春に向けて引っ越しシーズンに入ります。特に3月末から4月頭にかけて、引っ越しが集中します。その理由は、新年度が始まるからというだけではないのです。新居への引っ越しで気をつけたい点を、いくつかまとめてみました。

引っ越しシーズン到来! 春に引っ越しが多い理由

この春はコロナ禍なので、転勤などの引っ越し件数は減るかもしれませんが、就職や就学などに伴う転居など、新年度に向けての引っ越しは例年のように一定のニーズがあるでしょう。

新年度に向けて引っ越しが多い理由は、もちろん4月から新居で新生活を始めたいという人が多いからです。住宅市場は、売買も賃貸も1月から4月が最も取引が活発になります。

こうした人の移動に加えて、新築分譲住宅独自の理由もあります。決算期が3月末である不動産分譲会社(デベロッパー)が多く、引き渡しを終えた物件が決算の対象になることから、3月中に竣工して引き渡しをする新築マンションが多いという事情もあるからです。

新築マンションの引っ越しで注意したい点

新築マンションの場合、引き渡しを受けてすぐに引っ越しをして、新生活に間に合わせたいと考える世帯が多く、同時期に引っ越しが集中します。これを「一斉入居」といいます。ある程度の戸数のある新築マンションであれば、短期間に引っ越しが集中するため、管理会社が特定の引っ越し会社を「幹事会社」に指定して、各入居者の引っ越しスケジュールを調整し、マンション全体で引っ越しの管理を行います。

全体の引っ越しを管理しないと、駐車場やそこに入る道路に引っ越しのトラックが渋滞したり、エレベーターの取り合いになったりと大混乱するばかりでなく、引っ越し会社が建物を傷つけてしまった場合にどの会社によるものかわからないといったトラブルも起こります。こうした混乱を避けるために幹事会社が全体の管理をするというわけです。

入居する側は、指定された幹事会社に引っ越しを依頼してもいいですし、自身で選んだ引っ越し会社に依頼して、幹事会社の調整に応じてもらうこともできます。

一斉入居の調整によって、入居する側はどんなことに注意すればよいのでしょう。
幹事会社が入居者全員の希望を聞いたうえで、引っ越し日や時間帯を決めます。希望日時が重複すると抽選などで決められます。つまり、自分が希望する日時に引っ越しができるとは限りません。余裕をもって引っ越し日時を検討しておく必要があるでしょう。

また、指定した時間枠のなかで引っ越しを終えてもらうために、幹事会社が最低必要作業員数を定める場合もあります。駐車場前の道路の状況などによっては、搬入するトラックのサイズに規制があるなど、さまざまな制限が設けられることも多いので、幹事会社以外に依頼した場合はその引っ越し会社が、こうした制限をよく理解して対応してもらう必要があります。

デメリットばかり感じるかもしれませんが、トラブルなく引っ越しするためのルールです。決められた時間枠でスムーズに引っ越しが終えられるというメリットもあるわけです。

一方、中古マンションの場合は同時に入居する世帯数が少ないので、特に制限なく引っ越しをすることができます。ただし、マンションの管理会社と引っ越し会社で、引っ越しに関する制限などを共有してもらい、想定外のことが起きて引っ越しが長時間になってしまった、ということのないように対応してもらいましょう。

引っ越し会社選びの3大ポイントは「料金」「日程」「丁寧さ」

引っ越しをスムーズに行うためには、引っ越し会社選びも重要になります。リクルートが全国の3,133人に実施した「引越し調査2021」では、引っ越し会社を選ぶときに重視したことを複数回答で聞いています。その結果を見ると、「引越し料金が安いこと」(71.5%)がダントツで、次いで「希望する日程での引越しができること」(49.8%)、「丁寧な引越し作業をしてくれること」(47.8%)が続きます。

つまり、半数の人が重視している3大ポイントが、「料金」「日程」「丁寧さ」だということが分かります。また、「口コミなどの評判がいいこと」(30.5%)も4位にランクインしており、実際利用した人の意見なども参考にしています。「料金」などは複数社に見積もりを取ることで比較できますが、「丁寧さ」は見積もりではわかりませんので、口コミを参考にしているということかもしれません。

リクルート「引越し調査2021」
出典:リクルート「引越し調査2021」

リクルートによると、週末などの休日や月末などの混雑する日を避けて引っ越しすること、引っ越しの開始時間を指定しない「フリー便」(引っ越し会社に開始時間を任せること)などを利用することなど、引っ越し会社の作業員やトラックに余裕があるときに引っ越しをすると、料金を安く抑えることができるということです。

コロナ禍の引っ越しの挨拶はどうする?

さて、引っ越しを終えた後、近隣のお宅に挨拶をしたほうがよいのでしょうか。筆者は、挨拶をしたほうが良いと考えます。

どういった家族が近隣に住んでいるのかが分かると、生活スタイルなどが想像できます。高齢夫婦の世帯であれば比較的静かに暮らし、夜は早く就寝することが想定できます。小さい子どものいる世帯であれば、日中子どもが家で遊ぶ可能性があります。共働き世帯であれば、夜遅くに帰宅するかもしれません。

音が聞こえても、子どもが一時的に飛び跳ねただけだと分かるのと、何の音かわからないでいるのとでは、感じ方も変わってきます。高齢夫婦が下階に住んでいるなら、深夜の帰宅時に音を立てないようにしようという気になります。こうしたことが、居住者間のトラブルを減らす効果を発揮することもあるのです。

とはいえ、コロナ禍では対面で挨拶することがためらわれます。インターホン越しに挨拶したり、郵便受けに挨拶状を入れたりということが考えられます。その際に「できるだけ注意しますが、子どもが騒ぐことも…」「帰宅が遅くなることも…」といったことを付け加えておくと良いでしょう。

引っ越しシーズンに引っ越しをすることが決まっているのであれば、早めに動いてさまざまな情報を集め、スムーズに引っ越しが終えられるようにしましょう。間違っても、新生活のスタートが引っ越しのトラブルで始まる、ということのないようにしたいものです。

執筆者:山本 久美子(住宅ジャーナリスト)

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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