民間調査機関の東京カンテイは、毎年マンションの年収倍率に関する調査をまとめて公表しています。70平方メートル換算のマンション価格を、その都道府県の平均年収の何倍で購入できるかを計算、都道府県別にまとめています。その年収倍率、新築、中古ともに一番高いのは東京都ですが、2位には意外な府県があがっています。

東京都の新築マンション年収倍率は13.40倍

東京カンテイによると、2020年の新築マンション年収倍率は、図表1にあるように全国平均で8.41倍でした。70平方メートル換算の平均価格は3,894万円で、平均年収は463万円でした。19年の年収倍率は8.19倍だったので、20年は0.22ポイント上昇しています。

全国的に新築マンション価格が高騰する一方、年収はさほど上がっていないので、年収倍率が高まり、平均的な会社員ではかなり無理をしないと買えなくなっているのが現実ではないでしょうか。

47都道府県のうち、最も年収倍率が高かったのは、言うまでもなく東京都です。70平方メートル換算価格は7,989万円で、平均年収は596万円なので、年収倍率は13.40倍です。19年の13.26倍から0.14ポイントのアップです。一般的には、年収の5倍から6倍程度が、ある程度ゆとりをもって購入できる水準といわれていますから、その2倍以上の年収倍率です。

図表1 新築マンションの年収倍率
資料:株式会社東京カンテイ「2020年新築マンション年収倍率」

新築マンションでは京都府が11.34倍の2位に

図表1の順位みると、最も年収倍率が高い東京都の順位は46位となっています。買いにくさを示す指標ですから、年収倍率が高いほど順位が低くなっているわけです。
(2020年には青森県で新築マンションの分譲がなかったため、全46都道府県での比較となっているようです。)

新築マンションの年収倍率の2位はどこでしょうか。価格の高さなどから考えれば、神奈川県や大阪府などがまず思い浮かびますが、そうではありません。実は京都府が11.34倍で東京都に次ぐ高さになっています。70平方メートル換算価格は4,969万円で、神奈川県の5,905万円、大阪府の5,208万円、埼玉県の5,093万円などに比べると安いのですが、平均年収が438万円とさほど高くないため、年収倍率が高くなっているようです。

京都府でのマンションの分譲は京都市やその周辺になりますが、年収は日本海沿岸の地方も含んだ平均なので、こうした結果につながっているのではないでしょうか。

年収倍率が低い地域への移住もあり?

反対に、新築マンションの年収倍率が一番低いのはどこでしょうか?

それは、年収倍率5.33倍の香川県でした。新築マンションの70平方メートル換算価格の平均は2,543万円で、平均年収は477万円でした。東京の年収倍率13.40の2.5分の1で手に入る計算です。

年収が一番高い東京都の平均年収596万円で、香川県の2,543万円のマンションを買うとすれば、年収倍率は4.27倍にダウンします。

いまなら、東京23区に在住または勤務する人が東京圏外に移住し起業や就業等を行う場合には、最大100万円(単身の場合は60万円)の補助金が出る移住支援金制度があります。さらに、地域の課題解決に役立つ社会的事業を新たに起業するときには、最大200万円を助成する地方創生起業支援事業も実施されています。合わせて300万円になるので、香川県のような年収倍率の低いエリアに移住して、マンションを取得するチャンスではないでしょうか。

中古マンションの平均年収倍率は5.92倍

年収倍率調査は新築マンションだけではなく、中古マンションも対象となっています。築10年の中古マンションの70平方メートル換算の価格を、年収の何倍で購入できるかを計算して、都道府県別のランキングを作成しています。その結果のダイジェストが図表2です。

全国平均をみると、70平方メートル換算価格が2,735万円に対して、平均年収が462万円なので、年収倍率は5.92倍です。19年の5.52倍から0.40ポイントのアップです。

新築マンションの前年比ポイントアップは0.22ポイントでしたから、中古のほうが価格上昇率が高く、年収倍率のアップ幅が大きかったことを意味します。とはいえ、新築の年収倍率は8.41倍でしたから、中古のほうがかなり買いやすいレベルにあるのは言うまでもありません。

図表2 築10年中古マンションの年収倍率
資料:株式会社東京カンテイ「2020年中古マンション年収倍率」

中古マンション年収倍率が東京に次ぐのは沖縄

都道府県別にみて、一番年収倍率が高いのは新築と同様に東京都で、年収倍率11.50倍です。年収596万円に対して、70平方メートル換算価格は6,853万円でした。19年は10.96倍だったので、0.54ポイントもアップしたわけで、東京都での中古マンションの買いにくさが一段と強まった結果になっています。

では、東京都に次いで年収倍率が高いのはどこでしょう。京都府でも、神奈川県でも、大阪府でもなく、実は沖縄県なのです。

沖縄県の70平方メートル換算価格は3,706万円で、京都府の4,148万円、大阪府の3,988万円、神奈川県の3,811万円より安いのですが、埼玉県、千葉県、また兵庫県などより高い水準です。

沖縄県は温暖な気候や風光明媚(めいび)な環境などから、大都市圏からの移住者が増加する一方、コロナ禍前には、中国、韓国、東南アジアなどの観光客でにぎわい、マンションを取得する人が増えました。そのため、中古マンションが大都市圏並みのレベルまで大幅に上昇しました。

それでいて平均年収は387万円と400万円を切っているため、年収倍率が全国で2番目に高くなってしまっています。
実際、沖縄県の若い世代からは、「とても地元の住民が買える価格ではない」「買えるのは一部の住民か大都市圏の人たち」という声も聞こえてきます。

中古マンション年収倍率が一番低いのは山口県

中古マンションの年収倍率が最も低いのは山口県の3.95倍です。価格は1,845万円と2,000万円を切っており、平均年収は467万円でした。19年の3.96倍から0.01ポイントだけ下がっています。山口県の年収倍率が一番低いのはこれで2年連続になります。

新築マンションで最も年収倍率が低かった香川県の中古マンションの年収倍率は4.51倍で、低い順に数えて5番目でした。

全国的にみると、マンション価格の上昇が続き、新築にしろ、中古にしろ、年々買いにくくなっていますが、全国に目を向けるとまだまだ買いやすいエリアはあります。たとえば、関東でも、茨城県、栃木県、群馬県などの北関東は東京都や神奈川県に比べて年収倍率はかなり低くなっています。

コロナ禍が続くいま、職種によっては在宅勤務が定着いるため、本社からかなり離れた場所で住まいを求め、リモートで仕事を続ける人も増えつつあります。ニューノーマル時代のライフスタイルとして、郊外や地方への移住などを考えるもいいのではないでしょうか。

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