盲点? 花粉がエアコン経由で部屋に舞っているかも…フィルター掃除が肝心

花粉の飛散が始まっていますが、まだまだ寒い日も続くのでエアコンは毎日稼働していますよね。そこで気になるのが、エアコン経由での花粉の侵入。でも実は、エアコン自体は花粉が侵入する構造ではなく、肝心なのはフィルターの取り扱いなのだとか。エアコンフィルターのお手入れと花粉対策について、ハウスクリーニングや家事代行サービスを提供する「カジタク」を運営しているアクティア株式会社 品質管理グループの岩崎稔さんに伺いました。

“エアコンから花粉が侵入してくる”は間違い

エアコン自体は基本的に花粉が侵入しない構造
エアコン自体は基本的に花粉が侵入しない構造(画像素材:AdobeStock)

窓を開けなくても、なぜか室内に入ってしまう花粉。エアコンからの侵入を考えてしまいがちですが、これは間違いだそう。岩崎さんによると、「エアコンは室内の空気を循環させるものです。室外機も、室内の空気を温めたり冷やしたりする熱交換器で、外の空気を直接取り込むわけではありません」とのこと。つまりエアコンそのものは、基本的には花粉が外から侵入する構造ではないのです。

換気機能付きのエアコンは注意が必要

「ただし換気機能がついた一部の機種などは、吸気・換気のために外の空気と直結している管がありますので、そこから微量な花粉が吸い込まれて入ってくる可能性はゼロではありません。とはいえ大量に入ってくるわけではなく、気にするレベルではないです」(岩崎さん)

室内に花粉が侵入する原因は?

帰宅時に家に花粉を持ち込む可能性大!?
帰宅時に家に花粉を持ち込む可能性大!?(画像素材:AdobeStock)

では、なぜ室内に花粉が侵入するのでしょうか?岩崎さんによると、主に3つの理由が考えられるとのこと。

・人間にくっついて入ってくる
・窓の隙間から
・キッチンの換気扇

「まず外から帰ってきた際、人の髪の毛や衣服についてきた花粉が室内に入ります。その後、エアコンにより空気が循環されることで、花粉が室内に広がるわけです」(岩崎さん)

実は住む人自身が原因なのですが、エアコンから花粉が飛んできているように感じる理由はこれかもしれません。

「さらに、窓を閉めても完全に密閉されているわけではなく、隙間から入ってくることもあります。また、キッチンの換気扇も外と直結しているので、そこからの侵入も考えられます」(岩崎さん)

室内に侵入した花粉がエアコン内部にも入る?

フィルターがキャッチし損なった花粉が室内に拡散!?
フィルターがキャッチし損なった花粉が室内に拡散!?(画像素材:AdobeStock)

加えて、室内に侵入した花粉はエアコンによって広がるだけでなく、エアコン内部にも入ってしまうと岩崎さんは言います。

「エアコンのフィルターは目地が粗く、花粉等の粒子が細かいものは通過してしまいます」(岩崎さん)。

特に冬の暖房使用時は、エアコンの内部がカラカラに乾燥している状態であるため、エアコン内部に入ってしまった花粉は、排出される風と共に空気中に出てしまうそうなのです。

この状態を放置しておくと、常に室内で花粉が循環してしまい、花粉症の症状が出るリスクも高まるというわけです。

エアコンへの花粉の侵入を防ぐには「不織布フィルター」が有効!

エアコン本体に簡単に貼り付け可能な不織布フィルターをつけると効果アップ!
エアコン本体に簡単に貼り付け可能な不織布フィルターをつけると効果アップ!

花粉はエアコンのフィルターを通過して内部に入ってしまうということですが、どう対策をすればよいのでしょうか。

「一番は、市販されているエアコン用の不織布フィルターを取り付けるのがおすすめです。マスクでもおなじみの不織布は、繊維が細かいので粒子をからめ取りやすいといわれています。もちろんこれも、少なくとも1ヶ月に1回の交換が必要です」(岩崎さん)

エアコンフィルターをこまめに掃除することも大事

月2回程度はフィルターのお手入れを
月2回程度はフィルターのお手入れを(画像素材:AdobeStock)

さらに、もともとエアコンについているフィルターのお手入れも大事だと、岩崎さんは続けます。

「花粉のほとんどがエアコンフィルターを通過しますが、少なからず付着する花粉もあります。今はお掃除機能付きのエアコンもありますが、花粉対策を徹底するためには、少なくとも月に1回程度はフィルターの洗浄を行っていただきたいですね」(岩崎さん)

岩崎さんによると、自分でエアコンフィルターを掃除する場合、掃除機で吸うよりも水洗いした方が効果的だそうです。

エアコンフィルター洗浄は、毛の柔らかいブラシがおすすめ

「フィルターに付着したホコリを、使い古しの歯ブラシなどで除去しながら水洗いする方も多いと思いますが、これには注意が必要です。歯ブラシは毛先が固くフィルターを傷つけてしまう場合があるので、できるだけ毛先が柔らかいブラシがおすすめです。均一ショップなどで販売されているお掃除グッズも非常に優秀ですよ」(岩崎さん)

エアコン内部の汚れを自分では取りきれない場合は、専門業者による清掃を

エアコン内部の汚れを自分で取りきれない場合はプロに相談
エアコン内部の汚れを自分で取りきれない場合はプロに相談(画像素材:AdobeStock)

定期的なフィルターのお手入れが大事だと分かっていても、つい放置してしまうこともありますよね。フィルターの掃除をしばらく行っていないと、フィルターはもちろんエアコン内部に、花粉を含む汚れがこびりついてしまうこともあるそうです。

「フィルターを洗っても汚れが取りきれない時は、専門業者へ依頼して内部を清掃してもらうのが効果的です」(岩崎さん)

専門業者に依頼する頻度や時期は、「少なくとも年1回、9~10月がおすすめです」と岩崎さん。秋口が良い理由について、湿気が多く稼働率も高い夏場はエアコン内部にダニやカビが発生しやすく、秋にそれらの死骸が内部に溜まるからだそうです。

「秋口にプロによる清掃をしておけば、年間を通じて快適に使用いただけるはずです。もちろん月に2回、ご自宅でフィルター洗浄をしていただく前提ですが」(岩崎さん)

「花粉を持ち込まない・広げない」気配りを

床掃除にモップを使用する場合はウェットタイプがおすすめ
床掃除にモップを使用する場合はウェットタイプがおすすめ(画像素材:AdobeStock)

しかし、花粉対策用に不織布フィルターを取り付けても、エアコン自体のお手入れを徹底していても、日常の行動で花粉を室内に広げてしまうと意味がないそうです。「エアコンを快適に使い続けるためにも、普段から花粉を広げないように、気を配ってほしいですね」と岩崎さんは続けます。

帰宅後は花粉をはらって室内へ

玄関に入る前に、髪や衣服についた花粉をはらってから室内へ入りましょう。

他の部屋の花粉も要注意

エアコンは吸引力も強いので、他の部屋に残留した花粉を取り込んでしまうこともあります。各部屋の掃除もこまめに行いましょう。

掃除は水拭きがおすすめ

紙パック式の掃除機のフィルターには花粉が付着します。掃除機のフィルターを清潔にしておかないと、排気される際に花粉が外へ出てしまうこともあります。花粉シーズンのお掃除は、ウェットシートタイプのワイパーを使用するなど、水拭きするのがおすすめです。

まとめ

エアコンの稼働により室内に花粉が漂ってしまう…そんな悪循環を防ぐために。普段のこまめなフィルター清掃やプロによる内部清掃、市販の不織布フィルターを利用するといった対策を徹底して、花粉シーズンに備えたいものですね。加えて、「室内に花粉を持ち込まない・広げない」という意識もお忘れなく。

〈取材協力〉
「カジタク」
運営:アクティア株式会社 品質管理グループ 岩崎 稔さん
ハウスクリーニングや家事代行サービスを提供する「カジタク」にて、清掃スタッフの研修の運営や、新商品の開発などに携わる。

(最終更新日:2022.03.10)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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