プレハブとは、工場で部材を製作し、現場での作業を極力減らした建築工法のことをいいます。「プレハブ」という言葉は耳にするも、どのようなものかよく知らない人もいるのではないでしょうか。この記事では、プレハブの歴史や種類などについて詳しく解説します。

プレハブとは

プレハブとは、建築工法の1つで、プレファブリケーション(prefabrication)を略した言葉です。建築に必要な部材をあらかじめ工場で作っておき、現場では加工を行わずに組み立てるだけでよいため、そのほかの建築方法よりも短期間で完成します。

プレハブ工法で作られた建物や住宅もプレハブと呼ばれますが、正しくはプレファブリケイテッドハウス(前もって工場で制作されたの意味)です。

プレハブ工法は短期間だけ使用して解体する建物や施設に向いているため、一時的に利用する建築現場での事務所や仮店舗、さらに臨時のワクチン接種会場などでも活躍しています。また、最近では住宅用途として、恒久的に使われるプレハブ住宅もあります。

プレハブの起源

プレハブの起源には諸説ありますが、18世紀の植民地時代に始まったのではないかといわれています。当時は自国で木材を製造し植民地で組み立てていました。1800年代にはプレハブ工法の農舎や住宅が普及していきます。アメリカのゴールドラッシュの頃には、開拓者向けに短期間で宿泊施設を建設できるよう住宅キットが製造されました。

日本では、戦後の経済成長期における都市部への人口集中により、住宅の供給が追いつかないという事情が始まりだといわれています。木造住宅用の建材や建設する人員の不足を補うため、鉄骨を利用して短期間で建築できるプレハブ住宅が開発されました。

プレハブの種類

プレハブは、主要構造部に使われる部材によっていくつかの種類に分類されます。以下にそれぞれの種類の特徴について紹介します。

木質系

木質系プレハブは、木材の枠組みに合板などの木材や木質系のパネルをはめ込んで組み立てる方式です。

ツーバイフォー工法のように床や壁、天井がバネルとなっていて全体を面で支える一体構造のため、地震などの揺れにも比較的強めです。また、断熱性や気密性に優れ、工期が比較的短い、というメリットもあります。

ユニット系

ユニット系プレハブとは、工場で箱型ユニットの組み立てや内部造作を行い、現場で設置する工法です。

ユニット系プレハブは、あらかじめ工場で柱や梁の鉄骨を溶接した箱型のフレームにパネルや板を取り付け、トイレやキッチン、電気配線や配管などの設備まで作っておきます。そして、そのままトラックで現地に運び、あとは設置を行うだけです。

工場でほとんど完成に近い形まで作り上げるため、現地での作業をかなり短縮できます。また、工場で生産ラインによる製造は人による差異が起きにくく、現場の職人による技術により出来ばえが左右されない、という点でも特徴的です。

鉄骨系

鉄骨系プレハブは、工場で軽量鉄骨の基礎を生産し、現地でパネルを貼り付けていく建築方式によるプレハブです。鉄骨系プレハブは丈夫で耐久年数も長いため、住宅用途としてもよく利用されています。

プレハブ工法は、一般的に注文住宅に比べると設計の自由度がある程度制限されてしまいます。鉄骨系プレハブに用いられる軽量鉄骨は強度があり、柱の本数をある程度調節できます。そのため、プレハブ工法のなかでは間取りの自由度を高くできるタイプといえるでしょう。

コンクリート系

コンクリート系のプレハブは、工場であらかじめ加工したコンクリートパネルを生産してから現地での工事に入ります。現場では、基礎工事を施し、あらかじめ生産したパネルを箱型に組み立てて接合していきます。コンクリートという性質上、他の工法よりも耐用年数が長いという点が特長的です。

広さや全体の重量にもよりますが、場所によっては長期間に渡って重量物に耐えられるよう、地盤の補強を行います。コンクリート系プレハブは、遮音性、耐火性、耐久性に優れていて、居住性の良さにも定評があります。

プレハブ住宅のメリット

プレハブ住宅は工場で生産する部分を多くすることにより、材料の品質にばらつきがなく、大量生産によるコストダウンにも成功しました。工法や材質によっては、耐震性や耐久性、遮音性に優れているものも多くあります。

現地での作業は組み立てるだけなので、注文から短期間で住み始められるのもメリットといえるでしょう。

プレハブ住宅のデメリット

プレハブ住宅は、施主の希望通りに建築する注文住宅に比べると、自由度は低いでしょう。作業に入ってしまえば、職人は施工図に沿って組み立てるしかなく、急な注文や変更などには臨機応変に対応できない場合がほとんどです。

また、一度完成した後は、間取りの変更を伴うような大きなリフォームはできません。なぜなら、柱やパネルを動かすと、建物の構造耐力に問題が生じ、建築基準に適合しなくなるおそれがあるからです。このような自由度の低さはプレハブのデメリットといえるでしょう。

プレハブ工法での住宅が注目されている

プレハブ工法は工期が短く品質が安定しやすい、というメリットがあり、建築会社にとっても、消費者にとってもメリットがあるものです。プレハブというと、仮の事務所や住宅で短期間しか使用しないという印象をもつ人も多くいますが、プレハブ工法を活かした住宅も数多く存在します。

実際に、新たに建築されたプレハブ住宅は、令和3年9月時点で5ヶ月連続増加している、といった結果も出ています。また、令和3年9月は前年同月と比べ22.3%も持ち家用途のプレハブ住宅戸数が増えたようです。住宅用途としてプレハブ住宅を選ぶ人が増えていることも分かります。

参考:一般社団法人プレハブ建築協会「会員への情報提供」

まとめ

プレハブとは、多くを工場で生産し、現場での作業を極力減らす建築工法やその建物のことです。プレハブは仮設住宅や建築現場の仮住まいなどとしてよく利用されますが、同じ工法で通常の住宅を作ることも可能です。

工期が短く済み費用も抑えられるため、プレハブ工法を採用するハウスメーカーも多くあります。注文住宅ほどの自由度はありませんが、住宅建築の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2022.02.16)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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