【春先から注意】家庭菜園の野菜を食い荒らす害虫とは? 対策の基本はこうする

憧れの家庭菜園を始めたところ、害虫のせいで野菜がダメになったというケースも珍しくありません。害虫の被害を防いで家庭菜園を成功させるには、どうすればよいのでしょうか。

この記事では、家庭菜園で失敗しないための害虫対策について解説します。害虫を寄せ付けず家庭菜園に取り組むためのポイントを説明するので、ぜひ役立ててください。

家庭菜園に現れる代表的な害虫とその対策法

家庭菜園には、さまざまな害虫が現れる可能性があります。ここでは、家庭菜園に出没する代表的な害虫とその対策法を解説します。

ナメクジ

ナメクジ
作物を食い荒らすナメクジ(画像素材:PIXTA)

ナメクジは、タツムリと同じ陸貝(りくがい)の仲間です。湿度が高くて暗い場所を好み、3~11月ごろに発生します。ナメクジが活動する時間は、主に夜間です。特に、キク科やアブラナ科の野菜に付きやすく、レタス、キャベツ、白菜、ネギなどに被害をもたらします。

ナメクジを駆除する際は、専用の殺虫剤や農薬を使用しましょう。ナメクジは塩をかけて対処する方法もありますが、効果は一時的です。塩を大量に撒くと植物にも悪影響を及ぼすため、注意しましょう。

アオムシ

アオムシとは、モンシロチョウの幼虫のことです。ただし、チョウやガの幼虫のうち、毛が短い緑色のものはすべてアオムシと総称されます。アオムシは、4~6月ごろと9~11月ごろに発生。アブラナ科の野菜を好み、キャベツや白菜、ブロッコリー、チンゲン菜などが狙われます。

野菜の苗を植え付けると同時に防虫ネットをかけておくと、アオムシの被害を軽減できます。万が一、卵や小さい虫を発見した場合は速やかに取り除きましょう。アオムシが大量発生したときは、アオムシに対して効果のある殺虫剤や農薬を使用してください。

カメムシ

カメムシはカメムシ目に属する昆虫です。4~10月ごろに発生し、マメ科のインゲン・枝豆、ナス科のトマト・ピーマン・ジャガイモなどの汁を吸います。

カメムシは強い臭いを発するため、駆除するときは注意が必要です。素手で捕まえるのは避け、ペットボトルや粘着テープなどを活用して捕獲しましょう。大量発生して1匹ずつ捕まえるのが困難な場合は、カメムシに対して効果を発揮する殺虫剤や農薬を使用しましょう。

ハムシ

クロウリハムシ
クロウリハムシ(画像素材:PIXTA)

ハムシは甲虫目に属する昆虫で、800種近く存在します。4~11月ごろの長期間にわたり発生。ハムシの成虫の多くは、カブやダイコン、コマツナ、チンゲン菜などの葉を食べます。幼虫の場合、葉を食べる種類もあれば根を食べる種類もあります。

ハムシは反射光を嫌うという性質があるため、光る素材でできている防虫ネットやテープなどを使用すると対策が可能です。万が一大量発生したときは、ハムシに効果のある殺虫剤や農薬を散布してください。

ヨトウムシ

ヨトウムシは、チョウ目に属するヨトウガやハンスモンヨトウなどの幼虫のことです。漢字で書くと「夜盗虫」となります。ヨトウムシが発生するのは5~10月ごろ。この時期になると夜に土から出てきて、キャベツや白菜、ナス、トマト、キュウリなどを食べます。

ヨトウムシの被害を防ぐには、野菜に防虫ネットをかけると効果的です。また、夜間にライトをつけて野菜に光を当てておく方法もあります。プラスチック容器などに米ぬかを入れておく「米ぬかトラップ」を使って捕獲することも可能です。

害虫を寄せ付けない家庭菜園にする方法

家庭菜園に害虫を寄せ付けないようにするには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、害虫を寄せ付けない家庭菜園にする方法を解説します。

毎日の観察が害虫対策の基本

害虫の被害を最小限に抑えるには、普段から植物をしっかり観察しておく必要がります。そして、害虫がついているのを見つけたらすばやく取り除きましょう。

さらに重要なのは、害虫の発生を防ぐための環境を整えることです。害虫対策の基本は、日当たりと風通しをよくすること。たとえば、葉が混み合っている部分があれば、余計な葉はカットしましょう。雑草が生えてきたら、こまめに抜き取ってください。

また、害虫対策においては、肥料の与え方についても注意が必要です。肥料が多すぎると害虫を引き寄せる原因になり、逆に肥料不足だと害虫への抵抗力が低下する原因となります。水はけも随時チェックし、野菜にとって最適な環境を整備しましょう。

防虫ネット・不織布などを利用する

不織布のトンネルがけで害虫を防ぐ
不織布のトンネルがけで害虫を防ぐ(画像素材:PIXTA)

害虫対策としては、防虫ネットも効果的です。苗を植え付けたら専用の防虫ネットや化学繊維の不織布などをかぶせ、害虫の侵入を防ぎましょう。4本の支柱を立てて肥料の袋で囲う「あんどん」や、編み目の粗い布を使ってアーチを作る「寒冷紗(かんれいしゃ)」を活用する方法もあります。

早い時期から対策しておけば、物理的に害虫の被害を防止できます。薬剤を使用しなくても済む可能性があるため、上手に取り入れましょう。

コンパニオンプランツを植える

コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとしてマリーゴールドを植える(画像素材:PIXTA)

コンパニオンプランツとは、一緒に植えるとお互いによい影響を与え合う相性の良い植物のことです。日本語では、共栄作物とも呼ばれています。害虫対策として効果を期待できる植物は、ネギ類(ユリ科)のニラやネギ、キク科のマリーゴールドやカモミール、セリ科のパセリやセロリ、シソ科のバジルやオレガノなどです。メインで育てたい野菜とともに植えれば、家庭菜園を楽しみながら害虫対策ができます。

捕虫する

害虫が発生してしまったら、その都度捕まえることが大切です。捕まえて殺せば、それ以上に害虫が増える可能性を低くできます。軍手を使用すると、手づかみで害虫を捕獲することも可能です。手でつかみにくい害虫なら、トングや割り箸、ピンセットなどを使用して捕まえましょう。

家庭菜園に発生している害虫をそのまま放置していると、どんどん増えるリスクがあります。害虫を見つけたら、すぐに捕虫するようにしましょう。

酢を散布する

害虫対策としては、酢を散布する方法もあります。酢を水で薄めてスプレーボトルに入れ、家庭菜園に散布しましょう。酢を嫌う害虫が多いため、散布すると害虫を寄せ付けにくくなります。ただし、殺虫効果があるわけではないので、害虫が発生した場合はほかの方法で駆除してください。

酢には抗菌作用や殺菌作用があるとされ、野菜の病気を防ぐ効果も期待できます。

殺虫剤・農薬の使用

害虫が大量発生したときは、殺虫剤・農薬を使用してしっかり駆除しましょう。殺虫剤や農薬にはさまざまな種類があるため、比較しながら最適なものを使用してください。

たとえば「浸透移行性剤」は、野菜の根や葉から薬の成分が吸収され、植物そのものが殺虫効果をもつようになるタイプ。植物に噴霧するスプレータイプにも、直接害虫を殺すものから、歯を保護するものまでいくつか種類があります。害虫の発生状況も考慮し、効果が出やすいものを選びましょう。

まとめ

一生懸命に野菜を育てても、害虫が発生すれば努力が水の泡になる可能性もあります。家庭菜園に取り組むうえでは害虫対策をしっかり行い、被害に遭わないように気をつけてください。さまざまな対処法があるため、可能な範囲で少しずつ始めることが大切です。家庭菜園では害虫対策にも力を入れ、おいしい野菜を食べられるようにしましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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