都営新宿線は便利で暮らしやすい! 新宿周辺エリア勤務の人に特におすすめの穴場3駅

東京都新宿区にある新宿駅と千葉県市川市にある本八幡駅を結ぶ都営新宿線。京王電鉄の運営する京王線や京王新線とも相互直通運転を行っており、橋本や高尾山口につながる首都圏の西側にもつながります。市ヶ谷駅、九段下駅、神保町駅など山手線の内側へのアクセスが良いのも魅力。通勤利便性が高く、江東区や江戸川区の沿線の各駅には、大型団地も整備され居住エリアとしても発展しています。今回は、都営新宿線の特徴と筆者おすすめの3つの街について紹介します。

都営新宿線の沿線図
出典:東京都交通局 都営新宿線の沿線図

都心直結で公園などの自然が沿線に充実

都営新宿線は、1978年の岩本町~東大島間の開業から始まり1989年に全区間が開通しています。沿線の特徴は、都心へ短時間・ダイレクトに結ばれ、多くの駅で乗り換えが可能なこと。神保町駅では、東京メトロ三田線・半蔵門線に、市ヶ谷駅では、東京メトロ有楽町線・南北線、JR線と結ばれます。職住近接を求める人にとって、通勤利便性の高さは都営新宿線沿線で暮らす大きな魅力となっています。

東京スカイツリーと猿江恩賜公園
東京スカイツリーと猿江恩賜公園の紅葉(画像素材:PIXTA)

また、大規模な団地が多いのも都営新宿線の特徴です。西大島から東大島などの各駅には、UR都市機構や区営住宅などの賃貸住宅が数多くつくられ、公園や教育関連施設、商店なども街づくりの一環として整備されています。都営新宿線は、隅田川、荒川、江戸川といった河川を越えて延びており、水辺などの自然が豊かなのも特徴。大きな公園も多く、猿江恩賜公園(住吉駅)、大島小松川公園(東大島駅)、篠崎公園(篠崎駅)など身近に子どもがのびのびと遊べる憩いのスポットが豊富であることも、都営新宿線沿線の街の魅力となっています。なお東大島駅が、江東区と江戸川区の区境にあたります。

大島小松川公園
大島小松川公園とマンション群(画像素材:PIXTA)

2019年の合計特殊出生率によれば、江東区は1.22人で東京23区内7位、江戸川区は1.32人で同3位となっています。自然豊かな都営新宿線沿線は子育てしやすく、子どもと一緒に暮らしやすい場所と言えるかもしれません。なお、東京都発表の2021年4月1日時点の待機児童数は、江東区は4人、江戸川区は49人でともに前年よりも大きく改善しています。

総武線と東西線の間を走り、価格帯は駅までの距離によってさまざま

都営新宿線は、都心直結の沿線ではありますが住宅価格は手の届きやすいケースも。都営新宿線はJR総武線と東京メトロ東西線の間を通っており、駅から近い立地の住宅もあれば、バス便エリアのところもあり、価格帯の幅が広い傾向にあります。3LDKタイプが6,000万円を超えるマンションもあれば、4,000万円台で手が届く物件も見受けられます。

駅から離れた場所でも、江東区の砂町銀座商店街のように商店街が近くにあるなど、生活関連施設が充実しているエリアもあります。また、平坦な地勢なので自転車を利用して通勤や通学する人も目立ちます。

小名木川
小名木川と北砂5丁目団地(画像素材:PIXTA)

行政区によって街の風景も異なり、住吉駅から東大島駅までのエリアは、URなどの賃貸マンションに加え、大規模分譲マンションなどがあり、スケールの大きな住宅が目立ちます。

一方で、船堀駅から篠崎駅までのエリアは、マンションに加え戸建ての供給も目立ちます。江戸川区内の都営新宿線沿いの駅周辺部は、土地区画整理事業によって街並みが整備されたところが多く、マンションだけでなく広い敷地の戸建て住宅も多く見られます。

一之江駅前
一之江駅前(画像素材:PIXTA)

また始発駅でもある千葉県市川市の本八幡駅は、駅前にはタワーマンションが建ち並び繁華性が高く、都営新宿線のほかの駅と印象が異なります。駅周辺部は、広範囲が商業地域で商業ビルも目立ちます。交通利便性の高さから、駅前のタワーマンションは中古価格が大きく上昇しています。

本八幡駅前
本八幡駅前(筆者撮影)

なお都営新宿線は、平日や休日の日中に急行が走っています。急行停車駅は、新宿方面から順に新宿、市ヶ谷、神保町、馬喰横山、森下、大島、船堀、本八幡です。朝の通勤時間帯は、各駅に停車するダイヤとなっています。そのため、通勤時間帯は都心に近い駅のほうが当然ながら通勤時間は短くなります。JR山手線とは、岩本町駅で乗り換え可能です。よりアクセスの良い立地の住宅を求めるなら、山手線に近い立地のマンションをおすすめします。

また、都営新宿線は東方面への相互乗り入れがないため、JR総武線や東京メトロ東西線と比べ混雑率が低くなっています。国交省鉄道局が発表する「都市鉄道の混雑率調査結果」によれば、コロナ禍前の2019年の都営新宿線の最混雑区間の混雑率は、西大島―住吉間の159%。これは、JR総武線(錦糸町―両国間 194%)や東京メトロ東西線(木場―門前仲町間 199%)と比べ低い数値です(2020年は3駅とも大幅に低下)。

続いて、筆者がおすすめする都営新宿線沿線の街を3つ紹介します。

半蔵門線も利用可能 猿江恩賜公園と運河が広がる水辺の街・住吉

小名木川にかかる新高橋
小名木川にかかる新高橋より新扇橋方面を望む(画像素材:PIXTA)

まず、一つ目は住吉駅です。住吉駅は都営新宿線と東京メトロ半蔵門線が利用できるターミナル駅です。住吉の魅力は、風景の美しさ。小名木川や横十間川といった江戸時代につくられた運河があり、水辺空間が整備されています。横十間川沿いには、猿江恩賜公園があり、日本庭園や芝生広場、冒険広場といったオープンスペースに野球場やテニスコートも。子どもが遊べるスポットも豊富。家族で楽しめる憩いのスポットになっています。

また、生活関連施設も充実しています。ライフ深川猿江店、ホームセンターの島忠 江東猿江店、少し足を伸ばせば、大型商業施設のアリオ北砂も生活圏。また、住吉メディカルモールなどの医療施設もあり、カフェなどのくつろぎの場も駅周辺に豊富にあります。東京メトロ半蔵門線利用で錦糸町に1駅で行けるので、オフタイムの買い物なども便利なロケーションと言えるでしょう。

住吉周辺は、水辺の倉庫跡地などがマンションになるケースがあり、小名木川沿いなどに大規模な分譲マンションが誕生しています。水辺空間が楽しめる共用施設を設けるマンションもあります。新築マンション価格は、交通利便性の高さから上昇傾向にあり、3LDKタイプなら6,000万円台~7,000万円台の価格帯から分譲されています。また、中古マンションストックも豊富なエリアなので、新築と中古マンションを比べながら検討するのも良いかもしれません。

荒川沿いの公園がとにかく広い 東大島はのびのび遊べる街

2つ目のおすすめの街は、東大島駅です。旧中川の上に駅のホームがあり、東が江戸川区、西が江東区となっています。駅周辺には大規模な団地がいくつもあり、公園などと一体で街が整備されています。

防災市街地再開発事業で誕生した大島小松川公園は、公園面積24万9,282.77平方メートルと広大。スポーツ施設を中心としたスポーツ広場など5つのブロックに分かれ、アスレチック広場やバーベキュー広場もあり、さまざまな楽しみ方ができます。また、災害時には20万人の避難場所となる防災公園でもあります。

東大島駅前
東大島駅前(画像素材:PIXTA)

公園内には、野球場やテニスコートがあるほか、ソメイヨシノなど多くの樹木や草花が植えられており、地域の憩いのスポットになっています。外周が790メートルある芝生が広がる自由の広場は、大きな空が広がりとても開放的。近くには、旧中川や荒川といった河川もあり、こうした豊かな自然は子どもの好奇心を刺激し、健やかな成長を育む手助けになりそうです。

大島小松川公園の自由の広場
大島小松川公園の自由の広場(筆者撮影)

東大島は開発がすでに進んでおり、中古マンションの流通が主流。URや住宅供給公社の分譲マンションも多く、築年数もさまざまです。ファミリー向けのマンションを中心に供給されており、70平方メートル以上の広い間取りのマンションが多いのも特徴です。価格帯は、築10年以内のものは5,000万円台以上が主流ですが、築年数の古いものなら3,000万円前後の3LDKも流通しています。選択肢が豊富なのも、東大島周辺でマンションを探すメリットです。

大島小松川公園の桜
大島小松川公園の桜(画像素材:PIXTA)

将来的には区役所も移転? 生活が便利でレジャースポットが豊富な船堀

3つ目のおすすめは、船堀駅です。船堀駅は、荒川と中川を越えた最初の駅で、駅の側を小岩方面と西葛西方面を結ぶ船堀街道が通っており、小岩駅と船堀駅の間には江戸川区役所があります。船堀駅前にある江戸川区の複合文化施設であるタワーホール船堀には展望台が設けられており、イベント会場やコンサート会場、映画館なども入っています。

江戸川区では、現庁舎の老朽化にともない区役所の場所を船堀駅前に移転する構想があり、その候補地がタワーホール船堀の北側になっています。移転が実現すれば、街の利便性はさらに高まりそうです。

タワーホール船堀と船堀駅前
タワーホール船堀と船堀駅前(画像素材:PIXTA)

船堀駅の魅力は、都営新宿線の中では比較的生活関連施設が充実していること。マンションなどの住宅が多く、住吉-篠崎間では船堀駅の乗降客数が最も多くなっています。駅前には、クリニックやカフェ&レストランなどが入る複合商業施設があり、イオンフードスタイル船堀店やいなげや江戸川船堀店などのスーパーも点在します。

また、船堀スポーツ公園や一之江境川親水公園、江戸川区自然動物園の入る行船公園などのレジャースポットにもアクセスしやすいエリアです。便利な日常とオフタイムのレジャーを求めるファミリー層に暮らしやすい街と言えるでしょう。

行船公園内にある平成庭園・源心庵
行船公園内にある平成庭園・源心庵(画像素材:PIXTA)

船堀駅周辺はマンションの供給が目立ちます。価格は、3LDKタイプが5,000万円台から購入可能。通勤アクセスを考えると、手が届きやすいエリアです。一之江駅や瑞江駅、篠崎駅も街の雰囲気は似ているので、沿線で比較検討するのも良いかもしれません。

交通利便性が良好で、自然や公園も多い都営新宿線ですが、留意したいのは水害リスクです。スーパー堤防のある一部の場所を除いて、荒川が氾濫した場合に多くの地域が浸水すると予測されています。場所によっては、約10メートルの3・4階相当まで浸水する可能性があります。事前にハザードマップをよく確認しましょう。

沿線の多くはかつての農村で、歴史ある寺社も各所にあります。また、旧中川や小名木川は、歌川広重が名所江戸百景でも描いたように江戸の頃から風光明媚な場所だったようです。そうした歴史を受け継ぎつつ、さらに便利に発展している都営新宿線沿線の街。交通の利便性と落ち着いた暮らしを求める家族におすすめしたい沿線です。

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