家計再生コンサルタントとして多くの家庭の家計を再生してきた横山光昭さんに、コロナ禍で影響を受けた家計再生をお願いしました。家計管理の考え方、具体的なメソッドをレクチャーしていただく連載です。
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貯金だけでは将来に備えることができない

前回の「 『マネー情弱』に陥る前に学んで欲しい3つのワードとは?」で学んだように、現在は超低金利時代といわれています。大手銀行の預金金利は普通預金で年0.001%、定期預金でも0.002%です(2021年12月時点)。いくら銀行にお金を預けていても増えないどころか、振り込みやATMで現金を引き出す際に手数料を取られることもあり、銀行を使えば使うほどお金が減っていってしまうような時代です。

そんな状況にありながら、かつての「貯金こそが美徳」という価値観から抜け出せずにいると、将来に向けた備えができないままになってしまいます。

そこで私が提案してきたのが「3,000円投資」です。月に3,000円という額からでいいので、投資を始めてみようと呼びかけてきました。投資といっても、ギャンブル的に大もうけを目指すわけではありません。リスクをしっかり理解したうえで、それを上回るリターンを得られる投資に取り組みます。きちんと知識をもって投資にチャレンジすることこそ、これからの資産形成の常識になってきます。

預貯金は、いってみれば「眠っている資産」です。それをたたき起こして、「お金にも働いてもらう」ことこそが投資なのです。人が働くだけでなく、お金も一緒に働いてもらって、将来の資産を守りつつ作っていきます。

家計は、守るだけでは守れない

私は、投資にチャレンジするためには「最低7.5ヶ月分の生活費を預貯金してから」と提唱しています。仮に生活費が30万円の家庭なら、

30万円×7.5ヶ月=225万円

が預貯金の最低限のレベルとなります。

一方で、投資においては時間こそが最大の味方とも伝えています。投資は、始めるのが早ければ早いほどいい、という側面もあるからです。

そこで、最低限の預貯金額に到達するまで待たなくとも、仮に月3万円の貯蓄をしている家庭では、1割だけでも投資に回してみるというのが「3,000円投資」という提案なのです。

預貯金で目の前のピンチに対し備え、投資で将来の不安に対して備えていくという考え方です。3,000円だけの投資では大した資産とならないのでは? と思う人も多いかもしれません。しかし、長期視点で見れば、貯金と投資を続けていくことでそれなりの資産を作ることができます。

ある人の投資スタイルで試算をしてみます。

インデックス型の投資信託を積み立てで毎月3,000円購入します。インデックス型の投資信託は「市場の動きを表す指数(インデックス)」と同じ値動きをすることを目指して運用されます。値動きなども比較的わかりやすく、初心者向きの金融商品です。

利回りは3%を目指していきました。預貯金は毎月1万円です。金利は大手銀行の普通預金の0.001%で計算しています。

毎月1万円貯蓄、3,000円投資した場合の試算
※1年複利、税引前で計算( はじめての人のための3000円投資生活 横山光昭著_アスコム刊より引用)

毎月1万円の預貯金だけをしていた場合は、10年で120万円たまります。その際の利息はわずか60円です。

毎月3,000円の投資をしていった場合、投資額は10年で36万円、運用益が約6万円、トータルで約42万円の資産となります。

結果として、預貯金に比べて投資に取り組んだほうが、1,000倍の利益が上がっています。もちろん、投資の結果はこの試算通りにならない場合もあります。しかし、毎月1万3,000円で預貯金と投資に取り組んでいった結果、10年で約162万円の資産を作っていけることがわかりました。

投資のリスクを理解しておく

投資にはメリットだけでなく、リスクもあります。リスクをしっかりと理解したうえで取り組まなくてはなりません。

「リターン」の振れ幅がある

一般的に「リスク」といっても、考え方によってその危険性が変わってきます。投資においてのリスクとは、投資によって収益が得られることもあれば損失が出ることもあり、投資の成果である「リターン」が定まっていないということです。

「リスク」と「リターン」は比例する

投資においては、リスクとリターンは比例の関係にあります。リスクが大きければ期待できるリターンも大きく(ハイリスク・ハイリターン)、リスクが低い投資はリターンも低い(ローリスク・ローリターン)のが一般的です。

投資するものによってリスクが変わる

投資の対象となるものは、株式や投資信託、債権など、金融商品と呼ばれます。実は、預貯金も金融商品の1つです。それぞれリスクが異なってきます。

投資するものによってリスクが変わる

具体的なリスクとしては以下の5つが挙げられます。

・信用リスク
株式などは、投資した先の会社の経営が破綻してしまえば、価値がゼロになってしまうこともある。

・価格変動リスク
価格が変動する金融商品(株式や投資信託など)は、投資した金額よりも受け取れる金額が上がることもあれば下がってしまうこともある。

・為替リスク
外国の金融商品に投資する場合は、その価格の変動の他に通貨の為替が変動して利益・損失に影響する。

・流動性リスク
市場で取り引きされる株式などは、条件が合わなければ売りたいときに売却できないこともある。

・地政学的リスク
世界の経済はつながっているので、どこかの地域で政情不安や紛争などが起きて特定の商品の価格を変動させることもある。

こうして見てみると「投資にはたくさんリスクがあるなぁ」と思えるかもしれませんが、あくまで可能性としてのものなので、これらを知識として理解しておけば必要以上に恐れることはありません。

投資というと、大きな資金で頻繁に取り引きして利益を目指していくようなイメージがあるかもしれませんが、これは「短期投資」というスタイルで、リスクはそれなりに大きくなります。

しかし、10年や20年といった長いスパンで投資していく、いわゆる「長期投資」であれば、リスクも少なくなっていきます。ときどき"株価暴落”といったニュースを目にすることがありますが、一時的にそうした状況に影響を受けても、長期投資であれば長い期間で利益を取り戻していくことができます。

そして、私が初心者におすすめするのが、長期投資でのインデックス型投資信託への投資です。これを積み立てで毎月3,000円ずつ購入していけば、難しい知識がなくても投資への第一歩を踏み出せます。

投資に取り組むメリットは他にも

投資のメリットは、預貯金よりも高い利回り(利息も含めた総合的なリターンのこと)で資産を運用していけることです。3,000円投資では、それ以外にも良い点があります。

・家計に無理なく投資できる

まずは、3,000円という額は比較的少額なので、家計に無理をかけないということです。貯蓄していた分から少し投資に回していけばOKです。

・初めてでも安心して投資に取り組める

投資するインデックス型投資信託はローリスク・ローリターンのものなので、投資した資金がまったくゼロになってしまうというリスクはありません。

・社会の動きに敏感になる

自分が投資をしていると、どのくらいの利益(損失)が出ているかが気になります。それは景気が良ければ利益が出て、悪ければ損失が出るというように社会の動きに連動している場合も多く、自然と社会情勢に敏感になります。

・より節約のモチベーションが上がる

投資を始めた人の多くが、節約できた分を投資に回していこうという気持ちになるようです。投資をしていることで、家計の節約に対するモチベーションも上がってきます。

まとめ

投資に取り組むことで、社会や経済の動きに関心が出てきて、将来的な予測や流れにいち早く気付くこともできるようになります。単に資産を増やしていくというだけでなく、時代の変化にも対応できるようになるのが、投資のメリットの別な側面でもあるかもしれません。

家計に無理のない範囲で、楽しく節約&貯蓄しながら投資生活を送れるように取り組んでみましょう。

参考書籍表紙画像
参考書籍『貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス』横山光昭著(アスコム刊)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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