近年、都会から地方への移住を希望する人が増えています。なぜ地方移住が注目されているのでしょうか。その理由を探るべく、移住が増えた社会的背景や移住パターンを調べてみました。あわせて、地方移住を決める際の注意点や、移住先として人気の県なども紹介します。地方移住に興味をお持ちの方は参考にしてみてください。

移住とは?

はじめに「移住」の定義をおさえておきましょう。移住とは、今住んでいる場所からほかの場所へ移り住むことをいいます。なかでも都市部から郊外・地方へ移ることを指すのが一般的です。遠方への引っ越しをイメージしがちですが、そうとは限りません。行政上は市区町村を越えた引っ越しのことを「移住」といいます。ただし、仕事や学校の関係で一時的に引っ越すケースもあり、実際のところ移住の定義はあいまいです。

移住のパターン

移住には大きく分けて3つのパターンがあります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

移住先へ完全に拠点を移す
移住と聞いてまずイメージするのが、これまで住んでいた場所から生活拠点を移すパターンではないでしょうか。転勤など一時的なものではなく、定住目的で移り住むことを指すのが一般的です。都市部からこれまで住んだことのない地方への移住を「Iターン」、故郷へ戻ることを「Uターン」、故郷に近い土地に移住することを「Jターン」と呼びます。

複数の場所に拠点を持つ
週末や一定期間を地方で過ごすパターンも移住に含まれます。自宅のほかに別荘を所有しているケースや、お気に入りの宿泊施設があるケースなど、人によって移住スタイルはさまざまです。かつてはリタイア世代に多い過ごし方でしたが、交通網が充実したことやインターネット環境が発達したことにより、幅広い世代に広がっています。

拠点を持たない
ゲストハウスやシェアハウスを利用して、全国各地を転々と移り住むパターンもあります。気軽にさまざまな土地へ移住できるのが魅力ですが、郵便物を受け取れなかったり、公共サービスを受けられなかったりといったデメリットを伴います。そのため、人を選ぶ移住スタイルといえるでしょう。

地方移住が注目されている理由とは?

次に、地方移住が注目されている理由や社会的背景について解説します。

地方へ移住する理由はさまざま
「便利な都会よりも自然が豊かな場所で暮らしたい」「地方でのんびり子育てをしたい」など、人それぞれに理想とする暮らし方が異なります。価値観やライフスタイルが多様化したことにより、こうした理想の生活が実現しやすい社会になりました。また、テレワークの普及により働き方も多様化しています。毎日通勤する必要がなくなったため、地方移住に踏み切ったという人も少なくないでしょう。

政府や自治体、企業による後押しも背景に
首都圏への人口流入が続く一方で、地方では地域社会の担い手が減少し、過疎化が進んでいます。こうした状況を是正するために、政府や自治体では移住を支援するさまざまな取り組みを行ってきました。柔軟な勤務体系を導入したり、東京から地方へオフィスを移転したりして、移住の促進や地方創生に協力する企業も増えています。地方移住が注目される背景には、社会全体での強力な後押しも大きな役割を果たしているといえるでしょう。

地方移住を決める際の注意点

地方移住を決める際、まず考えておきたいのが収入をどのように確保するかということです。パソコンとインターネット環境があればどこでもできる仕事なら、特に悩むことはないかもしれません。しかしながら、移住先での転職を考えている場合は求人情報をしっかりチェックするようにしてください。場所によっては働き口が少なく、十分な収入を得られる仕事に就けない可能性があるためです。

また、家族での移住を希望する場合は学校や病院が近くにあるかどうかも確認してください。過疎化が極端な地域では、十分な教育や医療サービスが受けられない可能性があります。

移住先として人気の県は?

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表した「2021年移住希望地域ランキング」のTOP3は、次のようになっています。

1位:静岡県
2位:福岡県
3位:山梨県

ここからは、各県が移住先として人気を集める理由を紹介していきます。

移住先人気ランキング1位:静岡県
駿河湾に面し、本州のほぼ中央に位置する静岡県は、気候が温暖で住みやすいのが特徴です。県内に新幹線の停車駅が6駅あり、首都圏へのアクセスがよいことから移住先として人気を集めています。富士山をはじめとした豊かな自然環境も魅力といえるでしょう。

各市町村でそれぞれに移住支援を行っていますが、温泉で知られる伊豆半島の自治体では特に支援制度の導入に積極的です。たとえば、伊東市では住宅リフォーム費用や子どもの医療費に対する助成、伊豆市では保育料の減免制度、伊豆の国市では農業を志す人への補助金交付などを行っています。

移住先人気ランキング2位:福岡県
九州の北に位置する福岡県は、福岡空港や北九州空港、博多港をはじめとする複数の港、九州新幹線、都市高速道路など交通網がとても充実しています。年間の平均気温は17.7度と過ごしやすく、豊かな自然も魅力です。なかでも福岡市は、英国モノクル誌の「世界で最も住みやすい25の都市ランキング-2018年-」で22位に選ばれたほど人気があります。東京と比べて地価や物価が安いため、ゆとりのある生活が期待できるのではないでしょうか。

移住支援としては、お試し移住施設での移住体験イベント、移住コンシェルジュによる相談サービス、移住・就職・転職セミナーなどを行っています。また、農業・漁業に興味のある人に向けて、産地見学ツアーやスタートアップ講座を開催しています。

移住先人気ランキング3位:山梨県
富士五湖や南アルプスなど観光・リゾートのイメージが強い山梨県は、移住先としても人気の高い県です。県庁所在地の甲府から新宿までJR中央線の特急を利用すれば90分ほどでアクセスできるため、移住後に都心へ通勤することも可能といえます。

山梨県の移住支援は、各自治体ではなく県が中心になって行っているのが特徴です。就労支援や子育て支援のほか、婚活支援や産前産後の女性のケアなど、山梨県内ならどこに住んでも充実のサポートが受けられます。

出典:2021年移住希望地域ランキング公開|認定NPO法人ふるさと回帰支援センター

地方移住を実現するには?

定住を視野に入れて生活拠点を完全に変える場合、どのような条件なら移住が実現できるのかを検討することが大切です。まず、移住関連のWebサービスや移住を希望する自治体のWebサイトで、移住に関する施策や支援制度などを調べてみましょう。SNSや個人ブログなどを通じてリアルな声を拾ってみるのもおすすめです。移住体験イベントや移住体験施設を利用して短期間生活してみると、移住後の生活がイメージしやすいかもしれません。

移住先が決まったら、住む場所や仕事、子どもが通う学校などを探します。利用できそうな移住支援制度があれば、積極的に利用するようにしましょう。

まとめ

地方移住が注目されている背景には、価値観やライフスタイルの多様化、地方創生を目指す政府や自治体の後押しなどがあります。地方移住を検討する場合は、「こんなはずではなかった」と後悔することのないよう、しっかりと情報を集めるようにしてください。気になる場所があれば、お試し移住などのサービスを利用して実際の住み心地を確認するのもおすすめです。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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