大学にかかる費用はいくら? 有名大学の実例を比較して解説

お子さんが大きくなってくると大学進学が視野に入ってきます。できる限りわが子の希望をかなえたいと思う一方で、気になるのが費用面です。

大学にかかる費用には、学費以外にどんなものがあるのでしょうか。また、実際にはどれほどの出費になるのでしょうか。

この記事では、有名大学の学費の一例や統計上の数字を紹介。奨学金や教育ローンなどの活用法についても解説します。

大学にかかる費用には何がある?

まずは、大学進学に際してかかる費用について、主なものを紹介します。

受験料

まずは受験料です。大学にかかる費用を一般的に「学費」と呼びますが、この受験料は学費には含まれていません。しかし、大学進学には必須となる費用なので、予算に含めておく必要があります。

たとえば、大学入学共通テストの受験料(検定料)は、3教科以上で18,000円。2教科以下で15,000円と、科目数によって費用が異なります。

また、受験料は国公立よりも私立が高い傾向にあります。受験する大学が増えればそれだけ受験料がかさむことになるので、お子さんの希望をあらかじめ聞いておきましょう。

入学金

入学金
学費でまず念頭に浮かぶのが入学金(画像素材:PIXTA)

大学に合格し、入学することが決まったら、次にかかるのは入学金です。多くの大学では、入学手続きの際、前期分の学費とともに学費を納入します。

複数の大学を併願していた場合、いわゆる「すべりどめ」への入学金の支払い期限が、本命大学の合格発表より前に定められているパターンもあるでしょう。本命大学が不合格だったときに「すべりどめ」への進学を希望するなら、入学金を先に納めておく必要があります。

入学金納入後に本命大学の合格がわかっても、すでに支払った別の大学の入学金は戻らないことがあるので注意が必要です。

授業料

授業料は、大学で教育を受ける対価として支払うべき費用を指します。学費と聞けば授業料をまず思い浮かべるという人も多いでしょう。

授業料は一般的に前期・後期に納付の時期が分かれています。前期分の支払いを4月、後期分を9~10月としている大学がほとんどです。

施設設備費

学内の施設・設備の利用料が施設設備費です。どの大学でもほぼ共通して発生するものの、学部によって差が出ることもあります。

たとえば、講義が主で実験や実習が少ない文系の学部では、施設設備費が低めです。対して、医学部や芸術系など特殊な設備を必要とする学部の場合、施設設備費は文系学部より高くなります。

教科書代

教科書代
大学の教科書代は意外と高額(画像素材:PIXTA)

学費のなかでも意外と見落とされがちなのが教科書代です。履修科目によって必要な教材が変わるため、授業料とは別に一人ひとりが用意しなければなりません。

教科書代は大学や学部によってさまざま。専門書となると高額なものも多く、高校の教科書代よりも費用がかさむ場合もあります。

また、ノートパソコンの必携化を進める大学も増えています。授業を円滑に行うための推奨スペックが示されることも多いので、新たに購入する場合はあらかじめ予算に含めておきましょう。

大学に支払うもの以外の費用

大学に支払う以外に必要な費用も押さえておきましょう。まずは通学にかかる交通費。一回にかかる費用は少額でも、毎日通うとひと月当たり万単位になることもめずらしくありません。

また、大学近くのアパートやマンションを借りる場合には家賃や光熱費、食費などが別途かかります。さらに、大学でとる食事や嗜好品、保険・衛生費などの基本的な生活費用は、実家・1人暮らしを問わず必要です。

国公立と私立の差

国公立と私立で、大学にかかる費用に開きが出ることはよく知られています。ここでは、具体的にどれくらいの差になるのか統計から見てみましょう。

まずは国立大学。国立大学の学費は入学金282,000円、年間授業料535,800円の標準額が法令で定められています。また、各大学の裁量によって標準額の20%までは増額できる決まりです。

次に、各都道府県などが運営する公立大学。公立大学は、入学者がその地域の出身者かどうかで入学金が変わる場合もあります。

公立大学にかかる費用の平均額は入学金228,613円(地域内)、391,305円(地域外)。授業料の平均額は536,363円です。

出典: 2021年度学生納付金調査結果

私立大学にかかる費用の平均は以下の通りです。

私立大学にかかる費用の平均
出典:文部科学省 平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について

有名私立大学の学費

ここで有名私立大学の学費を比較してみましょう。同じ大学でも学部によって学費が異なるので、各大学から法学部の学費を紹介します。

有名私立大学の学費

早稲田大学

まずは早稲田大学です。2022年度における法学部の費用を見てみましょう。

入学金 200,000円
授業料 960,000円(初年度)
その他 10,700円(初年度)

「その他」の内訳は学生読書室図書費、学会入会金、学会会費、学生健康増進互助会費などです。

出典:早稲田大学 入学金・学費・諸会費

慶応義塾大学

続いては慶應義塾大学。2022年度の法学部にかかる費用は以下の通りです。

入学金 200,000円
授業料 890,000円
その他 273,350円

「その他」の内訳には在籍基本料、施設設備費などが含まれます。

出典:慶應義塾 2022年度学費について

明治大学

明治大学からは、2021年度における法学部の費用を例に挙げてみましょう。

入学金 200,000円
授業料 876,000円
その他 232,300円

「その他」の内訳には教育充実料、実習料、学生健康保険互助組合費、父母会費、法学会費が含まれます。

出典:明治大学 入学金・学費

日本大学

最後に紹介するのは日本大学です。平成30年度以降に法学部へ入学する場合、学費は以下のようになります。

入学金 260,000円
授業料 810,000円
その他 220,000円

「その他」の内訳は、施設設備資金、後援会費、校友会費(準会員)です。

出典:日本大学法学部 学費について

学費が準備できない? そんなときは

ここまで紹介したことからもわかる通り、大学卒業までにかかる費用は国立大学でも総額で数百万円にのぼります。生活費からの捻出が難しい場合には、どのような手段で工面すればよいのでしょうか。

奨学金を利用

まず挙げられるのが奨学金の利用です。

代表的なのは、奨学金受給者の約9割が利用する日本学生支援機構奨学金。返還義務のない給付奨学金に加え、第一種奨学金(貸与型:無利息)、第二種奨学金(貸与型:利息有)に分かれています。申込者の経済的事情や成績から審査が行われ、各種の給付が決定される仕組みです。

日本学生支援機構奨学金のほかにも、自治体がその地域住民に対して給付する奨学金や、民間営利団体が行うもの、各大学が独自に行うものなどさまざまな種類があります。

奨学金は貸与の条件や返還に関するルールがそれぞれ異なります。

たとえば、新聞社による「新聞奨学金」は新聞配達などの労働に対する対価として給付されるのが特徴。ハードなスケジュールの生活を送ることになるものの、返還義務がないのがメリットです。

「国の教育ローン」を利用

「国の教育ローン」を利用
低金利の「国の教育ローン」を利用するという手も(画像素材:PIXTA)

「国の教育ローン」とは、「日本公庫」の呼び名でも知られる日本政策金融公庫による教育一般貸付の名称です。大学・大学院のほかにも高校や高専、専門学校や予備校など幅広い教育機関を対象にしています。

「国の教育ローン」は、固定金利1.65%、最長15年の返済期間が基本的なシステム。ただし、家庭の状況に応じて金利・返済期間・保証料の優遇があるため、それぞれの経済事情に合わせた返済計画を立てやすいのがメリットです。

また、日本学生支援機構奨学金との併用も可能。さらには世帯年収が高くても子どもの人数によっては給付が受けられるなど、システムの柔軟さも特徴です。

民間の教育ローンを利用

教育ローンには、民間の団体が取り扱っているものもあります。各金融機関が提供する教育ローンを利用して、学費を準備するのも一つの方法です。

金融機関が提供する教育ローンは用途が幅広く、借入限度額も高い傾向にあります。このため、医学部やロースクールなど学費が特に高い進学先を選んでも、しっかりと費用をまかなえます。

また、有担保・無担保や固定金利・変動金利など選択肢が広いのも特徴です。上手に利用すれば低金利での借り入れがかないます。

さらに、民間の教育ローンのなかには大学と提携しているものもあります。金利が低く、大学によっては在学中に発生する利息を負担してくれるところがあるのもポイントです。

まとめ

子どもの大学進学は、ライフイベントのなかでもまとまったお金が必要になるもの。今回紹介した内容をふまえ、そのときまでしっかり貯金・資産形成を行いましょう。

また、状況に応じて奨学金、教育ローンを利用するのもおすすめです。それぞれの利用条件や返済についてじっくり比較検討し、最適なものを選んでみてください。

(最終更新日:2022.03.07)
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