、予算的に難しい場合もあるでしょう。そのときは、フルリフォームという選択肢があります。

フルリフォームであれば、建て替えより工期が短くて済みますし、住みながら工事を行えれば引っ越しの必要がないので費用も抑えられます。さらに、建て替えやリフォーム以外に、売却して住み替えるという方法もあります。

まとめ

建て替えは、新築住宅の購入に比べると、引っ越し費用が2回分要るなど手間と費用がかかるものの、住み慣れた土地に住み続けられるメリットがあります。ただし、物件によっては建て替えができないケースもあるので、注意が必要です。建て替えを検討する際は、費用の相場や注意点を踏まえて賢い選択をしましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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