新生活にかかる費用はいくら? 一人暮らしの初期費用と節約術を解説

進学・入社などで、春から新居での生活がスタートするという人も多いのではないでしょうか。1人暮らしの新生活となると、初期費用がまとまった金額でかかるものです。この記事では、新生活にあたってかかる初期費用の種類や効果的な節約方法について、詳しく解説していきます。

賃貸住宅の契約にかかる初期費用

1人暮らしを始めるときの初期費用として最も高額なのが、賃貸住宅の契約に際してかかる費用です。どのようなものがあるのか順番に見ていきましょう。

敷金

敷金とは、家賃の滞納があった場合の補填や退去時の原状回復費用に充当されるお金のこと。金額は家賃の1〜2ヶ月分が目安です。退去の際には原状回復にかかった費用などを差し引いた分が返ってきます。つまり、差し引かれるような事項がなければ、将来手元に返ってくるお金です。

礼金

敷金と合わせて、初期費用として求められることが多い礼金。礼金は物件の大家さんに対する謝礼として支払うお金とされ、昔からの商習慣として必要になる場合があります。地域によって違いもありますが、家賃1〜2ヶ月分というのが一般的です。あくまでも謝礼として支払うものという位置付けなので、手元に返ってくることはありません。

前家賃

賃貸物件では家賃滞納によるリスクを減らすため、常に翌月分の家賃を支払うケースが多くなっています。入居時にも翌月分の家賃を前納するため、1ヶ月分の支払いが求められることが多いのです。

日割り家賃

入居月は家賃を払っていないため、入居日から月末までの日割り家賃を支払います。月頭に入居するのであれば、日割り家賃は発生しません。

仲介手数料

物件紹介、契約関係業務などの仲介業務をしてくれた不動産会社に対して支払うのが仲介手数料。家賃の0.5〜1ヶ月分が一般的です。

保証料

賃貸物件の契約時には、賃借人が家賃を支払えなくなった場合に備えて連帯保証人を立てるのが通例です。連帯保証人を立てられない人は保証会社に加入するよう求められ、その加入料として家賃の0.5〜1ヶ月分に相当する保証料を支払う必要があります。

最近では、連帯保証人を立てるのではなく、保証会社への加入が入居条件となっている物件も増えているので事前に確認しておきましょう。

火災保険料

火災保険加入
賃貸住宅契約時に火災保険加入が必要となる(画像素材:PIXTA)

入居中に火災や水漏れといったトラブルが発生した場合に備え、契約時に保険へ加入するよう求められます。大家さんや管理会社指定の保険を契約するのが一般的ですが、自分で選んだ保険に加入して証明書を管理会社に示すという方法もあります。費用の目安は2年契約で約2万円です。

その他の費用

ここまで紹介してきた費用のほか、多くの物件で必要になるのが鍵の交換代。前の入居者などが鍵を複製している可能性があるため、セキュリティの観点から鍵を交換します。また、物件によっては、クリーニング代・害虫駆除代といった部屋の維持管理にかかる費用の支払いを求められることもあります。

家具や家電、生活用品の購入費用

新生活を始めるにあたって必要になる家具や家電、生活用品の購入費用なども初期費用の一部として見込んでおく必要があります。項目ごとに詳しく見ていきましょう。

家具の購入

実家など前の生活で使用していたものだけでは足りない場合、生活に必要な家具を買い揃えなければなりません。主なものとしては、ベッドやマットレス、食卓として使うダイニングテーブルや折りたたみテーブル、椅子などが考えられるでしょう。物件に元からついているクローゼットや押し入れでは収納が不足するようであれば、タンスや衣装ケースなどを用意する必要もあります。

家具を完全にそろえようとすると費用がかさむため、当初はベッドのみ用意し、そのほかは生活しながら徐々に買い足すのもおすすめです。

家電の購入

必要な家電は買いそろえておこう
必要な家電は買いそろえておこう(画像素材:PIXTA)

快適な生活には家電を買いそろえる必要もあります。照明や洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、テレビなどは利便性の高い家電です。新生活開始に合わせて一気に買ってしまったほうがいいかもしれません。

家電は高スペックや大型になるほど価格が高いので、1人暮らしに見合う必要最低限のものを選ぶようにすると、初期費用を抑えられます。

生活用品の購入

家具や家電といった大物だけでなく、細かな生活用品もそろえなければ生活に困ります。主なものとしては、カーテン、鍋・食器・調理器具といったキッチン用品、洗濯・掃除用品、タオルや歯ブラシなどの衛生用品、配線ケーブルなどが挙げられます。

なかでも、忘れがちなのがカーテン。セキュリティ面を考えて引っ越し当日に取り付けられるよう、あらかじめ部屋に合うサイズのカーテンを準備しておくのがおすすめです。

引っ越しにかかる費用

新生活の初期費用として忘れてはならないのが、引っ越しにかかる費用です。ほとんどの人が引っ越し作業を業者に依頼することになりますが、1人暮らしの場合には各社が提供する単身向けパックや単身プランの利用がおすすめ。業者を検討する際には、必ず複数社で相見積もりを取るようにしましょう。

また、引っ越し業者によってサービス内容に違いがあります。費用が安いかだけでなく、ダンボールの用意があるかどうかなど、サービス内容も合わせて考えるのが大切です。基本的に荷物の量が多いほど引っ越し費用は高くなるので、引っ越し前に荷物を整理・処分しておくとコストダウンにつながります。

新生活の初期費用を節約する方法

契約にかかる費用、家具・家電を買いそろえる費用、引っ越しにかかる費用を合わせると、新生活の初期費用はかなりのまとまった金額になります。新生活の初期費用を少しでも節約するには、どのような方法があるのか見ていきましょう。

家賃を抑える

初期費用の節約方法として、最も効果的かつ基本となるのが家賃を抑えること。敷金・礼金・仲介手数料・保証金といった、契約にかかる初期費用の多くは家賃をもとに算出されるため、家賃の低い物件になるほど初期費用も少なくて済みます。

家賃は初期費用だけでなく、その後の生活における固定費にもなります。しかも、家賃は多くの人にとって、月々の支払いのなかで最も大きな費用になることでしょう。初期費用を抑えるという意味のみならず、今後の生活にかかるコストを減らしたいのであれば、なるべくリーズナブルな家賃の物件を選ぶのが賢明です。

敷金・礼金ゼロ物件を探す

初期費用において大きな割合を占める敷金・礼金ですが、最近では敷金・礼金ゼロという物件も多く見られます。こういった物件を選べば、初期費用を節約できるでしょう。ただし、先ほど解説したとおり、敷金は退去時の原状回復費用などに充当されるものです。敷金ゼロの物件では、退去時に原状回復費用の支払いを求められる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

礼金を支払うという商慣習自体への批判も強くなってきています。敷金はあっても礼金はゼロという物件も増えているので、根気強く探してみましょう。

フリーレント物件を探す

フリーレントを設定している物件を探すというのも、初期費用を抑える方法の一つです。フリーレントとは、一定の期間に限り家賃が無料になるという契約形態のこと。前家賃や日割り家賃がかからない場合が多いため、初期費用の軽減につながります。

ただし、フリーレントはキャンペーンなどで行われることが多く、一般的に借り手がつきにくい物件を中心に用いられる手法です。フリーレントを条件に部屋探しをすると、好条件の物件は見つかりにくいかもしれません。

仲介手数料の値下げ交渉をする

敷金・礼金と並んで初期費用の大きなウエイトを占めるのが、不動産会社に対して支払う仲介手数料です。賃貸住宅の仲介手数料は商習慣で家賃の1ヶ月分とされていることが多いですが、住宅や土地の取引について定めた宅地建物取引業法においては原則0.5ヶ月分と規定されています。1ヶ月分というのはあくまでも借主が合意した場合に認められているに過ぎません。こうした事実を踏まえ、仲介手数料の値下げ交渉をしてみるというのも節約の一つの方法です。

仮に値下げを断られた場合でも、借りようとしている物件がその不動産会社の専任物件でなければ、他の不動産会社を介して申し込むこともできます。

クレジットカード可能の物件を探す

クレジットカード可能の物件を探す
クレジットカードで分割支払いができれば初期費用の負担は軽減される(画像素材:PIXTA)

初期費用を一括で支払うのが厳しい場合には、クレジットカードによる分割支払いをするという方法もあります。一気にまとまったお金を用意する必要がなくなるので、生活への影響を小さくできるでしょう。

また、初期費用は多額になるため、クレジットカード払いによって付くポイントも大きくなり、実質的に総額を値下げしてもらうのと同じ効果が得られます。

ただし、分割回数が3回以上になると手数料(金利)がかかってしまいます。手数料を節約したいのであれば、2回払いに抑えましょう。なお、クレジットカードが使えない、あるいはクレジットカード会社を指定する不動産会社もあるので、事前に確認しておくことが大切です。

家具・家電付きの物件を探す

学生生活や単身赴任など、期間があらかじめ決まっているケースであれば、家具・家電付きの物件を選ぶというのも有効な方法。家具・家電を買いそろえる必要がないうえ、荷物が少なくて済むので引っ越し費用も抑えられます。なお、家具・家電付きの物件は家賃が相場よりも高めに設定されている場合が多いため、長く住み続けるなら、結果的にコストが高くなるかもしれないので注意が必要です。

家具・家電はリサイクルショップで購入する

家具・家電は新品でそろえようとすると、いくら安いものでもそれなりのコストがかかるものです。特にこだわりがないのであれば、リサイクルショップやフリマアプリで購入することで初期費用を抑えられます。

ただ、古くて安い商品になるほど故障や破損のリスクが高まるのも事実。初期費用が多少かかっても、新品を購入して長く使い続けたほうが、長期的なコストを抑えられる可能性もあります。

まとめ

新生活の初期費用は、物件の契約に関わる費用、生活に必要なものをそろえる費用、引っ越しにかかる費用など多岐にわたり、まとまった金額がかかります。今回紹介した初期費用の節約方法は多少の手間を要しますが、それなりの効果が見込めるものばかりです。これから新生活を予定している人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2022.04.04)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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