2022年3月22日、東京電力・東北電力管内の電力の需要が供給を上回ることが予想され、政府は初めて「電力需給ひっ迫警報」を発出しました。政府と東京電力パワーグリッドは「不要な照明を消し」「暖房温度の設定を20度にする」などの協力を企業や家庭に呼び掛けています。

この20度という温度がどのような根拠なのか解説するとともに、温度設定のほかに実行可能なエアコンの節電方法を紹介していきます。

※本記事は2021年1月9日に公開した記事「【設定温度は何度が正解? 】冬のエアコン、節約しながら快適に過ごす10の方法とは?」を一部抜粋して編集しています。

意外とかかる冬のエアコン電気代

夏は「節電のために冷房の設定温度を高めに!」といわれることは多いですが、暖房に関してはあまりピンとこない人も多いかもしれません。しかし、夏よりも冬のほうがエアコンの電気代がかかることが多いのです。その理由は、冬のほうが気温と設定温度との差が大きいためです。

エアコンが最も電力を使うのは、設定温度になるまでの間です。たとえば、夏は室内温度が38度の場合、設定温度を28度にするとその差の10度分部屋を冷却する必要があります。一方、冬は室内温度が0度の場合、設定温度を20度にするとその差の20度分部屋を暖めなければなりません。夏は約10度、冬は約20度の気温差を埋めるため、冬のほうが電気代が高くなってしまうのです。

冬の室内温度の目安は「20度」が推奨されている

室内温度は18〜22度、湿度は40〜60%が快適

環境省によると冬の室内温度は20度を目安にすることが推奨されています。

ウォームビズの一環で、エアコンの過度な使用による温室効果ガスを削減して地球温暖化対策をするというもの。

室内温度が20度になるようにエアコンを使えば、家庭での電気代も削減できます。なかには、建物の断熱性が優れていて、何もしなくても室温が20度を超える場合もあります。そのときは、20度に合わせるために無理に温度を下げる必要はありません。

東京都福祉保健局の「健康・快適居住環境の指針」によると、一般的に室内温度は17〜22度、湿度は40〜60%が快適に過ごせる環境だとされています。また、暖房の場合、温度設定を1度低くすると、約10%の消費電力の削減につながります。人によって感じ方が違うため、無理のない範囲でエアコンの温度設定を調整してみましょう。

(参照)
・東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針」
環境省「家庭でできる節電アクション」

設定温度の変更に加え「運転モード」「風向き」の確認を

設定温度だけではなく、エアコンの使い方次第で電気代を抑えることができます。使い方を見直したり、サポートアイテムを取り入れて、賢く節電しましょう。

(1)運転モードは「自動運転」で

エアコンの電気代を節約しようとして、いつも「弱運転」をしている人も多いのではないでしょうか。そうすると、設定温度に到達するまでに時間がかかり、余計に電気代が高くなってしまいます。実は、エアコンの運転で最も電気を使うのが、設定温度になるまでの間です。

そのため、いかに早く設定温度まで室温を上げられるかによって電気代が変わってきます。よって、最初は強風運転で一気に設定温度まで上げてしまうのが1番。

その後、微風運転で室温をキープしていきます。この状態になればあまり電気代がかかりません。この強弱を自動で行ってくれるモードが「自動運転」です。たいていのエアコンには自動運転モードがあるので、こちらを活用しましょう。

(2)エアコンの風向きは下向きに

エアコンの風向きは「下向き」に

エアコンの風向きによっても、部屋の温まり具合が変わってきます。少ない電気で部屋を暖かくしたいなら、風向きは下向きにするのが正解です。なぜなら、冷たい空気は下に行き、暖かい空気は上に集まる性質があるためです。風向きを上にしてしまうと、上のほうばかりに暖かい空気が集まり、足元の空気が冷たくなってしまいます。

風向きを下にすれば、足元を暖めることができ、その空気は自然と部屋の上に流れていきます。足元もその上の空間も暖められ、部屋全体に暖かい空気を行き渡らせることができるので、暖房の風向きは下に向けるようにしましょう。夏場は反対に、風向きを上にすると、冷たい空気が下に流れていき、部屋全体が早く涼しくなります。

(3)人感センサー搭載の機種は「自動モード」

最新機種のなかには、AIセンサー(人感センサー)が搭載されているエアコンもあります。その場合は、この機能を活用しましょう。人感センサーがあれば、人の位置を感知し、暖めすぎを防止します。同時に、暖房とサーキュレーターを自動で切り替えることで、部屋全体を暖めてくれます。

暖房が効いた部屋にありがちな、「頭は暖かくてぼーっとするのに手足は冷たい」という状況を回避。部屋の上にある暖かい空気を下におろして、効率よく部屋を暖めてくれます。このように、ムダなく部屋を暖めることができれば、省エネになり電気代の削減になりますよ。

(4)サーキュレーターを使う

暖房で暖められた空気を部屋中に循環させるために、サーキュレーターや扇風機を活用しましょう。扇風機やサーキュレーターは、夏に使うイメージが強いと思いますが、暖房を使う冬にこそおすすめなグッズです。先ほどお話ししましたが、暖かい空気は上空に溜まりやすいので、いかに早く部屋中に暖かい空気を行き渡らせることができるかによって、電気代も変わってきます。空気を循環させることによって、低めの温度設定でも暖かく感じやすくもなります。

サーキュレーターを置くときのポイントは、部屋の隅からエアコンに向けて対角線上に、かつ上に向けて設置することです。暖かい空気に風を向けることで、上にたまった空気が循環します。下部にも暖かい空気が流れてくるので、早く部屋全体を暖めることができ、節電につながります。

(5)窓の断熱をする

外気の冷たさが室内に伝わってしまう原因として大きいのが、窓です。YKK AP株式会社の試算によると、夏は74%窓から熱が入り、冬は52%熱が窓から逃げるとされています。そのため、窓からの冷気をシャットダウンすれば、早く部屋が暖まります。窓の断熱方法としては、複層ガラスや樹脂サッシへの交換や二重窓の後付けなどがありますが、どれも工事が必要になったり費用が高額になったいりしてしまいます。

そこでおすすめなのが、断熱シートや断熱カーテンを取り入れる方法です。窓との間に空気の層を作ることで、それが断熱材の役割を果たし、外気を遮断してくれます。自分で取り付けることもできるので、比較的費用も安く抑えられます。

(6)加湿器をかける

意外かもしれませんが、加湿器をかけると暖かく感じることがあります。なぜなら、人間は温度と湿度のバランスで快適か不快かを感じ分けるからです。適切な湿度は40〜60%だといわれているので、暖房をつけているのに寒いと感じたら、湿度を確認し低いときは加湿器をかけるとよいでしょう。

加湿器がないときは、濡らしたタオルをかけたり、洗濯物を部屋干ししたりするのも、加湿効果があっておすすめです。また、湿度が40%未満だと風邪のウイルスやインフルエンザウイルスの生存率が高くなり、のどや鼻の粘膜も乾燥してウィルスが侵入しやすくなります。湿度を上げることで風邪やインフルエンザの予防にもつながります。ただし、湿度を上げすぎると結露やカビの原因になるので注意が必要です。

無理のない範囲で節電を

今回の節電要請は3月16日に発生した最大震度6強の地震で停止した火力発電所の復旧が遅れ、電力供給が通常より減少する中、真冬並みの冷え込みで電力の需要が高まっていることが起因しています。

一人ひとりの心がけによって大規模な停電を防げるかもしれません。一方で雪降る寒さのなか暖房器具は必須の状況です。過度な節電で体調を崩さないようにくれぐれも注意し、無理のない範囲で節電をおこなってください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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