家計再生コンサルタントとして多くの家庭の家計を再生してきた横山光昭さんに、コロナ禍で影響を受けた家計再生をお願いしました。家計管理の考え方、具体的なメソッドをレクチャーしていただく連載です。
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まずは投資する目的を明確にしよう

前回の「家計は貯金だけでは守れない⁉ 月3,000円で投資を始めるメリット」では、超低金利時代には、預貯金だけでは家計を守りきれないということを述べました。金利の高かったころは、銀行や郵便局にお金を預けているだけでもある程度の利息がついて、将来に向けた資産を築いていくこともできました。しかし、現在はそれだけでは十分ではないのです。わずかの資金からでもいいので、投資に取り組んでいくことが、将来への備えにつながります。

投資というと、ギャンブル的な要素が強いという印象を持っている人がいるかもしれません。しかし、投資といってもいろんなスタイルがあるので、リスクの高いものも低いものもあり、やり方次第でギャンブル的にもなれば資産形成の有効な手段にもなるのです。

投資に取り組む上で、最初にしなくてはならないのが「何のために投資をするのか?」を明確にすることです。この「目的を明確にする」というのは、投資に限らず、預貯金なども含めた将来的な資産形成にとって、最も重要なことといっても過言ではありません。

たとえば、「子供の将来のための教育資金を作りたい」という目的を設定したとすると、ここから「いつまでに」「いくら」という期間と金額が決まってきます。

この「期間」と「金額」が決まるということが、投資への第一歩です。

高校入学となる15歳までに、あるいは大学入学となる18歳までにという期限ができると、現在の子供の年齢を差し引けば、教育資金を作る「期間」が明らかになります。同様に、高校入学にかかる費用、大学入学にかかる費用の概算を出してみれば、目指すべき「金額」が割り出せます。

教育資金を作るのにすべて投資に頼る必要はないので、預貯金でいくら貯めて、不足する分を投資で築いていくという形にしていけばいいでしょう。

このように、「投資の目的」といっても特別なことと捉えるのではなく、将来的に準備しておくべき資産形成の目的と考えてかまいません。

教育資金のほかは、
・老後資金
・旅行資金
・独立開業資金
・移住資金
などが考えられます。

教育資金や老後資金などは期間が長くなりますが、旅行資金などは比較的短い期間で作ることになります。移住資金については、いつ移住したいのかによって期間が決まってきます。

投資の期間が長くなることは、実はリスクを下げることにつながります。それは、資金が必要となる時期が先のことなので、いっときの経済の好況不況のあおりを受けることなく、冷静な判断をしながら投資を続けられるからです。

金融商品の特徴を学ぼう

投資の対象となるものを「投資商品」といいます。投資商品はそれぞれリスクとリターンが異なり、投資のスタイルや期待する結果も違ってきます。

それぞれの特徴を説明していきます。

・株式

「投資」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、「株式投資(個別株投資)」でしょう。

株式とは、企業が事業資金を集めるための手段の一つで、出資をしてくれた人に発行する「証券」のことを言います。株を購入すると「株主」になり、利益の還元(配当)や、株主総会で議決する権利を得られます。配当は業績により分配されるものですから、必ずしも受け取れるものではありません。

株式の売買は証券取引所で行われています。投資家が株式を売買するときは、証券会社を利用します。株価はその株をほしい人が多ければ上がり、逆に売りたい人が多ければ下がります。ですから一般的に「株で儲けた!」というのは、株式を安く買って、それが値上がりしたときに売った差額で利益を得ることです。

しかし、市場にはプロの投資家や組織的に投資を行っているファンドという猛者たちもいるので、初心者がうまく儲けるのはなかなか難しいのが実情です。

一般的に、株式への投資はハイリスク・ハイリターンといわれています。

・債券

国や地方自治体、企業が資金を借りるために発行する「有価証券」のことです。

株式と大きく違うのは、借りたお金を返す期限が定められていて、期日が来ると満額が払い戻されるという点です。払い戻されるときには利子がついているので、債券に投資すると利息分が儲かることになります。国が発行しているのを「国債」、地方自治体は「地方債」、公共団体は「公共債」、企業が発行するものを「社債」といいます。

期日が来ると満額が払い戻されるので、債券への投資はローリスク・ローリターンとされています。国債は国が発行しているので、国がなくならない限りお金が戻ってきます。地方自治体が発行する公共債、地方債も比較的リスクが抑えられます。

一般企業が発行する社債は、満期までに問題がなく企業が存続していれば、国債、地方債などよりも多くの利子を受けられることが多いのですが、万が一その企業が倒産してしまった場合はお金が戻ってこない「倒産リスク」があります。

・投資信託

投資信託とは、投資をする人から集めたお金をまとめて1つの資金にし、運用の専門家が株式や債券などに投資して運用するものです。運用の成果は、投資額に応じて投資家に配分されます。運用中は「信託報酬」という手数料がかかりますが、1つの商品に数十から数千の銘柄が含まれているためリスクが分散されていて、初心者にとっては投資しやすい商品です。
株価などの指標に連動することを目指す「インデックスファンド」、指標を上回ることを目指す「アクティブファンド」があります。

この他にも投資商品はありますが、一般的なものを紹介しました。

繰り返しますが、投資といっても、上がるか下がるかわからないものにギャンブル的にお金を注ぎ込むのではありません。投資した金額が、どのくらいの期間でどのくらい増えていくかの見込みを立て、その予測のもとに取り組んでいくものです。

その見込みに使える指標が「利率」や「利回り」というものです。

利率とは、元本(預けた額)に対する利子の割合のことです。預貯金の利子を考えるとわかりやすいと思います。一般的には1年間の利率である「年利(率)」を使います。投資においても、債券では利率を参考にします。

利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことを指します。投資した金額に対してどのくらい儲かるかという指標です。
しかし、株式にしても投資信託にしても、どのくらい収益があるかは一定していません。そこで、ある一定期間にどのくらいの収益があったのかという実績に対する利回りを表した「平均利回り」を用いるのが一般的です。

ただし、平均利回りはあくまで過去の実績です。それが将来的に保証されるものではないことを、理解しておきましょう。

この中で投資初心者にオススメなものは、投資信託です。その中でも「インデックスファンド」がいいでしょう。インデックスは「指標」という意味ですが、経済の中で使われている指標と同じような値動きをするように金融商品が組み合わされている投資信託です。

インデックスの代表的な例としては、国内では「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」、米国では「NYダウ」、「S&P500」などがあります。これらの指標はニュースなどでも報じられているので、普段のニュースを見ていれば、投資しているインデックスファンドが値上がりしているのか値下がりしているのかわかるので安心です。

資産の攻めと守りを考える

家計を維持しながら資産を作るには、攻めと守りの意識が大切です。

日常生活を安心しながら送るには、銀行や郵便局に預ける預貯金(現金預金)に少なくとも生活費の7.5ヶ月分を維持しておくといいでしょう。自営業の方などは、2年分など持っていてもよいと思います。

一方で、将来的な資産を築いていくには、攻めの意識を持っていかなくてはなりません。それが投資に取り組むということです。

前回の「家計は貯金だけでは守れない⁉ 月3,000円で投資を始めるメリット」では、私が以前から提唱している「3,000円投資」を勧めました。

これは、毎月の家計から3,000円だけでも投資に回してみようという提案です。家庭によって収入や支出は異なりますが、3,000円程度であれば、外食を1回がまんしてみれば作ることができるので、なんとか捻出できる額ではないかと考えています。

少しの額からでも、とにかく投資に取り組んでみることが重要で、そのメリットが実感できれば徐々に預貯金と投資の額のバランスを調整していけばいいのです。

そこで、もう少し攻めと守りの意識に対する考えを進めてみましょう。

先ほど、投資初心者はインデックス型投資信託に投資するのがいいと述べましたが、資産全体の攻めと守りのバランスを考えてみると、もう少し攻めてもいいのではないかとも思うのです。

投資信託は、組み合わせる信託商品によってリスクとリターンが変わってきます。株式のみで構成されている投資信託を選ぶことで、より「増やす」を重視した攻めの投資にすることができます。

家計全体は預貯金などで守るとして、攻めの資金3,000円をすべて、投資信託の中ではハイリスク・ハイリターンの株式に回してもいいのではないかとも考えられます。

株式に投資をしても、投資資金がゼロになってしまうのは企業が倒産してしまった場合のみです。株式を市場に公開することを「上場」といいますが、それには企業としてしっかりしているかどうかの非常に厳格な審査があるので、上場企業が倒産する確率はとても低くなっています。ちなみに、東京商工リサーチによると、過去5年間の上場企業の倒産件数は2017年2件、2018年1件、2019年1件、2020年2件、2021年0件でした。

3,000円という抑えられた金額なら、多少の損害が出ても家計に大きく響くことはありませんから、すべてを攻めに使ってもいいでしょう。

この攻めと守りのバランスは、最初に説明した投資の目的、すなわち資産を作る期間と金額、そして始める年齢から導き出すことができます。

期間が短い場合、時間が与えてくれるリスク分散が難しくなるので、守りである預貯金が中心になります。しかし、作りたい金額に対して預金だけでは届かない場合は、ある程度リスクを覚悟して攻めのスタイルで投資をしなくてはなりません。
資産を作りたい期間が長ければ、無理してリスクを負うことはありませんから、預貯金と並行しながら投資をするローリスクの投資スタイルでもいいでしょう。

まとめ

投資はあくまで資産形成のための1つの手段。預貯金と併せて、将来的に必要な資金を作っていきましょう。どんな資金をいつまでにいくら作ればいいのかを決め、預貯金と投資で築いていく割合を考えれば、投資に取り組む期間と金額が割り出されます。儲かるか儲からないかというギャンブル的なものではなく、計画的な投資を実践してきましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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