家計再生コンサルタントとして多くの家庭の家計を再生してきた横山光昭さんに、コロナ禍で影響を受けた家計再生をお願いしました。家計管理の考え方、具体的なメソッドをレクチャーしていただく連載です。
これまでの連載記事はこちら

ネット証券に口座を開設して投資スタート

前回の「失敗しない初心者の資産形成とは? 「期間」と「金額」を決めることが第一歩」では、初めて投資をする人は、投資をする目的を明らかにして、そこから割り出される資金を作る期間と金額を決めて取り組む重要性を説明しました。

ただ「お金を儲けたい!」という動機で投資を始めると、判断を誤ることにつながりやすく、投資がギャンブルになってしまいます。

投資は、預貯金などとも組み合わせて資産形成するための1つの手段だと考えて、適切な投資法を実践していきましょう。

投資を始めるには、証券会社に口座を開設します。証券会社はたくさんありますが、ネット証券を選ぶのがいいでしょう。実店舗を構えている証券会社に比べて、手数料などが安いことが多いのでオススメです。

主なネット証券には「楽天証券」や「SBI証券」、「マネックス証券」、「松井証券」などが有名です。

口座開設には、本人を証明するための書類が必要です。次のいずれかを準備します。
・ マイナンバー「個人番号カード」
・「マイナンバー通知カード」と「顔写真付き本人確認書類(運転免許証など)」1枚
・「マイナンバー通知カード」と「本人確認書類(健康保険証や印鑑登録証など)」2枚

口座開設はネット上で行い、必要な項目を入力して、これらの書類を撮影してオンラインで送ればOKです。

開設する際に、「一般口座」か「特定口座」を選ぶことになりますが、「特定口座(源泉徴収あり)」にしておけば間違いありません。

取引は、証券口座に資金を入金して行います。普段使っている銀行口座もネットバンキングが使えるようにしておけば、すべてネット上で完結するので便利です。

証券会社にもよりますが、口座開設を申し込んでから最速で当日から取引が可能になります。

投資のキーワードは「長期積立」「分散」「低コスト」

投資を始めるにあたって、初心者に適した投資術のキーワードを紹介します。

1つ目のキーワードは「長期積立」

・長期投資でリスクを分散

株式や投資信託への投資には、価格変動のリスクがあります。

価格は政治や経済、社会の動きに影響されますが、大きな出来事があっての価格変動は時間が経つにつれて収まっていきます。つまり、長期の投資であれば、一度下がってしまった価格が時間とともに上がってくるのを待つことができるので、結果的に価格変動の影響を受けにくいということです。

・預貯金感覚で積立型の投資を行う

投資にはいくつかのスタイルがあります。それはどんな金融商品に投資していくかにもよるのですが、初心者にオススメするのが「積立型」で商品に投資していくことです。

積立型とはその名のとおり、一定額で定期的に金融商品を購入していくものです。決まった額を決まったタイミング(毎月など)で投資していくので、積立定期預金のような感覚で取り組めます。

使うタイミングや目標の金額まで達した段階で売却して現金に替えれば、資金として活用できます。
「積立型」と「長期」を組み合わせることで、より安全な投資スタイルになります。

・時間を味方にして複利で利益を上積み

長期積立投資のメリットは、時間を味方にできることです。

積立型で投資をしていくなかで得られた利益を、毎月の積立に上乗せして投資していくと、雪だるま式に利益が増えていくことになります。これを「複利」といいます。

複利の効果は、投資する時間がながければ長いほど高くなります。これが時間を味方に付けるということです。複利効果を狙うのであれば、投資にチャレンジするのは早ければ早いほうがいいということになります。

2つ目のキーワードは「分散」

・投資のリスクを分散

投資の世界には「卵は1つのかごに盛るな」という格言があります。

たくさんの卵を同じかごに入れておくと、そのかごがひっくり返ったときに、すべて割れてしまいます。つまり、同じものにだけ投資していると、大きな損につながる可能性が高くなるということです。投資する対象を分散させることで、リスクも分散できるのです。

・日本だけでなく全世界を対象に投資

今や投資の対象は、日本だけではありません。

日本はこの先、少子高齢化が加速度的に進んでいき、人口も減っていくことが明らかになっています。つまり、日本経済は縮小していくわけで、日本だけを対象にして投資をしていても、あまり利益を期待できません。
そこで、経済が好調な米国株やその他の先進国にも投資することをお勧めします。世界を対象にした投資信託もあるので、そういったものへ投資をすれば自動的に分散ができます。

・積立投資で投資のタイミングを分散

積立で投資をすると、価格に対する「時間の分散」ができます。

投資信託も、常に価格が変動しています。一時期にまとめて購入するのではなく、時期を分けて少しずつ購入していけば、価格が高いときに買ってしまうというリスクを少なくできます。

一定額の積立で購入する場合、価格が安いときにはたくさん買うことができ、高いときには少なく買う「ドル・コスト平均法」(定時定額購入)という手法があり、積立によって価格変動リスクを平準化できます。

3つ目のキーワードは「低コスト」

・投資にかかるコストを低くして利益を最大化

金融商品の取引にはコストがかかることは先に述べましたが、商品を買うときにも売るときにも手数料がかかります。
ネット証券が一般的になってからは手数料がかなり安くなってきましたが、長期積立で投資をしていくと毎月金融商品を購入することになるので、手数料の高さは無視できません。

ネット証券各社も利用者を増やそうといろいろとお得なプランを用意しているので、比較しながら使い分けていくといいでしょう。

・投資の利益にかかる税金を抑える

投資によって得られた利益には、税金が課されます。

これも大きな額とはなりませんが、ちりも積もれば…ということで、できるだけ抑えたいところです。そこで利用したいのがNISAという制度です。期間が限定されますが、投資での利益が非課税になります。

NISAで税金を節約

NISA(ニーサ)とは、株式や投資信託の配当金(分配金)や売却時に値上がりで得られた利益が非課税になる制度です。投資目的などに合わせて、「一般NISA」か「つみたてNISA」を選べます。NISAの口座は1人1つまでしか持てないので、「一般」と「つみたて」を併用することはできません。

一般NISAとつみたてNISAの違い

一般NISAは、株式投資などの売買益を狙う人や株主優待狙いの人などに向いています。

ここで紹介している投資信託による長期積立投資に取り組む人は、つみたてNISAが向いているでしょう。

つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として投資信託が購入できます。

投資信託から得られる利益にかかる税金が、購入した年から数えて20年間、非課税になります。
非課税期間の20年間が終了したときには、普通の証券口座に払い出されます。

なお、一般NISAでは非課税期間が終了すると新たなNISA口座に移管(ロールオーバー)できますが、つみたてNISAではロールオーバーはできません。

NISAは2024年から新しい制度に切り替わるので、その変更点も見ていきましょう。

まず、一般NISAは2023年までに終了する予定でしたが、「新一般NISA(仮称)」では投資可能期間が延長されて2024年から2028年までとなりました。

そして、投資上限額も増額されています。

もともと年間の投資額上限が120万円だったところ、新一般NISAでは年122万円までとなりました。
その内訳は「1階部分(20万円)」と「2階部分(102万円)」に分けられています。

1階部分で投資できるのは、つみたてNISAと同じ、投資信託に限られています。これは、積立投資をより多くの人に取り組んでもらい、安定的な資産形成を促す意図があります。

2階部分は、基本的に一般NISAと同じものに投資できます。

2階部分を使うには、原則として1階部分で投資をしなくてはなりません。ただ、上限の20万円をすべて使い切る必要はなく、1,000円でも積み立てをしていれば2階部分の投資が可能になります。

つみたてNISAについては、投資可能期間が5年延長されて2042年までとなった以外、変更はありません。

新NISA(仮称)
※赤字は2024年からの変更部分 ※新一般NISAの2階部分では、投資資金の何倍もの効果を追求する一部の投資信託などは購入できません。

まとめ

オススメする投資スタイルは「長期積立」「分散」「低コスト」。毎月一定額を積み立てるように投資をして、あくまで長期的な視点で取り組むこと。投資する対象や地域を分散させることで、リスクも分散。投資にかかるコストを少なくする工夫をして、利益を最大化。これを守ることで、ギャンブルではない資産形成の1つの手法として投資を使うことができます。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア

おすすめ記事