私立中学へ通学する子どもは首都圏のほうが多いかと思いきや、実は関西地方の「私立中学通学率」は全国でも上位に位置しているようです。そこで今回は全国の私立中学通学率ランキングとともに、関西地方の中学受験事情を紹介します。

私立中学通学に通う子どもの割合が多い都道府県は?

まずは都道府県の私立中学通学率を確認してみましょう。文部科学省が発表している学校基本調査から、国公私立の中学校に通う生徒のうち、私立中学に通う生徒の割合が多い都道府県をランキング化しました。

私立中学に通う子どもの割合が多い都道府県ランキング
出典:文部科学省「学校基本調査/令和2年度 『75 学年別生徒数』」より筆者算出(小数点第3位を四捨五入)

トップ10には京都府、奈良県、大阪府、和歌山県、兵庫県と、関西の府県が5つランクイン。半数を関西地方が占めています。注目すべき点は、京都府や奈良県の私立中学通学率が、人口の多い神奈川県よりも高いことです。大阪府、和歌山県、兵庫県も千葉県や埼玉県といった首都圏エリアを上回っています。なぜ関西地方では私立中学に通う子どもの割合が多いのでしょうか。

京都府の私立中学通学率はなぜ高い?

教育費の割合の高さ
教育費の割合の高さからも京都府民の教育への関心の高さがうかがえます(画像素材:PIXTA)

まずは京都府の私立中学事情を確認してみましょう。2021年現在の京都府内の私立中学の数は25校。このうち21校が京都市に集中しています。京都府内で私立中学に通う子どもは2021年5月現在で8,766人。そのうち京都市内の私立中学に通う子どもの人数は6,944人です。

京都府にある25校の私立中学のうち、18校が関西の有名大学の付属校によって占められています。京都府は学園都市として有名ですが、人口10万人当たりの大学数は1.32校と、東京都の1.01校を上回り全国1位。物理的に大学とその付属校が多いこと、そして学べる環境が身近にあることも京都府の私立中学通学率が高い一因として考えられます。

京都府内の高校卒業者の大学進学率は67.80%。全国平均は55.76%ですので、京都全体の学びに対する意識の高さも関係していそうです。

また、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると京都府の県庁所在地である京都市の勤労者世帯の1ヶ月当たりの教育費は2万3,442円、全国の県庁所在地の中で10位です。実収入に対する教育費の割合は4.97%で同1位。京都市は日本有数の教育熱心な街と言えそうですね。

教育費を多くかける奈良県

奈良県の私立中学通学率は、京都府に次いで全国4位。実は、奈良県内には全国有数の名門私立中学が軒を連ねています。さらに高校野球の名門として有名な天理高校の付属中学もあるなど、勉強だけでなくスポーツに秀でた生徒たちが全国から集う傾向にあります。

2019年の奈良県内の小学6年生の総数は1万2,044人、2020年度の中学生の総数は1万2,093人。特に男子生徒は6年生時が6,031人、中学1年生時が6,154人と増加しています。有名私立中学に県外から入学する生徒が多いため、小学6年生の人数よりも、中学1年生の人数が増えていると考えられます。

また奈良県は京都大学の合格者数が多い県としても有名。東大寺学園や西大和学園など奈良県の上位私立高校は多くの生徒を京都大学に送り出しています。さらに西大和学園は東京大学の合格者も多く出すなど、優秀な生徒が集まっているようです。

総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、奈良県の県庁所在地である奈良市の勤労者世帯の1ヶ月当たりの教育費の平均は2万7,813円。全国の県庁所在地の中で東京都区部、埼玉県さいたま市に次ぐ3位の水準です。実収入における教育費の割合は京都市、東京都区部に次ぐ同3位の4.71%となっています。

大阪府に和歌山県、兵庫県も! 関西で私立中学に通う子どもが多いワケ

京都府と奈良県のほか、大阪府、和歌山県、兵庫県も私立中学に通う子どもの割合が多い傾向です。それぞれの府県の特徴について詳しくみていきましょう。

【大阪府】中高一貫校の割合が高い
大阪府は私立中学の数が非常に多く、61校あります。大阪市のみならず大阪府全域に私立中学が点在しています。そのほとんどが大学の付属校や中高一貫校です。2020年度の大阪府全体の大学進学率は61.80%。他方、私立高校の卒業者の大学進学率は74.25%です。子どもが小さいうちに大学受験を見据えた教育をしたいと考える保護者にとっては、中高一貫の私立中学への入学は将来の安心材料の一つとなりそうです。

出典:大阪府「2020年度版 大阪の学校統計」

【和歌山県】難関中学、公立中高一貫校に挑む子どもが多い
和歌山県は非常に私立中学の数が少なく、県内すべての私立中学校の総数は7校。そのほとんどが難関中学です。2019年度の和歌山県内の小学6年生の総数は7,847人で、2020年度の私立中学の生徒数は743人。また、公立の中高一貫校の1年生の定員は320人、2020年度の受験者数の合計は796人でした。およそ10人に1人程度は公立の中高一貫校を受験していると考えられます。

出典:和歌山県「学校基本調査」(2020年度版)

【兵庫県】超難関中学がしのぎを削る
兵庫県の私立中学といえば、多数の東大合格者を生み出す灘や、京都大学への合格者が多い甲陽学院など、全国有数の名門校を思い浮かべる人も多いと思います。兵庫県内の私立中学は43校で生徒数は1万2,269人。その約半数の20校、5,396人が神戸市に集中しています。兵庫県の大学進学率は62.54%と全国3位ですが、神戸市に限定すると64.27%。さらに女子生徒に限定すると69.08%と高い大学進学率を誇ります。

出典:兵庫県「学校基本調査」(2020年度版)
出典:文部科学省「学校基本調査」(2020年度版)
出典:神戸市「学校基本調査」(2020年度版)

大学進学率ランキング
出典:文部科学省「学校基本調査/令和2年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 高等学校 全日制・定時制」より筆者算出(小数点第3位を四捨五入)

全国有数の私立中学通学率と大学進学率を誇る兵庫県ですが、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、兵庫県の県庁所在地である神戸市の勤労者世帯の1ヶ月当たりの教育費は1万8,277円とそれほど多くありません。全国平均は1万8,529円なのでほぼ平均と言える額ですが、1位の東京都区部と比較すると1万5,000円以上少なくなっています。兵庫県民の多くはお金をかけずに効率良く学んでいると言えるかもしれませんね。

まとめ

関西地方の各県は、いずれも私立中学への通学率が高く、大学への進学率も高いことがわかりました。関西にはハイレベルな中高一貫私立中学や私立大学の付属中学が多数あり、教育熱心な土地柄と言えそうです。

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